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息子が選ぶ服

今日のおずぼんどれにする?

シャツはどれにしようか。

我が家の1歳4ヶ月の息子は、自分で着る服を毎日自分で選んでいます。選んでいる、というよりも選ばせている、というか。

レギンス(暑い日は短パン)の入った引き出しを出して、そこからひとつ。シャツの入った引き出しを開けて、そこからひとつ。

息子はその時間が結構気に入っていて、お着替えするよー、お洋服選ぼう、と言うと、嬉しそうにやってきます。そして、引き出しをじっと見つめて、ひとつ選びます。今日は、黒地に白の模様がついたレギンスに、黄色のシャツでした。

今日はどれを選ぶかな、とわくわくする時間は、私にとってもとても楽しい時間です。おもちゃで遊んでいるところを見ていると青や緑が好きなようなのですが、意外とそればかり選ぶわけでもなく、最近グレーを選びがちだな、と思っていたら黄色が多くなったり。ひとつじゃなくてふたつ取ることもあるし、気分によっては全部出すこともありますが、おしりはひとつしかないからひとつしかはけないねえ、などと言いながら出した中からまた選ばせたりしています。

もちろん、何を選ぶかはらはらすることもあります。私の中でのNGは、緑のレギンスに赤のシャツ、黄色のレギンスに赤のシャツ。今のところその組み合わせはないのですが、あくまでも私の好みが基準のNGなので、それを選んでも否定はしないつもりです。冬は息子の選んだ服に合わせて私が上着やスタイ、靴下を選ぶのも楽しみでした。

服だけではなくほかにも、例えば新しい本をを買うときやマグを買うとき、夜の歯磨きのときのジェルの味なども、選べるときにはどっちがいい?と聞くようにしています。



息子がまだお腹にいるとき、夫と名前を考えていたときのこと。

どんな子になってほしいとかある?と聞くと、自分で考えて決められるようになってほしい、というようなことを夫が言ったのです。それは私もとても大切だと思っていたことのひとつでした。まだ子育てについて何も話をしていなかったのに、共感できたことがとても嬉しかったのを覚えています。

今は育休中ですが、私は子どもたちと関わる仕事をしています。子どもたちを見ていると、自分の"好き"も大切だけれど、ほかの人にどう受け取られるか、を気にしていることも多いような気がしていました。周りの評価によって自分の"好き"が決まっていく、という方が近いかもしれません。それが悪いことではないのですが、あなたの好きなものは素敵だよ、もっと大切にしてもいいんだよ、と思うこともありました。

誰よりも私自身が、子どもの頃、自分の"好き"に自信がもてない時期がありました。私の母は、子どもの私が自分の感性で選ぶものにおおらかなタイプではなく、服ひとつとっても、私がいいな、と思うものを買ってもらえた記憶がほとんどありません。かわいいピンクやフリルが着てみたかったけれど、それはあなたには似合わないとか、着ているうちにきっと気にいるからこれを着てみて、とか。私の性格が原因で自分に自信がもてなかったこともあると思いますが、私が選んだものが人にどう見られているのか、気にしすぎるようになってしまったのには親の影響もあったと思います。

中学、高校と進むにつれて、自分の"好き"に正直に生きている友達にたくさん出会いました。その子たちは自信に満ちあふれていて、私の目にはとても魅力的に映りました。

そんなふうに、輝く自分になりたい。

長い思春期を乗り越えて大人になった私は、昔に比べて自信もつき、自分に似合う素敵な服を選び、思った道を進み、自分の考えを堂々と話せるようになりました。でも、ふとした瞬間に、卑屈な自分が顔を覗かせて、ああいやだな、と思うこともあるのです。無意識のうちに、行動することをあきらめてしまっている自分に気づくこともあります。今はそんな自分に打ち勝つべく、芯を強くするために自分と向き合っているところです。


息子に自分の服を選ばせる大きな理由は、息子には、自分の"好き"に素直であってほしいからです。

好きなこと、やりたいこと、知りたいことを自分で見つけて、見つけたら、そこに道をつくり、歩いていってほしい。

もちろん、自信がもてなくなることも、思い悩むこともあるでしょう。やりたいことよりもやらなければならないことを優先させなければならないことも、誰かのために"好き"をあきらめなければならないことも。おもちゃの取り合いのような小さなことから、もっと人生にかかわる大きなことまで。それを乗り越えるときにもまた、自分で考えて動いていく力が必要になると思っています。


書いていたら少し大げさなくらい話が大きくなってしまいましたが、服を選ぶということは、彼が自分の力で生きていくための小さな、そして楽しいトレーニングなのです。







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