アンケートのつくり方を科学する
今回のnoteは教育大学院のアンケートの授業でつくった、こちらのアンケートを参考にしながら書いています。
22歳以上の成人の方が回答の対象で、3分程度で終わるのでぜひご協力ください。
アンケートの授業を取ろうと思った理由
教育大学院の春学期の授業の振り返りシリーズです。
コーチング、認知科学の授業の振り返りを終えて、今回はアンケートの授業についてお伝えしたいと思っています。
ハーバード教育大学院でのアンケートの授業は「Designing Surveys and Questionnaires: Principles and Methods」という名称で、秋学期に受けていた教育大学院名物の統計初級〜中級の授業を担当したJoe McIntyre先生が引き続き教えてくれました。
そもそもなぜアンケートの授業を取ろうと思ったかというと、自分は生徒主体の教育が広めたいと思っているのですが、その効果を伝えるのは本当に難しく、定量的な方法を使って説明できるようになるために自分でデータも集められるようになりたい!と考えたからです。
研究を進めていると、「もっとこんなデータがほしいな!」と思うことも増えました。
そして日本で働いていたときもアンケートを取っていたのですが、データを取るのに本当に苦労していました。
誰が回答に協力してくれるのか?
利用者だけなのか、利用していない人も含めて全員に聞けるのか?
質問項目は本当に聞きたいことを聞けるように設定できているか?
誘導尋問になっていないか?
回答結果から何が分かるのか?
…などなど、アンケートをつくるにあたっての疑問は尽きません。
そんな仕事上での問題意識もあって今回アンケートの授業を取りました。
アメリカらしいアンケートについての授業内容
さて、実際にアンケートの授業では何をするのか?
夏の必須科目だった統計(Evidence)の授業のときもそうだったのですが、ハーバード教育大学院の統計関係の授業の特徴として、本や論文で読めるような統計に関する知識を与えることより、「どうしてそうなるのか?」という過程に対しての議論に力を入れているのが特徴だと感じました。
今回の授業の構造は:
・事前にアンケート調査方法についての研究の論文を読む
・講義ではJoe先生が論文を取り上げながら、アンケートの収集過程や限界について話し、生徒から実際に自分が取り組んだアンケートの経験談と照らし合わせる
・講義とは別に少人数のセクションがあり、Joe先生が今まで実際につくったアンケートを見ながら良い点・改善点について議論する
・毎週自分でもアンケートを講義のテーマに沿って作成し、Joe先生、ティーチング・アシスタント、同級生のフィードバックをもらう
とアンケートについての色々な議題や視点を取り入れつつ、最終的には自分が必要なアンケートをつくりあげられるような形式になっていました。
毎回の議題についても:
・アンケート調査はどんな歴史的変遷を辿っていて、それぞれどんな問題点を抱えていたか
・サンプルをどのように抽出するか
・アンケートの回答に対して金銭的な報酬を用意すると回答率が上がるのか
・複数選択肢をなるべく減らすなど、適当に回答することを防止することはできるのか
・アンケートを設計・作成するときにどのようなステップを踏むのか
・回答しやすいアンケートをつくるためにはどうデザインするのか
など、普段仕事としてアンケートをつくっているとなかなか話す機会がない、痒いところに手が届くようなテーマについて扱っていました。
普段からより正確なデータを集めて研究を進めようとしているJoe先生からこのようなことについて話す機会をいただけるのは、大学院ならではの経験でとてもありがたかったです。
私の最終プロジェクトは…
最後に、この授業で私がつくったアンケートはこちらです!
秋学期のいじめの授業を受けていてもっと学校での帰属意識と学力の関連性について調べたいと思っていたので、その想いを形にしました。
また、この一年間社会的に少数派の生徒が学校では過ごしづらいというデータがないなと感じていたので、今回は自分のアイデンティティでもある「帰国子女」という形でデータをつくることができないかなということにも挑戦しています。
皆さんに回答いただいて、たくさん回答が集まったら、またこのnoteで結果について発表したいと思っているので、ご協力お願いします。
最後に、このアンケートをつくるにあたって、授業で学んだことをどのように応用したかという答え合わせを有料部分で公開します。
全体の構成、説明文、質問でそれぞれ工夫した点、そして応用が難しかった点があるのですが、皆さんに伝わりますでしょうか…?
ぜひアンケートを読んで「こんな部分に気をつけているのかな?」という仮説を立てていただき、答え合わせをしていただけると嬉しいです!
アンケートについてのコメントなども、コメント欄でお待ちしています。
アンケート作成にあたって考慮した点
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