見出し画像

フルーツバスケット~各キャラからお気に入りの台詞を一つずつ選んでみた~(ネタバレ注意)

注:原作準拠で選んだので、アニメではカットされていたり改変されていたりする台詞もあるかもしれませんがあしからず。



本田透

画像1

……あ もしかしたら背中についているのかもしれません… 例えば人の素敵というものがオニギリの梅ぼしのようなものだとしたら その梅ぼしは背中についているのかもしれません…っ 世界中 誰の背中にも 色々な形 色々な色や味の梅ぼしがついていて でも背中についているせいで せっかくの梅ぼしがみえないのかもしれません ……誰かを 羨ましいと思うのは 他人(ひと)の梅ぼし(せなか)ならよく見えるからなのかもしれませんね

透の台詞からどれか一つ選ぶならやっぱコレだな、と。夾と由希の関係性なんかは正にそのとおりで。序盤の台詞なんだけど、終盤で夾と由希がそれを回収するのもいい伏線だと思った。ちなみに、透が一番可愛かったのは「一緒…に……一緒にお出掛けできるだけで…嬉しいです…」のところ。これは夾みたいに思わず壁に頭をぶつけたくなっても仕方ない(笑


草摩夾

画像2

俺の痛みを 全部 拾いあげてくれたわけじゃないんだ 溝だって全部埋まったわけじゃないんだ だけど 大切なのは 一番 大切なのは そんなことじゃなくて

一緒に いてくれるんだ ちっぽけなことで喜んで 嬉しがって なんだか倖せそうに笑って なんでだ? 自分のことばっかもっと考えてりゃいいのに なんでなんだ? そういうの損してるとか思わないか? バカみたいだとか いいコトなんかひとつもないとか 

好きだ

好きだよ そんな おまえが こんなにも

これは漫画で読むことの醍醐味だなあと。頁を捲るとパッと台詞が目に入る瞬間のインパクトとか、コマ割りとか文字の大きさとか位置取りとか…アニメではそういう表現はできないので。加えて最後の倒置法がたまらない。紅葉の話してくれた『世界で一番バカな旅人』の内容も相まって、夾の透への想いが狂おしいほどに伝わってくる。


草摩由希

画像3

おまえは…夾(おまえ)で 俺は由希(おれ)でしか なくて… 自分は自分にしかなれない 自分を受け止めて 自分と……向き合うしか…っ …守ってただろ!!? ちゃんとおまえ 守ってただろ!! ”嬉しい”とか! ”倖せ”だとか!! ちっぽけなことかもしれないけど ヒーローみたいに超人的な 力じゃないかもしれないけど側に いて 本田さん 笑ってただろ…!? 俺が側にいて同じこと できると本気で思ってんのか!? いい加減にしろ おまえにしか できないことがあるって もっと 自覚しろよ! 泣かすなよ!! しっかりしろよ!!! 

何ボサっとしてるんだ…? おまえの憧れている俺様がここまで言ってやってるんだぞ… バカ猫…っ

喧嘩ばかりしていたけど、実はお互いに憧れ合っていた二人。ここはアニメで見て、改めていいシーンだなあと。島﨑信長さんの演技もすごくよかった。最後に由希が敢えて「俺様」と言っているのも非常にいい味を出している。個人的には、由希と真知のカップリングが好きだからそこから選ぶかどうか迷ったけど、やっぱり由希が透に対して抱いていた想いだって、けして嘘じゃなかったわけで。


草摩潑春

画像4

俺はガキだけど リンが一人で傷ついても気づかないで 俺なんかくだらないなって思ったけど でも あの頃よりはガキじゃない リンを自分で担いで歩けるぐらいには なった だからリンを諦めない リンも 一人で歩けるところは歩けばいいし ダメな時は担がれればいいんだ むしろ担ぐし 重荷なんかじゃない 重荷なんかじゃ ないんだよ

最近、潑春の評価が急上昇している件。きっと、現在では男性キャラの中では1、2を争うぐらいのお気に入り。リンにとってはもちろんだけど、由希にとっても節々でいい相談相手になってくれてホントに潑春がいてくれてよかった。好きな人を担ぐという行為。重荷なんかじゃないし、むしろその重みを感じられることが嬉しい。


草摩杞紗

画像5

平気だなんて… どうしてわかるの…? 心の底に... 何を抱えてるのかわからないのに… 触れて...ないのに ”大した事ない”   なんて...言ったら駄目だよ… 決めつけたら 駄目だよ…

「…...」の多さが実に杞紗らしい・・・のはさておき、けっこうドキッとした台詞。現実でも、こういうことを考慮しなくてはいけない場面はけっこうあると思う。普通はなんてことのないはずの言葉であっても、その人にとっては特別な意味を持つこともある。


草摩紅葉

画像6

そういう …言い方は ボク達がまるで とても「良い事」をしてるみたいだ… でも 違うよ ボク達が… ボクが間違っているんだ …そもそも それでも トールと過ごす想い出を作りたがる ボクは勝手 トールのこと 大好きなボクは …勝手

フルバ屈指の名言製造請負人の紅葉。『世界で一番バカな旅人』の話や母親の記憶の隠蔽の話を選ぶかどうかも迷ったけど、「ボク達がまるでとても『良い事』をしてるみたいだ…」という言い回しがすごく印象的だったので。透を草摩家の事情に巻き込んでしまっていることに対する罪悪感はあれど、それでも透のそばにいたいと願うのは本当に勝手なことなのだろうか。いや、彼女がそんな風に思うわけがない。けれども、途方もなく優しい彼はそれすら慮ってそっと傷ついてしまうのだ。


草摩はとり

画像7

悪いとか 悪くないとか そういう… 事じゃない 傷つく人間も いるという事だ …… そういう… 人間だっているんだ

正直、いまだに消化しきれていない台詞。綾女のかつての人間性を如実に表しているシーンだが、はとりの人間性も同時に浮き彫りにしている。素直にこの場面を見た人なら、綾女は「悪い」し「そういう人間しかいない」と考えるのが普通だと思う。そこを敢えて彼女を例外みたいに扱うのはやはり納得がいかない。もちろん、はとりは「普通」の側の人間だと思うし、相手が綾女であるから敢えてそういう表現を選んでいるのだろうが、なおさら何故?という疑問は尽きない。もし、ここで何かを達観してしまっているのだとしたら、それは彼に対してなのか、それとも自分に対してなのか…。


草摩綾女

画像8


きっと 君に無い物を ボクが持ち ボクが無い物を 君が持って 生まれてきたのさ …ボクは 君の持つ 弱さや 優しさは とても 尊い物だと 思っているよ

実はフルバの男性キャラでは1、2を争うぐらいお気に入りの綾女。最近は潑春もお気に入りだけど、それまではダントツ1位だったといっても過言ではない。「兄」としての由希への言葉の数々は、それがかつて大切なものに気付かずにいた自身の経験とそれに対する反省から生まれたものなので、一々含蓄があって心に響くのである。ここでも、ややもしたら由希が自分の欠点と思っているかもしれない「弱さ」を肯定し、そんな君だからこそ君は君らしくあることができるんだと優しく導いている。


草摩依鈴

画像9

…おいしいよ

短っ(笑 でも、強くて攻撃的な言葉が多い彼女だからこそ、一人でいる時にふと零したこの言葉がとても印象的だったので。これまでの彼女の言動が全て肯定されるわけじゃないけれど、根は優しい子なんだと思ってしまう。何気に弱点だらけで駄目なところも多いけど、それらを全て帳消しにしてしまう妖艶な美貌とスタイル。う~ん、美人はズルい。


草摩燈路

画像10

それ... は... 責めてるの? リンの言い方は まるで 親に愛される事は間違っているみたいだ 平穏は軽薄で 悪い事みたいだ…

紅葉のところで選んだ台詞といい、どうやら自分はこういう言い回しが大好きらしい(笑 燈路は、いったい君は何歳なんですか?というぐらい口達者な台詞が多いけど、その実内面は年相応に幼くてそのギャップが印象的。でも、少なくとも自分が大切だと思っている人に対しては、思いやりがあって優しくできるのは最初からブレていない。本編での心の成長と相まって、その範囲がもっと広がっていけば、きっと魅力的な大人の男性になれるはずだ。


草摩利津

画像11

どうぞ心ゆくまで このお皿の牛乳を お飲みください…っ

正直、あんまり思い入れのないキャラだけど、登場時のギャグシーンの数々は割と面白かった。でも、その後はあまり出番に恵まれなかったのは仕方ないか。シリアスシーンに入れるの難しそうだし…。


草摩紅野

画像12

壊れそうなほど泣いてすがった この 女の子の為に 生きて いこうって… ...誰よりも 弱くて 誰よりも 脆くて 臆病な 慊人(あのこ)の為に 哀しい 女の子の為に...

今でこそ慊人が女性だってことを当然のように感じているけど、当時は衝撃的だった。それまでは、紫呉や紅野を筆頭に男性の十二支に絡む慊人のシーンはそれはもうホモォな空気に溢れていたわけで。それも少女漫画なら、らしいといえばらしいかなと思っていたけど、その執着も女性の十二支への冷たい態度もストレートに納得できるものになった。旧作のアニメでは完全に男性として描かれていた気がするけど、作者もそのミスリードは承知の上だったのかもしれない。さすがに、これが後付け設定だというのは考えにくいので。どうでもいいけど、紅野って空を飛んでいる時に変身が解けたら大事故になっちゃうと思うんだけど、怖くなかったのかな…?


草摩紫呉

画像13

そう 僕は君が とても嫌いだ ハッキリ言ってあげる僕に感謝してくれよ これで思う存分 悲観ぶることができるだろ? 良かったねぇ

紫呉のブラックさがこれでもかと発揮された台詞。自分の台詞の効果をハッキリと自覚した上での口撃は、さすが小説家といったところ。とはいえ、全てが明らかになった後では、紫呉の心情も理解できなくはない。自分が独占してしまいたい慊人に気に入られ、常に側に控える紅野。慊人と最初に寝たのも紅野だったみたいだし、従順な紅野が常に側にいるから、いつまでたっても慊人に思い知らせてやることができない。それは彼にとってとても歯痒く、非常に憎たらしい存在だったことだろう。


草摩楽羅

画像14

…… お願い もう少しだけ… 私のことで 困ってみせてよ….......

夾の気持ちが揺るぎないものであることを知りながら、最後の我儘をお願いする楽羅。辻褄合わせだったはずが、いつしか本物に変わっていた恋心。その締め括りへの入りとしては最高の台詞だったと思う。なお、個人的にはフルバの女性キャラの中ではかなり上位でお気に入りの彼女だけど、連載中の人気ランキングではあまり振るわなかった模様。女性読者からはあまりウケがよくなかったからなんだろうけど、やっぱり「お邪魔虫」とか「卑怯者」って受け取る人が多かったんだろうか…。


草摩慊人

画像15

いやだ 今さら こんな世界で 生きてなんかいけない ”約束”も ”絆”も ”永遠”も無い 他人なんかと 生きて いくなんて …恐い 恐い… 恐いよ 愛される 保証も無いのに そんな他人に 囲まれて 生きてなんか いけない いけない…っ

普通の人が生きていく上で当たり前のことでも、慊人にとってはそれが例えようもない恐怖になる。彼女のこれまでの生き方を思えば、気持ちは十分すぎるほど理解できる。彼女もまた、「絆」の呪いに翻弄された一人であったのだ。だが、保証がないからこそ得られる喜びは、また別格なものであるはず。これからは、それを少しずつ知っていってほしいと思う。


魚谷ありさ

画像16

…ムダで 悪かったな...っ あたしとアンタはそのムダな時間に 会えたんだけどな…っ あたしはムダなんかじゃないって …思ったけどな! コンビニで会って こうして ソバ食って あたし …あたしは あたしが思ってたより ずっと ずっと… ずぅっと アンタに会いたかったからっ だから 嬉しかったけどな!!

誰にとっても時間は有限だし、忙しい現代社会ではどうしても心の余裕は無くしがちになるから、人生にムダな時間なんてない…と言い切ることはできない。もちろん、ここで語られているのはそういうことではないんだろうけど、自分にとっては大切な時間だったのに相手にとってはそうではなかったと言われれば、傷つくのは当然のことである。きちんとそれに気付いた紅野は偉いし、ありさは恋の描写でキャラとしての魅力がグッと増した感がある。


花島咲

画像17

感謝しているわ… 父さん達と …貴方に

咲は透とありさという親友に恵まれたけど、それ以上に家族の愛情に恵まれていたことも大きな救いだったと思う。というか、あんな家族ってホントにいるのかなって思ってしまうぐらい優しい両親と祖母、そして弟の恵が眩しすぎた。関係ないけど、咲の母親と燈路の母親の五月さんの顔が非常に似ていることに今更気が付いた。


真鍋翔

画像18

…なぁ どこに立てば オレにも 同じモンが見れる? 同じ目線で 傷つける前に おんなじ気持ち 理解できる? びっくりしちゃった おんなじようなコト言うんだもん …アイツと びっくりして... ムカついちゃったよ だってさ… …... いいよなぁ いいなぁ... 由希は 理解(わか)ってさ...

当初はぶっ飛んだ印象だった翔だけど、彼もまた人並みに悩む高校生の男子だったと分かる台詞。翔も夾と同様に自然と周りを惹き付ける魅力を持っていて、それに少なからず苦手意識とコンプレックスを感じていた由希だけど、そんな彼に「いいなぁ…」と呟かれたことで泣きそうになってしまう。なにげに由希にとっては、草摩と関わりのない初めての男友達だったんじゃなかろうか。


倉伎真知

画像19

… 私…... お礼が したく… なったんです 本田... 先輩に 私 全然... 関係ないって でしゃばってるってわかってるけど でも 私 会長みたいな 人間(ひと)が この世にいてくれたこと 嬉しくて そんな会長を 守ってくれて いたなら 感謝… したいから だって 会長が たとえばホントに 小鹿みたいに 弱くたって そんな会長だったから 私みたいな人間に 気づいて 声をかけてくれたんだって 思うから そんな会長が いてくれたこと 本当に 嬉しいからっ

由希と真知の恋路のクライマックス。かつての綾女や潑春の言葉もここで見事に収束しているあたり、作者にとっても会心のシーンとなったのでは。由希と真知のカップリングをこよなく愛する自分としてはもう感無量だったというかなんというか…とりあえず真知が可愛すぎてキュン死しそうになった。そんな由希だったからこそ真知に気づいたけれど、逆にそんな真知だったからこそ由希をみつけられたっていうのもまた事実なわけで。なんかこっちまでめちゃくちゃ嬉しくて温かい気持ちになった。そんな二人に感謝。


藤堂公

画像20

ゆんゆぅ~ん♡ 大好きな生徒会長のゆんゆんさぁ~ん♡ 会議がぁ始まっちゃうからぁ 急いで 公のトコロまで 来てくださぁ~い♡ …あっ やだぁ 違~う ”生徒会室に”だったぁ! 公 間違えちゃったよぉ ごめんね ゆんゆん♡ でも公 待ってるからぁ 早く来・て・ね♡

公って、人生楽しそうやなぁ~。でも、めっちゃ笑った(笑


桜木直人

画像21

別れの次は 出会いですからっ さよならの次は 初めましてですからっ …ですからっ ですから これからも 卒業しても 元気で 元気で 笑って いてくれるよう 祈ってますから…

ずっと由希に対して面白くなさそうな様子だったけど、こういうことなら納得である。果たして、皆川先輩は彼の気持ちには気付いているのだろうか…?


皆川素子

画像22

そういうことは 存外 おあいこだったりするものですよっ 私にも私に    ずっと片想いしていらした男性(かた)がいたかもしれ…

キャラデザでいえば、フルバで1、2を争うぐらいのお気に入りの皆川先輩。というか、プリンス・ユキ会長であることによる奇行以外に欠点らしい欠点もなく、彼女が気付いていないだけで普通にめちゃくちゃモテてそうなんですが…。あと、旧作のアニメで茶髪だったからか、新作のアニメの髪の色に違和感しかなかった件。調べたらこれは原作者も了承済で、むしろ藍色の髪の方が原作の公式設定らしい。漫画のトーン的には茶髪に見えるんだけどなあ...。


本田今日子

画像23

疑うなんて 誰にでもできる簡単なことだし 透は信じてあげな 透は信じてあげられる子になりな それはきっと 誰かの力になる

キャラへの思い入れとかそういうの抜きにしたら、フルバで一番「ああ、いい言葉だなあ…」と思った台詞かもしれない。自分もまずは何でも疑ってかかるところがあるから、欺瞞とか皮肉とか裏を読もうとしないでありのままに信じるっていうことの難しさは身に染みて分かっている。それこそ『世界で一番バカな旅人』の話も含めて、この辺りは作者の物の考え方を端的に表している一幕なのかもしれない。



いいなと思ったら応援しよう!