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花顔柳腰(月と六文銭・第22章)4

花顔柳腰カガンリュウヨウ:容姿の美しい女性を言い表す言葉。花顔は花のように美しい顔を指し、柳腰は柳のように細く、しなやかな腰を指す。

山名摩耶やまな・まや三枝さえぐさのぞみの大学からの親友で今時珍しく果敢に冒険をするタイプの女性だった。のぞみの交際相手・武田が年上でお金を持っているのは知っていたが、のぞみがどんな付き合いをしているのか興味津々だった。山名は三枝と武田の部屋に遊びに行って、直接知り合う機会が得たが、そこから彼女のちょっとした冒険が始まった。


 武田はのぞみのスカートのスリットから手を入れ、クロッチの部分を撫でていた。ピンと張ったズボンの前をのぞみの手が捉え、武田の男根の形を確認していた。
 のぞみはせっかくの二人の夜が摩耶のせいで楽しめないのを申し訳なく感じて、武田に謝っていた。この夜を楽しみにしていたのは武田だけじゃなくて、もちろんのぞみも久しぶりにゆっくりと武田と過ごしたかったのだが。

N「今日せっかく『お泊まり』できると思ったのに、ごめんね」
T「いいよ、たまにはガールズトークで盛り上がらないとつまらないでしょ?」
N「摩耶は一人暮らしだから、親に言う必要ないからいいけど、私はお母さんに摩耶のところに泊めてもらうって言ってあるの。彼女だけ帰らすのも変だから、摩耶もここに泊めてもらっていい?」
T「いいよ。
 二人でベッドを使う?
 僕はソファでも大丈夫だよ」
N「え、いいの?」
T「摩耶さんにソファに寝てもらって、僕らがベッドで寝てたら、彼女興奮しちゃって朝からまた大変じゃないの?」
N「うーん、確かに…
 でも、久しぶりの『お泊まり』なのに…」
T「もしかして、毎回摩耶さんをアリバイに使っているの?」
N「毎回じゃないけど、お互い様って感じで。
 摩耶ったら結構男性と旅行に行くんだけど、私が一緒に行っていることになってるのよ。ご両親へのアリバイ役なの、私」
T「へぇー、そうなんだ」
N「一応、私たちは年頃の女性なので男性と一緒と言ったら親は心配するじゃない?」
T「のぞみさんは自宅だから、両親が心配するだろうけど、一人暮らしの摩耶さんは何も言われないんじゃないの?」
N「一応、家賃の半分は親が出してくれているらしく、報告義務があるらしいのよ」
T「なるほど。
 本当はもう自分で払えと言いたいけど、勝手を許したくないから、家賃を払って多少手綱を絞めているってことだね」
N「そういうことになるね。 
 私なんてこのまま結婚するまで、自宅を出ることが許されない気がするわ」
T「うわぁ、箱入り娘!」
N「ん、もう!
 ママなんて若い頃、結構奔放だったくせに、私には厳しいというか」
T「奔放か。
 まぁ、僕と同じくらいの年代だったよね?」
N「そうよ」
T「学生の途中まではバブル期で、派手な子は派手だったし、バイトをしたら幾らでもお金が貰えた時代だったから、自由があったんだろうね」
N「ママは、かーなーりー、自由だったみたい(笑)
 内緒だけど、結婚直前まで学生時代から付き合ってる人がいて、その人のこと、パパよりも好きだったらしいの」
T「へぇー、それは結構『衝撃の告白』だね」
N「え、そう?
 私、何となく分かる気がする。
 付き合う人と結婚する人って違ってもおかしくないっていうか…」

 武田が複雑な表情をしていたのか、のぞみが話の方向を修正した。

N「いや、ママは奔放だったから有り得るなぁ、と思っていたの。
 私は好きな人としか付き合えないし、好きな人としかエッチしないし、結婚だって好きな人としたい」
T「僕とのぞみの両親、同年代なんだよね?」
N「そう、ママは哲也さんと同じ年で、パパは一つ下よ。
 ママが大学に編入した時、一学年下になったからパパと同級生だったの」
T「編入?」
N「そう、おじいちゃまが商社であっちこっち転勤があって、ママは途中まで一緒に引っ越していたらしいの。
 でも、大学3年の時にさすがに落ち着いて大学行って、日本で就職させなくちゃってなって、安政(大学)の国際関係学部に編入したの。
 その時の彼が一番好きで、いまだに好きらしいのよ」
T「え、だって、この間」
N「そう、今でもママはパパが大好きで、週一くらいでエッチもしているのよ!
 あれには私もかなり驚いたわ。
 まぁ、私も仕事中であるはずの時間に帰宅したのがいけなかった気もするけど…。
 でね、今でも学生時代の彼が一番だったって言うから、私は複雑な気持ちになったわ。
 だって、あんなにパパのことが好きで、絶対ママの方から求めてエッチを始めているはずなのに、私には20年以上も前の彼の方がいいなんて平気で言うのよ。
 私、ちょっとパパが可哀そうに感じちゃって」
T「確かに、ね。
 でも、のぞみのお母さんが安政で同い年だったのは意外だな」
N「そう?
 一回聞きたかったの、国際関係学部ってどんなところ?」
T「基本的には外国人留学生と帰国子女がいる学部だ。
 僕の入学する少し前にできた新しい学部で安政大学が他校に先んじて国際人材育成を打ち出して、授業の半分以上が英語だったはずだ」
N「なら、ママが行ってもおかしくないけど、その今でも好きっていう彼も安政らしいんだけど、その後は全く知らないらしい」
T「それは悲しいというか、SNSがある現在なら、その彼、見つかるんじゃないの?」
N「どうかなぁ、その男性がSNSやってなかったら難しいと思うわ。
 年代的に本名でフェイスブックはやらないでしょうし、フォトスタやツィッティーを駆使する年代でもないし。
 うちは両親ともそういうのやってないし」
T「やってなかったら、繋がらないよね、そもそも」

 のぞみは武田が父母と同じ安政大学の出身だと知っていたはずなのに、なぜ話が繋がらないのか、二人とも不思議にも思わず、見過ごしていた点だった。学部が違っても武田と父母は安政で、のぞみ自身はMARCHだったから、安政の中身はよく分からないということもあるだろう。それに父母がいた商社とのぞみが今いる金融とでは業界もだいぶ違うからどうしてもイメージ含め繋がらなかったのだろう。

N「哲也さんだってやってないでしょ、SNS?」
T「あぁ、恥ずかしがり屋なので」
N「うーん、業界内では有名かもしれないけど、一般人が知る必要はないよね、哲也さんのこと。
 でも、あぁいう食べ物屋さんやスポットのフォトスタを作ったら、フォロワーが山のようになると思うけど」
T「金に物を言わせて美味しいもの食べて、珍しいところに行って、贅沢をしているのをフォローするとは思えないよ。
 あくまでも女の子同士で羨ましがりながら見るものでしょ?」
N「そういう面はあるけど、意識が高いなら、いいものを知りたいというのが女の子の向上心に訴えると思うよ」
T「ならば、のぞみさんがやればいいじゃん。
 それなりにいいところに連れて行ってあげていると思うし、いいもの食べているし、いいもの着ているから、載せられるものはたくさんあると思うけど…」
N「うーん、これだけの情報を持っていたら、インフルエンサーには多分なれるけど、自分のお金じゃないし、妬みもすごいだろうし、身バレしたらいやだから」
T「身バレね」

 身バレとは身元がバレる、つまり、氏素性が分かるという意味の言葉で、アンチと呼ばれる批判的な輩は住所を特定してネットに晒したり、直接的に嫌がらせをしたりと何かと面倒なことも多い。それに負けない精神性がないとネットでは生きていけないだろう。
 摩耶がゴソゴソ動いたので、二人でくるっと首を回して、摩耶の方を見たが、またムニャムニャ言った後、再び寝始めたようだった。

T「とりあえず摩耶さんをベッドに動かそう」
N「そうね」

 のぞみが肩をトントンして摩耶をちょっと起こして、ベッドに行こうと声を掛けた。

M「行くけど、一人で寝るのいやぁー」
N「そういうこと言わないで!
 今夜は哲也さんの部屋なんだから、迷惑を掛けないで、お願い!」
T「うぅ、頭痛い!
 アタシ、飲み過ぎた?
 ノゾはエッチしたの?
 終わったから起こしに来たの?」
N「違うよ、していないよ!」
M「ごめんね、アタシがいるから遠慮してんの?
 いいよ、アタシ、ソファで」
N「そういう訳にいかないから哲也さんが二人でベッド使っていいよって」
M「えぇ、ノゾがエッチしてるベッドで寝ていいの?」
N「いやいや、してないから。
 とにかくちゃんと寝ようよ、ほら」
M「分かったよ!
 武田さん、ごめんね、今夜のエッチ、邪魔して」

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八反満
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