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教育の使命は、子どもを一人前の大人にしていくこと

大学は職業のための訓練学校になりつつある。それは「教養」といったことにまったく無関心な全体主義者たちによって要請されているからである。(バートランド・ラッセル)

【考えるヒント】
ここ数十年、大学教育に対する要求内容が大幅に変わってしまった。今までは、教養を身に付け、学問の一端に触れ、批判的思考を獲得していくための教育だったのが、昨今は、社会に出てすぐに仕事で能力を発揮することを求められている。つまり、職業訓練のような実学を求められているのだ。だから、数年前、文学部をはじめとする人文系の学部の廃止論が起こったのだ。

個人の能力を向上させたり、身に付けたりするのは、実は教育の使命ではない。教育の使命は、子どもを一人前の大人にしていくことなのだ。ということは、野生人を社会化して、共同体のメンバーにしていくことだ。まず、ここがあってからの、個人の能力に対するサポートだ。そして、大学教育は、専門学校とは違って、原理的なことを教える場だ。批判的思考を獲得し、社会の進歩を導いていく社会人を創っていく場なのだ。

もし、大学が、職業訓練のような場になってしまえば、社会を支配する「ビッグブラザー」に対抗できなくなってしまう。そうなれば、私たちの社会は、非常に住みにくいものになってしまうだろう。そういうことを無意識のうちで企てている企業家たちよ、早く目を覚ました方が良い。

【考えるヒント・今日の言霊】
2020年10月2日(金)VOL.5042     
作者:中土井鉄信(教育コンサルタント・合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表)

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