異業種の表現者たちによる革新的舞台「スケーターズコレクション2022」
「スケーターズコレクション2022」
突然の告知だった。「なんだこれは?」というハテナだらけだったけど、出演者に推しの名前がある。間違いない。
フィギュアスケーター3名と若手クリエイター(のちにダンサーと弦楽五重奏と判明)によるファッションショー。何度読んでも頭に入ってこない。なんだそれは? 斬新すぎるぞ。
回数を重ねて……定期公演みたいな感じになるのか!?
踊って滑って古いオペラをリミックス……? なにそれワクワクするやつ!
おいちょっと待て、最後にどえらい告知入ってるやないか。キスクラで応援している選手と写真? 写真? 写真?
人生いつどこでなにが起こるかわからないから面白いとは言うけれど突然やな! 小田和正氏のあの名曲のイントロが脳内で流れたよ!
とにもかくにもこういう異業種交流会は大好きやし、根っからのミーハー魂が行けと囁く。なんといっても推しが出る。これは行くべきだという己の嗅覚を信じた。目撃しようじゃないか、記念すべき第一回公演を! といざ出陣。
冷え症なのでいつもなら寒さ対策一択な服装で出かけるけど、樹脂リンクということでその辺の心配はナシ。撮影会もあってか、来場者の皆さんも心なしか競技会やアイスショーで見かける時より華やかだ。サントリーホールか帝国劇場に来たかのような。
入場して演目が書かれたリーフレットをいただいたけど、場内の照明が薄暗く、明日2公演も見るし(いわゆる全通というやつ)後でもいいやと早々に読むのを諦めて、初演は本当にまっさらな状態で観ることにした。
一幕。弦楽五重奏のメンバーが奏でる最初の一音であっという間に体中が音楽に包まれた。空気が震えて、そこに音がのって、心が震えるまで一瞬だった。
言葉(台詞)はない。舞台セットもない。簡易な照明と背景の映像が物語の道しるべ。音楽とスケーターの演舞だけで紡がれるストーリー。五線譜のうねりに合わせて3人のスケーターが体いっぱい指先まで使って表現し、物語をリレーしていく。動くたびに左右の壁に大きく映り込む影がとても印象的で、暗闇の洞窟の中を手探りで愛する人を求めて流離う主人公のようにも見えて、思わず見とれてしまった。
憂いを帯びた表情が5000万画素超えで脳裏に刻まれてる。
スケート靴を履いていることを忘れさせる緩急の効いた身のこなし。
スーッと滑ったかと思えば、パッと止まって舞踏の体さばき。
手をグッと何かを堪えるように差し出す振付で、観客が心の手を差し出したのが見えたよ私は。現地も配信も見た人みんな出したやろ? 私は出した。
スケーターではあるんだけど、あの時間は”舞台の演者”として観ていたし、魅せられた。これまで見てきたアイスショーとは全く違う新しい舞台。
古いオペラをリミックスした創作曲とだけ告知されていて、浅学な私はオルフェオとエウリディーチェの物語も知らなかったので、新鮮でまっさらな気持ちで舞台と向かい合った。新しいものに出逢う時は緊張もするけど最後はワクワクが勝つ。
このストーリーを(樹脂とはいえ)リンク上で立体化させた演出家や編曲家、振付師は本当にすごい仕事をされた。脳内でちゃんと見えてなければ、こんな素敵に組み上がらないはず。どんな脳回路になってるんだ……。振付もスケーター3人それぞれの特長や個性を引き出す動きが随所に散りばめられてて、ファンのツボを刺激するにあまりある滑りだった。
フォロワーさんが流してくれたこの記事も、物語理解にとても役立った。題材にこれを選んだ理由も気になる。一度演出サイドのお話しをじっくり聞いてみたい。インタビューでもトークショーでもいい。
打って変わって二幕は感情大爆発。
「祝宴」と副題が付けられてたけど、コロナ禍じゃなかったら立ち上がって手拍子して、なんなら一緒に踊りたかった。
ブレイクダンスチームの足技や体幹はスケーターとは違った凄さがあったし、友野選手のBillsはどんな栄養ドリンクより効くし、星南選手のダンシング・ヒーローのサビは二の腕にくるし、草太選手の恋ダンスはただただ幸せな気持ちになれる。配信映像のアーカイブのおかわりが止まらない。
えっとここで懺悔します。現地3公演目、恋ダンスの草太選手が間奏部分で髪かき上げ&投げキッスした時、耐え切れず「ヒュー!」と2回言ってしまいました。我慢できませんでした。だってあんな可愛いの扉全開放の笑顔に時折いたずらっコぽく視線飛ばしてくるんやで? 我慢できるわけないやん。逃げ恥の名台詞「浸透力半端なーーーいっ!」を体感できる日がくるなんて。もうチャーミングの極み。見た人全員総平匡さん状態。2回で踏みとどまったので神様どうかお許しください。
真面目な話をひとつ入れておくと、山本草太選手ファンとしては、ヤマハ発動機スポーツ振興財団さんのスポーツチャレンジ体験助成の成果報告文を読んでから、あの草太選手の笑顔120%の恋ダンスを見ると泣けます。
あの報告文読んで、こんな歌詞を空を見上げるような振付でスーッと滑っていく姿を見せられたら、泣くしかないわ。笑顔で泣くわ。キラッキラでハッピーな気持ちになれる4分間をありがとう。この先しんどいことがあっても、あの4分間を想い出せば、大体のことは耐えられるよ。
そんなこんなで1時間近くのステージが体感は秒で終わった。誇張でもなんでもなくホンマに秒で終わった。もう一幕と二幕の緩急は感情のジェットコースターや。
終演後の選手との撮影会、初日は本当にどうしたものかと順番がくるまで頭を抱えた。ポーズなんてこれっぽっちも考えてなかったけど、火事場の馬鹿力ってやつなのか、降ってきた。
・左上1公演目 恋ダンスの夫婦を超えてゆけ~をやったけど記憶がない
・右上2公演目 記憶に残さねばとしっかり目を見て会釈した頑張った
・下段3公演目 昨年オンライントークで当選したサイン入り写真。たまたま持って行ってたので、これを最後に持ち込もうと決めていた。
指定された場所に座ってアクリルパーテーション越しに見せると、「おっ!」と目を丸くされて。お礼を言いたかったけど声は出せないので
これで。伝わってたらいいな。
撮影した3枚ともごらんのとおり草太選手はニッコニコなのに、私はガッチガチだった……私の表情筋、仕事せんかったわ。
それにしても1時間のステージラスト「Dynamite」のイケ散らかしダンスの頃にはスーツの肩や襟に汗が光るほどで、そんな全力公演後に40分近くの撮影会。撮影中はもちろんお客さんが入れ替わる間もずっと笑顔だったのホンマにすごい。3人とも尊敬する。ありがとうございました!
着ていく服を一緒に選んでくれた20年来の友人M、ありがとう。普段絶対選ばない色・柄にチャレンジできたのもキミのおかげです。
それから普段メイクしない私に早朝からやってるヘアメイクサロンを教えてくれたフォロワーさん、助かりました。今回ポイントメイクだけにしたけど、まつ毛に翼が生えました(笑)次回はフルメイクにチャレンジしたいなと。
発表から1ヵ月弱で開催されたこのイベント。開催発表時はどんな公演になるのかまったく想像できなかったけど、開けてみたらびっくりと多幸感で今も満たされまくっている。「緩急」が大好物な私にはめちゃくちゃ満足度の高い公演だった。2回3回と続いてほしい! スケーターがメインではあるけど、演奏もダンスも絶品やから!
いや、本当にフルオケ生演奏アイスショー期待したくなるよ。このご縁大事にしたいやん……。
そうそう衣装もめちゃくちゃ似合ってて!(特に一幕ラストのスリーピーススーツが抜群だった)動きの激しいスケーターが着られるスーツの機能性を存分に印象付けた。こんな斬新なファッションショーはここでしか見られない。
アイスショーでもなく、演劇やオペラでもない、ジャンルにとらわれない新しい世界を創り出し、表現したこの舞台の一観客になれたこと。そのはじまりの第一回公演に推しが立ったことが、心からうれしい。令和(Beautiful Harmony)の世にふさわしい、異業種の表現者たちによる美しい調和が生まれた瞬間に立ち会えたことに、ただただ感謝です。
衣装提供してくれたはるやまさんが、インスタで衣装についての質問に丁寧に答えてくださってるのも好感度アップ。こういう企業姿勢、一社会人として見習いたい。
もし第2回公演が実現したら……
グッズ販売お願いします!(第1回公演のDVD・Blu-ray、音楽CD、出演者の衣装着用アクスタ、裏方スタッフの制作裏話&出演者座談会掲載パンフなど)
客席はフラットではなく後方だけでも段差を!(後方席からステージ上の演者の足元が見えないのはもったいない)
若手アーティストが集うイベントだし、出演者には現役大学生もいるので、学割チケットの導入を!(大人はその分出すので、若いファンに機会を!)
配信映像の画素数アップを!(照明の関係で映りが若干粗かったのと、スケーターのスピードにカメラが追い付いてなくて、ピント甘めなところがあったのがもったいなかった。いや配信あるだけありがたいことだけど!)
とひっそりこっそりお願いしておこう(言霊)。
公演は生配信もあり、そのアーカイブは初日23日公演は5月7日まで、24日公演は5月8日まで視聴可能。私の浅学非才・馬鹿丸出しな文章読むより、百聞は一見に如かず! GW引きこもる民もそうでない民もご覧あれ!
23日(初演)
24日(2公演目)
24日(3公演目)
第2回公演、待ってます!関西来てや!