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【ここに来るまで】1994−1996年 文部省REXプログラムで日本語教師としてニュージーランドの女子高校に派遣

【ここに来るまで】シリーズ

このシリーズでは、公立高校の英語教員だった僕が、日本語教育ニュージーランドと出会い、移住し、応用言語学の博士号を取得し、ニュージーランドの大学教員トップ10の一人として表彰されるまでの歩みを書いていきます。

こういう展開になるとは、夢にも思っていませんでした。 
この記事がほんの少しでもあなたのお役に立てますように。

🌈  ニュージーランドの派遣先が決まったのは出発の1ヶ月前

文部省(当時)の「外国語教育施設日本語指導教員派遣事業」の教員に選抜され、1994年4月から7月まで東京外国語大学留学生日本語センターでの集中事前研修を受け、派遣先が決まったのは出発の1ヶ月前の7月のことでした。

ニュージーランドには行ったことがなく、キウィフルーツ、首都ウェリントン、ラグビー、羊ぐらいしか知らなかったので、「ハミルトン」(NZで当時4番目に大きい都市)と聞いても場所さえわかりませんでした。

🌈 ハミルトン女子高校に着任

赴任したハミルトン女子高校は9年生から13年生の5学年 、約1200人(当時)が在籍するsecondary school (中等学校)です。日本の中学と高校を一緒にした中高一貫校、そして、普通高校、商業高校、工業高校などが一緒になった総合中等学校というとわかりやすいかもしれません。

教育制度と教育についての価値観の違い、授業の組み立てかた、クラスルームマネージメントなど様々なことを学びました。

着任した1994年当時は日本語人気が高まり、学習者数が激増していた時期でした。ハミルトン女子高校では日本語は初学年の9年生(日本の中学2年)で、フランス語とドイツ語と共に必修科目となっていました。

僕は日本では現職の教員でしたが、現地の教員免許を持っていないため、基本的に単独授業は認められていませんでした。そこで、僕の役割は日本語の先生のアシスタント的なものとなり、基本はティームティーチングでした。(日本の高校で英語を教えていた時のALT(アシスタントランゲージティーチャー)との授業経験、そして、このチームティーチングの経験が修士課程の研究のトピックとなりました)

しかし、現地の先生が教室にいて僕が授業をする機会、完全に単独で授業をする機会、さらにはクラスを担当する機会にも恵まれました。

🌈 クラス運営の課題と学び

ニュージーランドの教育文化や価値観は日本と大きく異なり、特に以下の点で困難を感じました。

  • クラスルームコントロールの難しさ
    当時、この高校では9年生で1学期ずつ(当時は3学期制)、フランス語、ドイツ語、日本語の3言語の履修が必修でした。そして、関心を持った言語があれば翌年10年生で選択科目として選択することができました。外国語重視という点では素晴らしいのですが、1学期にドイツ語、2学期にフランス語を学び、3学期にさらにもう1言語、しかもアルファベットでない日本語を学ぶことをストレスと感じる生徒もいて、授業の進行が困難な場面もありました。

  • 生徒主体の学習環境への適応
    日本の高校の受験対策中心の、教師から生徒への一方通行的な英語授業に慣れていたため、日本語の授業でもついそのような構成になってしまいました。生徒主体の授業を小さい頃から経験している生徒にとっては教師主導の授業が退屈に映り、クラスの一体感を保つことが難しい状況に直面しました。

  • 未経験分野への挑戦
    直接法で日本語のみでの50分の授業は生徒の集中力の点からも困難なため、直接法を少しと英語を媒介に教えるという構成となりました。日本の高校の英語教員の僕が、教育の目的や教え方が異なるニュージーランドの中学生にいきなり日本語を教えるというのは、かなり困難なことだったと思います。日本でも中学生には教えた経験がなかったですし、日本語を教えた経験は研修中の教育実習の数コマのみだったので経験値も低かったのです。また、日本の教員経験が十分に活かせない場面が多く、試行錯誤の毎日でした。

🌈  その時に頼りにしていた本

クラスルームマネージメントについて学ぶために活用した「バイブル的な本」に助けられました。この本に記載された具体的な指導表現や管理方法が、日々の授業運営を支える重要な知識源となりました。

🌈 現在の教育実践と研究の原点

この派遣経験は、日本と異なる教育現場での課題を学び、多様な視点を得る貴重な機会となりました。失敗と反省を繰り返しながら得た知識と経験は、現在の教育活動や研究にも大きな影響を与えています。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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