フルーツバスケット~各キャラからお気に入りの台詞を一つずつ選んでみた~(ネタバレ注意)
注:原作準拠で選んだので、アニメではカットされていたり改変されていたりする台詞もあるかもしれませんがあしからず。
本田透
透の台詞からどれか一つ選ぶならやっぱコレだな、と。夾と由希の関係性なんかは正にそのとおりで。序盤の台詞なんだけど、終盤で夾と由希がそれを回収するのもいい伏線だと思った。ちなみに、透が一番可愛かったのは「一緒…に……一緒にお出掛けできるだけで…嬉しいです…」のところ。これは夾みたいに思わず壁に頭をぶつけたくなっても仕方ない(笑
草摩夾
これは漫画で読むことの醍醐味だなあと。頁を捲るとパッと台詞が目に入る瞬間のインパクトとか、コマ割りとか文字の大きさとか位置取りとか…アニメではそういう表現はできないので。加えて最後の倒置法がたまらない。紅葉の話してくれた『世界で一番バカな旅人』の内容も相まって、夾の透への想いが狂おしいほどに伝わってくる。
草摩由希
喧嘩ばかりしていたけど、実はお互いに憧れ合っていた二人。ここはアニメで見て、改めていいシーンだなあと。島﨑信長さんの演技もすごくよかった。最後に由希が敢えて「俺様」と言っているのも非常にいい味を出している。個人的には、由希と真知のカップリングが好きだからそこから選ぶかどうか迷ったけど、やっぱり由希が透に対して抱いていた想いだって、けして嘘じゃなかったわけで。
草摩潑春
最近、潑春の評価が急上昇している件。きっと、現在では男性キャラの中では1、2を争うぐらいのお気に入り。リンにとってはもちろんだけど、由希にとっても節々でいい相談相手になってくれてホントに潑春がいてくれてよかった。好きな人を担ぐという行為。重荷なんかじゃないし、むしろその重みを感じられることが嬉しい。
草摩杞紗
「…...」の多さが実に杞紗らしい・・・のはさておき、けっこうドキッとした台詞。現実でも、こういうことを考慮しなくてはいけない場面はけっこうあると思う。普通はなんてことのないはずの言葉であっても、その人にとっては特別な意味を持つこともある。
草摩紅葉
フルバ屈指の名言製造請負人の紅葉。『世界で一番バカな旅人』の話や母親の記憶の隠蔽の話を選ぶかどうかも迷ったけど、「ボク達がまるでとても『良い事』をしてるみたいだ…」という言い回しがすごく印象的だったので。透を草摩家の事情に巻き込んでしまっていることに対する罪悪感はあれど、それでも透のそばにいたいと願うのは本当に勝手なことなのだろうか。いや、彼女がそんな風に思うわけがない。けれども、途方もなく優しい彼はそれすら慮ってそっと傷ついてしまうのだ。
草摩はとり
正直、いまだに消化しきれていない台詞。綾女のかつての人間性を如実に表しているシーンだが、はとりの人間性も同時に浮き彫りにしている。素直にこの場面を見た人なら、綾女は「悪い」し「そういう人間しかいない」と考えるのが普通だと思う。そこを敢えて彼女を例外みたいに扱うのはやはり納得がいかない。もちろん、はとりは「普通」の側の人間だと思うし、相手が綾女であるから敢えてそういう表現を選んでいるのだろうが、なおさら何故?という疑問は尽きない。もし、ここで何かを達観してしまっているのだとしたら、それは彼に対してなのか、それとも自分に対してなのか…。
草摩綾女
実はフルバの男性キャラでは1、2を争うぐらいお気に入りの綾女。最近は潑春もお気に入りだけど、それまではダントツ1位だったといっても過言ではない。「兄」としての由希への言葉の数々は、それがかつて大切なものに気付かずにいた自身の経験とそれに対する反省から生まれたものなので、一々含蓄があって心に響くのである。ここでも、ややもしたら由希が自分の欠点と思っているかもしれない「弱さ」を肯定し、そんな君だからこそ君は君らしくあることができるんだと優しく導いている。
草摩依鈴
短っ(笑 でも、強くて攻撃的な言葉が多い彼女だからこそ、一人でいる時にふと零したこの言葉がとても印象的だったので。これまでの彼女の言動が全て肯定されるわけじゃないけれど、根は優しい子なんだと思ってしまう。何気に弱点だらけで駄目なところも多いけど、それらを全て帳消しにしてしまう妖艶な美貌とスタイル。う~ん、美人はズルい。
草摩燈路
紅葉のところで選んだ台詞といい、どうやら自分はこういう言い回しが大好きらしい(笑 燈路は、いったい君は何歳なんですか?というぐらい口達者な台詞が多いけど、その実内面は年相応に幼くてそのギャップが印象的。でも、少なくとも自分が大切だと思っている人に対しては、思いやりがあって優しくできるのは最初からブレていない。本編での心の成長と相まって、その範囲がもっと広がっていけば、きっと魅力的な大人の男性になれるはずだ。
草摩利津
正直、あんまり思い入れのないキャラだけど、登場時のギャグシーンの数々は割と面白かった。でも、その後はあまり出番に恵まれなかったのは仕方ないか。シリアスシーンに入れるの難しそうだし…。
草摩紅野
今でこそ慊人が女性だってことを当然のように感じているけど、当時は衝撃的だった。それまでは、紫呉や紅野を筆頭に男性の十二支に絡む慊人のシーンはそれはもうホモォな空気に溢れていたわけで。それも少女漫画なら、らしいといえばらしいかなと思っていたけど、その執着も女性の十二支への冷たい態度もストレートに納得できるものになった。旧作のアニメでは完全に男性として描かれていた気がするけど、作者もそのミスリードは承知の上だったのかもしれない。さすがに、これが後付け設定だというのは考えにくいので。どうでもいいけど、紅野って空を飛んでいる時に変身が解けたら大事故になっちゃうと思うんだけど、怖くなかったのかな…?
草摩紫呉
紫呉のブラックさがこれでもかと発揮された台詞。自分の台詞の効果をハッキリと自覚した上での口撃は、さすが小説家といったところ。とはいえ、全てが明らかになった後では、紫呉の心情も理解できなくはない。自分が独占してしまいたい慊人に気に入られ、常に側に控える紅野。慊人と最初に寝たのも紅野だったみたいだし、従順な紅野が常に側にいるから、いつまでたっても慊人に思い知らせてやることができない。それは彼にとってとても歯痒く、非常に憎たらしい存在だったことだろう。
草摩楽羅
夾の気持ちが揺るぎないものであることを知りながら、最後の我儘をお願いする楽羅。辻褄合わせだったはずが、いつしか本物に変わっていた恋心。その締め括りへの入りとしては最高の台詞だったと思う。なお、個人的にはフルバの女性キャラの中ではかなり上位でお気に入りの彼女だけど、連載中の人気ランキングではあまり振るわなかった模様。女性読者からはあまりウケがよくなかったからなんだろうけど、やっぱり「お邪魔虫」とか「卑怯者」って受け取る人が多かったんだろうか…。
草摩慊人
普通の人が生きていく上で当たり前のことでも、慊人にとってはそれが例えようもない恐怖になる。彼女のこれまでの生き方を思えば、気持ちは十分すぎるほど理解できる。彼女もまた、「絆」の呪いに翻弄された一人であったのだ。だが、保証がないからこそ得られる喜びは、また別格なものであるはず。これからは、それを少しずつ知っていってほしいと思う。
魚谷ありさ
誰にとっても時間は有限だし、忙しい現代社会ではどうしても心の余裕は無くしがちになるから、人生にムダな時間なんてない…と言い切ることはできない。もちろん、ここで語られているのはそういうことではないんだろうけど、自分にとっては大切な時間だったのに相手にとってはそうではなかったと言われれば、傷つくのは当然のことである。きちんとそれに気付いた紅野は偉いし、ありさは恋の描写でキャラとしての魅力がグッと増した感がある。
花島咲
咲は透とありさという親友に恵まれたけど、それ以上に家族の愛情に恵まれていたことも大きな救いだったと思う。というか、あんな家族ってホントにいるのかなって思ってしまうぐらい優しい両親と祖母、そして弟の恵が眩しすぎた。関係ないけど、咲の母親と燈路の母親の五月さんの顔が非常に似ていることに今更気が付いた。
真鍋翔
当初はぶっ飛んだ印象だった翔だけど、彼もまた人並みに悩む高校生の男子だったと分かる台詞。翔も夾と同様に自然と周りを惹き付ける魅力を持っていて、それに少なからず苦手意識とコンプレックスを感じていた由希だけど、そんな彼に「いいなぁ…」と呟かれたことで泣きそうになってしまう。なにげに由希にとっては、草摩と関わりのない初めての男友達だったんじゃなかろうか。
倉伎真知
由希と真知の恋路のクライマックス。かつての綾女や潑春の言葉もここで見事に収束しているあたり、作者にとっても会心のシーンとなったのでは。由希と真知のカップリングをこよなく愛する自分としてはもう感無量だったというかなんというか…とりあえず真知が可愛すぎてキュン死しそうになった。そんな由希だったからこそ真知に気づいたけれど、逆にそんな真知だったからこそ由希をみつけられたっていうのもまた事実なわけで。なんかこっちまでめちゃくちゃ嬉しくて温かい気持ちになった。そんな二人に感謝。
藤堂公
公って、人生楽しそうやなぁ~。でも、めっちゃ笑った(笑
桜木直人
ずっと由希に対して面白くなさそうな様子だったけど、こういうことなら納得である。果たして、皆川先輩は彼の気持ちには気付いているのだろうか…?
皆川素子
キャラデザでいえば、フルバで1、2を争うぐらいのお気に入りの皆川先輩。というか、プリンス・ユキ会長であることによる奇行以外に欠点らしい欠点もなく、彼女が気付いていないだけで普通にめちゃくちゃモテてそうなんですが…。あと、旧作のアニメで茶髪だったからか、新作のアニメの髪の色に違和感しかなかった件。調べたらこれは原作者も了承済で、むしろ藍色の髪の方が原作の公式設定らしい。漫画のトーン的には茶髪に見えるんだけどなあ...。
本田今日子
キャラへの思い入れとかそういうの抜きにしたら、フルバで一番「ああ、いい言葉だなあ…」と思った台詞かもしれない。自分もまずは何でも疑ってかかるところがあるから、欺瞞とか皮肉とか裏を読もうとしないでありのままに信じるっていうことの難しさは身に染みて分かっている。それこそ『世界で一番バカな旅人』の話も含めて、この辺りは作者の物の考え方を端的に表している一幕なのかもしれない。