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「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」を観ました。
前から気になってた映画を観てみました。
いつもの、なんちゃらプライムです。
わたしがずっと愛用してるフィルマークスっていうアプリが、noteに埋め込めるようになったみたいなので、早速やってみました。(あ!もしやってる方いたら繋がりたいです。)
ネタバレ大盛りなので、観ようかなって思ってる方は読まないでね。
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わたしはこの手のお話にとても弱い。
学校とか職場とかの集団のなかで、弱い立場になってしまう人。障害を持ってたりとか、強いコンプレックスがあったりとか、性格とかで、バカにされたり笑われたりかわいそうと思われたりしてしまうような人が、成長してくようなお話。
わたしが、幼稚園から小学校中学校まで、劣等感とコンプレックスと苦手が多すぎることで、そんな感じだったからなのかな。
だから、そんな弱めな人がなにかのきっかけで、今までバカにしてた奴らをどっかーんと見返して、みんなが、おおおーー!!ってなる!みたいな結末を期待してしまいます。
とはいえ、そうなったらなったで、こんななるわけないじゃんか!って思ってしまう。偏屈だなー。
で、この映画。
志乃ちゃんは吃音があって、自己紹介とかで自分の名前が言えない。
高校の入学式の朝に、挨拶と自分の名前をぶつぶつ言いながら登校してるとこから始まる。ひとりでならスラスラ言えるのに、クラスで自己紹介の順番が回ってきたら、やっぱり言えない。母音が言いづらいから、苗字の「おおしま」から始められなくて「しの、おおしまです」って言ってしまう。で、「外人??」とか言われて笑われる。
この辺でもう、うううぅーーってなるよね。観てるだけで辛くなる。そして後日呼び出されて先生に、「緊張しちゃうんだよね?クラスに馴染めてないからじゃない?明るくがんばろう!せめて自分の名前くらい言えるようになろう!」とか言われるんですよ。おいおいおいおい!!!ってなるよね。なに言ってんだろうかこの先生。お母さんもさ、ここ行くと治るみたいだから一緒に行ってみよう!とか言うんだよね。だからさ、いちばん辛い思いしてるの誰なんだよ?って思うよね。辛そうなの見てられないのわかるけど、そもそも治せって言われるのは否定されてるって思っちゃうんだよ。その時がきたら自分でどこでも行くんだからさ。
話がそれました。
で、校舎の裏で、友達との擬似おしゃべりみたいなことしながらひとりで弁当を食べてる志乃ちゃんに、友達ができる。加代ちゃん(蒔田彩珠ちゃん!)。
加代ちゃんは音楽が好きでギターを弾くんだけど、すごい音痴なの。それが加代ちゃんのコンプレックス。
ちょっとしたきっかけで、ふたりでカラオケに行ったら、志乃ちゃんは歌がとっても上手いってことがわかって、2人で文化祭出よう!って話になる。「しのかよ」ってユニット名つけて、路上で練習するんです。このシーンがわたしは大好きだった!
ふたりで橋の上でいろんな歌うたうの。「翼をください」とか「あの素晴らしい愛をもう一度」とかブルーハーツの「青空」とか。すっごいまっすぐなきれいな声で楽しそうに歌う志乃ちゃんと、その顔を見て嬉しそうな加代ちゃん。そのシーンだけ永遠に観てたかった。
でもついにクラスの男子に見つかっちゃって、強引に仲間に入ってくるんだよね。その男子は、めっちゃおちゃらけてるように見えるけど実は闇抱えてていろいろあるんだけども、わたしは全然その男子の気持ちには寄り添えなかった。せっかく楽しくやってたのに邪魔すんなよーって思ってしまった。
それがきっかけで、志乃ちゃんは逃げ出してしまって、加代ちゃんは結局ひとりで文化祭のステージで歌うの。自分で作った曲。
魔法をください
みんなと同じに話せる魔法
みんなと同じに歌える魔法
でも最後には、
魔法はいらない
魔法はいらない
ってなる。
これが加代ちゃんの気持ち。加代ちゃんは加代ちゃんで、志乃ちゃんは志乃ちゃん。自分はどうしたって自分でいるしかないってこと。
ここら辺で、体育館に入ってきた志乃ちゃんが歌い出して、みんながおおーー!!ってなって、加代ちゃんも喜んで、、、みたいな展開になるって信じてたら、ならなかった。でも志乃ちゃんは、みんなの前で大きな声で、これからもずっとわたしは大島志乃だ!!って言うの。
うんうん。そうだよね。これからもずっと自分は自分のままで全部抱えて生きてくしかない。厳しいけどしょうがない。
「しのかよ」が復活するわけでもなく、とっても寂しい気持ちのまま終わりになったけど、最後にギターを抱えた加代ちゃんがちょっと笑ってたのが救いでした。
こういうお話は難しい。うっかりするといろんな人を傷つけるから。そういう映画もドラマもたくさんあるなか、これはとってもリアルで、痛みを痛いまま伝えてたと思いました。
「ありがとう」も「おはよう」も「おやすみ」も、母音で始まるってこと、どうにかなったらいいのにな。