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「学びの木」について考えてみる

「学びの木」って

 「学びの木」とは、葛原先生が子どもたちの学びの世界を木のメタファーで示されているものだ。

 この「学びの木」について自分なりに理解を深めるために、言葉にしてみたいと思う。

まずは根張る(粘る)

 あなたの目的や目標(なぜやるのか?どうなりたいのか?)は、あなたの学びの世界の中で常にあなたを照らし続ける太陽のような存在である。
 そして、あなたはその学びの世界の中で、「学びの種」を立派に育てる時間を繰り返している。この学びの種は、教科書に書いてある問いや課題(Q)や教師から与えられた問いや課題(Q)であったり、あなた自身から生まれた問いや課題(Q)であることもある。どちらにせよ、まずはこの種を立派な木にしていくことになる。

 植えた種はどのように変化をしていくかを考えると、まずは根を張っていくことが普通である。これは学びの世界も同じである。
 問いや課題が分かったら、とにかくまずは「やってみる」。つまり、芽を出そうとしてみる。しかし当然、初めての経験で突然芽が出ることはない。まずは、「分からない」「できない」という経験をすることになる。それでも「粘って」、どうすれば芽が出るかを試行錯誤しながら「悩む」場面もあるだろう。これが非常に大切である。まずは、地中に十分な太さや長さの根を張り巡らせる。そうでなければ弱々しい木ができてしまう。

 根を深く深く張り巡らせるために、学びの世界では「粘り強さ」と「調整力」が必要である。そのためには、「自分を見つめる」「方法を工夫する」ということや、一人でできないなら「人を頼る」、もっと根を張り巡らせるために友達の考えを「聴く」や意見を伝え合う「訊く」などが大切になる。このような過程の中で学びや自分への理解が「深まって」いくこととなる。

芽が出て、高まる

 粘って悩んで、深めることができると、「分かった」「できた」という芽が生まれ、幹や枝が成長していくこととなる。

 これまでの「粘る」「悩む」「深める」で自分が取り組んできたこと(+、−)や、「分かる」「できる」で得られた学びの情報(!、?)をきちんと「言葉」で受け止めていくことで、葉が生い茂った木になっていく。言葉で受け止める量が足りないと非常に頼りない木になってしまう。だからこそ、言葉で受け止める(振り返りや分析)は大切な要素である。

 何が「分かったのか」、何が「できた」のかを言葉にすることで、それを「話(花)す」ことができるようになる。どうしたら「できた」のか、本当に「分かった」といえるのかなどを「話す」(説明する)という活動の中でより確実に捉えることができるのである。より確実な学びを手に入れることができ、たくさんの花が咲いた綺麗な木ができる。
 また、ここで「聴く・訊く」が生まれ、さらにたくましい根を張り巡らせることとなる。 

 互いに話し、説明するアウトプットとインプットの行き来をする中で、花が熟し、実がなる(身になる)場合がある。話している中で、新たな気付きが得られたり、疑問が湧いてきたりするイメージである。より一層自分のためになる瞬間である。
 このような新たな気付きや疑問を「つくる」、または誰かの身になるような問題や解説を「つくる」というところまで木を高めていく。

周りの環境

 これが実現されるためには、「風通し」の良い環境が必要である。どんな相手とも気兼ねなく対話ができたり、どんな成長の仕方も認められるなどの環境である。だからこそ、"今日の内容"にとらわれずにこれまでの学習内容に戻ることもでき、そこで「教える」「教わる」という学びに取り組むこともできる。

 また逆に、先に前に進むことも考えられる。そして、前に進むと当然、分からない、できないなどの壁に「ぶつかる」ことになる。ここで「失敗」に出会えることがあなたの木をより一層成長させることにつながる。ここでの悔しさや涙の雨を葉や根で受け止めて吸収し、さらに「深める」「高める」につなげることができる。

学びの世界を広げる

 このように、すすんでぶつかった時や戻って教える(教わる)中で、新たな気付きや疑問を捉えられたり、学びの中で捉えた気付きや疑問が「腑に落ち」、「学びの種」として地面に落ちることとなる。
 ここからまた新しく根を張って、学びの木が生まれることとなる。これがいつか森となり、島となり、あなただけの学びの世界が出来上がっていくわけである。


余談

 子どもたちにこのメタファーの話をしてから、例えば「分からない、できない」でその単元を終えた場合、

目には見えない形で必ず根っこは伸びている。だからこの後一気に芽が出て成長する可能性は十分ある。失敗をきちんと言葉や自分の心で受け止め、これからも粘り続けよう。そして、一人でできないならどんどん人を頼ろう。

 という話をしたり、反対に単元導入時からテストの合格点は取れるような子達には、
 なんとなく「できた」「分かった」「説明もできた」という目に見える部分だけを見て、自分の木の高まりを味わっているだけだと、いつか全ての木が崩れ落ちる可能性は余裕であり得る。友達との対話の中で自分の根の張り具合を確認したり、横軸を意識して実を落としたり(その実は腐っていないかを確認したり)としていかないと危険な可能性があるよ。

 みたいな話をしたりしています。

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