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人は野菜を食べなくて良い:カタツムリとセルラーゼ

野菜が嫌い。美味しくない。とくに若いときは全く食べなかった。栄養士の方には申し訳ないが「人は野菜を食べなくて良い」と考えている。そしてカタツムリを見ると「君だけがホントの草食」と思う。(吉野賢一)

野菜は苦い:野菜は食べることのできる植物、つまり生物である。生物は生存のために身を守る手段を持っている。植物はタンニンやアルカロイドなどの化学物質により昆虫や動物、紫外線や病気から身を守る。これらの化学物質は基本的に苦い。動物が苦いと感じる物質でなければ植物にとっては無意味なので当然である。とくに苦くない葉をもつ植物なんて光合成が出来なくなって生き残れない。「食べてごらん。この野菜は苦くないから」はウソです。

苦いと嫌い:ヒトは甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の5つの基本味をもつ。苦味は「毒」を示唆するため「不味い」と感じることが多い(腐敗を示唆する酸味も同様)。子どもが苦い野菜を不味いと判断して食べないのは正しい反応。大人になってビールやゴーヤを飲み食いして美味しいと感じるのは学習のおかげ。「食べてごらん。この野菜は美味しいから」もウソです。

野菜は体に良い:体に必要な物質は自然と摂取するようにできている。そうでなければ生きられない。ヒトを含めたすべての動物が、必要なものを必要なだけ食べている。何かを無理やり食べさせる必要なんてない。そもそも野菜なんてほとんど水分。野菜の何が体に良いのか教えてほしいものだ。「出されたものは全部食べなさい」「野菜は体に良いから食べなさい」は間違いです。

真の草食動物:植物細胞は細胞壁をもつ。細胞壁はセルロースというとても頑丈な物質でできている。セルロースを分解する酵素はセルラーゼ。このセルラーゼを分泌する動物はカタツムリだけ。つまり地球上の動物の中でカタツムリだけが自分の力で植物を分解できる。カタツムリ以外の動物は腸内細菌に手伝ってもらって植物を分解している。草食動物ならいざ知らず、何でも食べられるヒトがわざわざ他者(腸内細菌)の世話になってまで野菜を摂取する必要があるのだろうか。

シロアリ:アリとつくがアリ(ハチ目)とは違いゴキブリ(ゴキブリ目)の仲間であるシロアリ。実はシロアリもセルラーゼを分泌する。ただし、シロアリは腸内細菌の力も借りてセルロースを分解しているので、やっぱり真の草食はカタツムリだけ。吉野が知る限り。

息子の作文:カタツムリはデンデンムシとも呼ばれる。息子が小学1年生のとき「デンデンムシの歌に、つのだせやりだせってあるでしょ。そこたぶんしょっかく」と作文に書いた。はい正解、そこ触角です。

余談:カタツムリはマイマイとも呼ばれる。カタツムリを食べるのでマイマイカブリという名前をもつ甲虫がいる。ストレートなネーミング。ちなみにマイマイカブリは立派な羽をもつが飛ぶことはない。なぜなら左右の羽が融合していて開かないから。オサムシ界の孔雀か!

最後に:栄養士の方々を対象にした講演でも「野菜を食べなくて良い」と言っている。ただし、「野菜を食べる」という行為を生物学的・生理学的な視点から見た場合、と前置きして話をする。大切なことは生物学的に、生理学的に、栄養学的に、医学的に、文化的に、経済的に・・・と様々な視点で「野菜を食べる」をとらえること。そうじゃないとある視点だけからの結論はとても危うい(ここで書いたように)。

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