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GEZAN『wasted youth』 2010年代の一曲
GEZANのプロフィール
2009年に大阪で結成されたオルタナティブロックバンド。
2012年、拠点を東京に移し全国各地で独自の視点をもとに活動を行う。
国内外の多彩な才能をおくりだすレーベル・十三月を主催。
『面白さの価値は自分で決めてほしい』というコンセプトから、
入場フリーの投げ銭制の十三月主催野外フェス「全感覚祭」を
2014年より開催している。
2020年1月には5枚目となるフルアルバム「狂 -KLUE-」を発表、
2021年5月に新しいベーシスト ヤクモアが加入し、
FUJI ROCK FESTIVAL 2021より新体制にて始動する。
gezan.net/profile
GEZANの好きなところは、ブレることなくやりたいことをやり続ける姿勢のようなところ。
激しさとやさしさが共存しているところ。
2016年リリースの3rdアルバム
「NEVER END ROLL」
本作は「天国で活動してるパンクバンドのGIGをラジオの電波が拾ってしまった」をコンセプトに録音された全13曲が収録されている。
コンセプトどおりに聴いていると、気持ちよく曲が流れてゆく。
ちょうどジャケットカバーアートのように。
「NEVER END ROLL」の5曲目
『wasted youth』
この曲についてボーカルのマヒトゥ・ザ・ピーポーは、
アルバムに“wasted youth”っていう曲があるけど、俺の言う「youth」って、無知であることを許容することなんです。
その代わり、時代がどうであれ、自分らが楽しめる空間だけは誰にも譲らない。それが、俺たちが今をサバイブしていくやり方なんだと思う。
カスの生き方もあるっていうか……bloodthirsty butchersが歌う、<悪い大人の手本でいたいんだ>っていうことだと思う。
cinra.net
と、インタビューで語っている。
『wasted youth』の ”wasted” は、”無駄な” ”活かされてない” で、”youth” は ”若者” ”若い頃” のような意味だろうか。
不安定なラジオ電波のような不穏なイントロはカッコよく、楽曲に既視感ならぬ既聴感はなく、私にはとても新鮮に響いた。
ミュージックビデオは
アメリカのパンク・ロック・バンドNOFX、ハードコア・パンク・バンドVoidやBlack Flag、Minor Threat、ハードコア・バンドFugazi、パンクロック・バンドDescendents、などの映像が流れる。
正しい行き場を求めてさまよう若者たちの消化不良のエネルギーが、それぞれのバンドにぶつかっている。
切迫し、たたみかけるサウンドは若者たちの焦燥感、得体のしれないモヤモヤを発散したいという衝動を表現しているような気がする。
ミュージシャンも反応
2005年に結成された3人組オルタナティヴ・ロックバンド People In The Boxのボーカル・ギター波多野裕文は、
息を呑む。美しくて。GEZAN / wasted youth https://t.co/vFANZFnRZZ
— 波多野裕文 (@Hatano_Hirofumi) September 28, 2016
「息を呑む。美しくて。」とつぶやいている。
また、シンガーソングライターの長谷川白紙も、
き、聴くと感情になる…
— 長谷川白紙 (@hsgwhks) February 4, 2019
GEZAN / wasted youth https://t.co/uRucrTOrzA
「き、聴くと感情になる…」とのつぶやき。
たしかに二人のように、サウンドはもとよりバンドの覚悟のようなものからして美しく(自分からこんな感情が湧くんだ、揺さぶられてる…)のような驚きもある。
その後
2018年の4thアルバム「Silence Will Speak」では少しハードコアに。
解体と再構築をループしつづける街・東京で、永遠にダンスのステップを踏みつづける人間をテーマにした、2020年の5thアルバム「狂 -KLUE-」と着実にリリースを重ね、新しい段階へと進化を遂げてゆく。
そんな流れのなかでも聴きつづけていきたい一曲が『wasted youth』なのです。