もう、戻れない(あんこ祭り)|酒と肴 その六十
食材のストックが充実していると、幸せを感じるタイプです。
貯金についても同じ考えですが、こちらはうまく行きません。ストレスはヒサン(1日3割)でたまり、トラブルは複利で増えますけれど、口座の数字は一進一退。投資信託に関しては、華麗にムーンウォーク*をキメてくれます。
*ムーンウォーク
足を交互に滑らせ、前に歩いているように見せながら後ろに滑るストリートダンスの技法である(Wikipediaより)
私はいつでも待っているのに、来てもすぐ別のところへ出ていくお金。どうやら都合のいい相手と思われている節があります。
いっそ「もう来ないで」と言えたら楽なんですが、一度でも身を委ねたら、別れることはできません。惚れた立場のもどかしさ、いつかは両想いになれるのでしょうか。
シンク下の収納を片付けつつ、そんな事を考える日曜日。まあ、つまりは暇なんですね。
気を抜くと、ため込んだ食材で魔窟になりかねないシンク下。乾物や缶詰、買い置きの調味料などを整理していたら、春先に買った小豆と、沖縄フェアで入手した泡盛コーヒーが出てきました。
いくつかのイベントが重なり、ちょうど懐が寂しい状況です。これ幸いと、あんこを拵え一杯やることにします。
冷凍庫から発掘したマフィンに、あんことバターをのっけて頂きます。あんこと乳脂肪分の組み合わせって、何でこんなに美味しいのでしょう。口に入れると脳に直接くる刺激、ケミカルな福音にまみれる背徳。漆黒の泡盛コーヒーが、犯した罪を隠してくれます。
続いてはマスカルポーネチーズと胡桃。こちらもバターに負けない乳脂肪分。いけないと分かっているのに、後悔すると知っているのに衝動を抑えられません。だけど、これこそが快楽。抗える程度の誘惑なんて、きっと本当ではないのです。
最後は、きなこミルクプリンにあんこを乗っけて丼に。これまでが乳脂肪分80%越えと刺激的過ぎたせいか、麻痺して優しいお味に感じます。これが「ギャップ萌え」でしょうか(違います)。それでも摂取する砂糖の量は、本日のハイスコアを更新です。
こうして悪魔に身を任せた休日、あんこ祭りと言う名の黒ミサは過ぎていきます。胃もたれや明日の体重計など心配は尽きませんが、今日が幸せなら良しとしましょう。
危険な相手ほど魅力的なんて、よく聞く話。お金もそうですが、何かを得るためには何かを差し出さなければならないのです。
メニューと材料
・あんこ(小豆、砂糖、塩、昆布)
・あんバタマフィン(あんこ、バター、マフィン)
・あんマスカルポーネ(あんこ、マスカルポーネチーズ、胡桃)
・あんプリン丼(あんこ、牛乳、砂糖、きなこ、粉ゼラチン)