「バンクシーって誰?」展に行ってきた!
神出鬼没のストリートアーティスト、バンクシー。
私がその名前を知ったのは2018年「少女と赤い風船」を描いた作品が落札直後、彼自身が仕込んだシュレッダーで突然裁断されたニュースを見た時です。
今でもその時の映像をはっきりと思い出せます。
割と最近でも地下鉄の車内に絵を描き、すぐに全部消されたと言うニュースを見ました。異端児とみられているバンクシー。公共のものに描くスタイルは賛否両論あるそうです。
ストリートアーティストである以上、せっかく描いた絵は消されたり壁自体撤去されたりしてなくなってしまいます。
この記事ではすでにこの世にはない彼の作品も含めて、彼がどんな作品を残したのか紹介したいと思います。
会場の雰囲気も映画のセットのように臨場感があってとてもよかったです。
バンクシーって誰?
※ 私はただの絵画好きです。
作品には戦争に参加しているイギリス政府を揶揄しているものが多いです。私はこの記事を通してどの国も政治も人も批判するつもりは一切ありません。
はじめに
作品は全て写真に撮りましたが、ここではごく一部のみご紹介したいと思います。これから書くコメントは主に絵の横に書いてあった説明文を参考にしました。
私が感心したのは、バンクシーが描いた場所の “雰囲気” がわかりやすいように映画のセットさながら再現されていることでした。
ポスター、小物、草、空き缶、落書き、暗さ、効果音まであり、とてもよかったです。
またバンクシーが実際に描いた場所の写真が横に貼ってあり、どうしてこの場所に描かれたのかという理由も知れて興味深かったです。
ではルート順に見ていきましょう。
2005年「Flower Thrower」
会場に入って最初の絵はこの美術展の顔にもなっている、火炎瓶の代わりに全力で花束を投げる抗議者風の人物です。場所はイスラエルとパレスチナの紛争地帯。2005年頃、狙撃される危険を犯してこの絵を描いたとのこと。
憎しみと暴力の連鎖ではなく、愛こそが平和をもたらすというメッセージが読み取れるようです。
2020年12月10日「Aachoo!!」
傾斜が22度もある坂道を利用した作品。
おばあさんがくしゃみをすると入れ歯が飛び出しています。またその勢いで家が傾いていると言う遊び心が秀逸。
コロナ渦に書かれたことでマスクをつけないことへの警告とも考えられているそうです。
以下の2作品は塗り消されてしまってもう見ることはできません。
2014年「Spy Booth 」
世界最高峰の情報組織を持つイギリス。本物の電話ボックスを取り囲み通話の内容を盗聴中と言う作品です。
2008年「Whitewashing Lascaux 」
ラスコー洞窟の壁画を消す作業員の絵。
旧石器時代に描かれた洞窟の絵は最古のグラフィティーのよう、アートの起源ともいえる。でも現代におけるグラフィティーは“非合法”ゆえに消される。
バンクシーがウォータールー駅近くのトンネル内で行ったザ・カンズ・フェスティバルで描いた作品で合法的に描かれたものでしたが、今では誰かに消されてしまっています。
合法的に書いたとしても消されてしまった彼の作品。この絵のメッセージとリンクしているようでした。
2014年「Girl with a Pierced Eardrum」
フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」の耳飾りを黄色い警報機で代用した作品。2020年4月22日、医療用マスクが加えられていました。
2016年「Les Miserables 」
ロンドン。ミュージカル「レ・ミゼラブル」のポスターを基にした絵。フランス、カレーの難民キャンプで催涙ガスが使用されたことへの抗議として描かれた。
左下にはスマホで読み込めば実際の映像が見れるQRコードまで描かれているそうです。催涙ガスは使っていないと言い張るフランス警察に突きつけた動かぬ証拠になってるそう。
下の写真を撮った時、自動でQRコードを読み込んで、なんとその動画に飛びました!美術展の面白い仕掛けですね。
バンクシー作品の取引価格は年々高騰し2020年にロンドンで開かれたオークションでは約25億円で落札。バンクシーが自分の作品に大金を叩く人々を軽蔑している事は有名らしい。この絵には『こんなガラクタを買う馬鹿の気が知れない』と言うメッセージが書き込まれているそうです。
2013年「Hammer Boy 」
実際に設置されている消火栓を叩き割ろうとしている少年の絵。唯一完全な形で残ったスプレーアート。
この作品の延長線にネズミのこの映像を発見しました!多くの人は気づかずに通り過ぎる中、たまたま発見しました。2か所は確認できましたが、もしかしたらもう通り過ぎてしまったところにもあったのかもしれません……。
よかったら、ぜひ行かれた時に探してみてくださいね!
バンクシーは猿やネズミを使って、社会風刺に満ちたメッセージを投げかけているそうです。
2015年「Giant Kitten 」
ガザでの可愛らしい子猫の絵。
SNSではこの地の紛争よりも子猫の写真を人々が夢中になって見ている。その事実に注目して“子猫”を描くことにしたそうです。たちまち世間の注目を集め国際的な支援団体がこの地区の人々の援助をすることに。バンクシーの作戦勝ちだったという話。
子猫は戦争によって作られた鉄のボールで遊ぼうとしているようです。
バンクシーは「ジョブズはシリア難民の息子だぜ。その昔、彼の父親をアメリカが受け入れたから、年間70億ドルもの税金を払う、世界に冠たるApple社ができたんだ」と声明を発表したとか。
周りには難民キャンプを彷仏とさせる道具がセットされていました。
2005年「Bullet Proofed Dove 」
聖書のノアの箱舟の記述に出てくるオリーブを加えたハトの絵。パレスチナのベツレヘム市街の壁に書かれているそうです。
この絵の目の前はイスラエル軍の監視塔。ハトは平和の象徴ですが防弾チョッキを着ておりその胸はすでにロック・オンされています。
2017年 バンクシーがパレスチナ自治区のベツレヘム市内にオープンしたホテル「The Walled Off Hotel(壁で分断されたホテル)」
目の前には高さ8メートル全長700キロにも及ぶ分離壁が目の前に立ち「世界一眺めの悪いホテル」といわれています。
でもこの目の前の壁にはバンクシーが描いたグラフィティがたくさん描かれており(窓越しに映像が流れています)朝食をとりながら彼とその仲間が描いた作品が見れるそうです。バンクシー好きにはたまらないホテルだそうで、ある意味「世界一眺めのいいホテル」といえるそうですよ。
こちらはホテルの前のチンパンジー。
2002年「Girl with Balloons」
最後の作品は冒頭で触れた、落札が決まった途端シュレッダーにかかった風船と少女の絵。2002年に初めてロンドンの橋のたもとの階段に描かれましたが、現在はもう残っていません。
誰かが “いつだって希望はある” と書き加えたことでこの絵はいっそう深みを増すことに。
美術展の最後には、壁に向かってステンシルで字を描いている最中のバンクシーがいます。彼がどんな顔をしているか……ぜひ行って見てくださいね。
最後にはお土産コーナーがあり、出たところで指定されたアプリをダウンロードすると美術展の顔、「Flower Thrower」のステッカーがもらえました!
また同じ場所に「バンクシーって誰?展」とコラボしている37店舗以上のクーポン券が置いてあります(下の写真参照)。
私たちも行ってきました!それぞれのお店でサービスが異なります。私たちが行ったカフェはドリンク注文のお客様に焼き菓子プレゼント!ちょうど疲れていたので休憩にぴったりでした。
まとめ
「バンクシーって誰?展」は、6月12日まで開催されています。関心のある方はぜひ行ってみてはいかがでしょうか。
バンクシーは明らかに作品を通して強いメッセージを送っていました。
日本に住んでいると自分の生活に目が向いてしまいがちですが、今実際に起きている戦争を含め、平和について考えさせられる機会になりました。