無償で信じてもらえると、自分の未来が楽しみに思える。
今年の夏はスポーツ観戦で忙しい。オリンピックに甲子園。今日は甲子園とパラリンピックの水泳と車椅子バスケットのチャンネルをパチパチ変えながら応援。
息子くんを駅に迎えに行った車でも甲子園を観ていた。息子くん「ママ、また甲子園観ようるん。ほんま好きじゃねぇ」
あっそっか。私はスポーツ観戦が好きなんだと、彼との何気ない会話から気づく。
幼稚園の頃からどんくさかった私。。。
当時流行っていた『ゴレンジャーごっこ』をするのに、無理やり『ピンクレンジャー』として駆り出され、平均台を走ったり、台の高いところから飛び降りるよう言われたり。。。「嫌」と言えず歯を食いしばって遊んでいたのも、今では笑い話。
「みんなみたいに早く走れない」
「みんなは飛び越えられるのに私には出来ない」
早くも幼稚園時代から劣等感を感じ自信を無くしていた私。
年長さんの誕生日会。
保育士の先生がその月が誕生日の子にカードを作ってくれます。
『かばくんのさんぽ』のイラストの大きな誕生日カード。カードには手形、足形をスタンプするところと先生からのメッセージを書くところがありました。
私の小さな足のスタンプ。それを見て先生が、私に笑顔で言ってくれました。
「カズコちゃんはね、大きくなったら足が早くなるよ」にっこり。
「今はね遅くってもね、ほらね、ここ。ここを見てごらん。『土踏まず』って言うんだよ。ここがねしっかりあるでしょ?この足の形はね、大きくなったら早く走れる足なんだよ。楽しみだねぇ!」
足の遅さがコンプレックスだった私の顔がぱっと笑顔になりました。
私の足は速く走れるようになるんだ!
自分の成長が楽しみになりました。「早く大きくなりたいな♪」
小学生の頃、運動会の徒競走の成績は振るわず。でも高学年の陸上記録会。長距離走なら、早いあの子に追いつけた!!
「幼稚園の先生が言ってくれてたもん!きっと中学校になったら私はもっと早くなれるんだ!」
幼稚園の先生の言葉は私の胸の中にずっとあったかくありました。
私の希望になりました。
中学生になりました。
体力テストの100m走。「やっぱりだ!前より早く走れるぞ!」
夏休みが明け、私は腎臓の病気になりました。
中学生の年代の女の子でこの病気になる確率は100万分の1の確立だと当時のお医者様から言われました。
そして運動は全て禁止。それから体育は全て見学になりました。
その時思い出した幼稚園の先生の笑顔と言葉。お顔は思い出せないけれど。先生と2人で床に座っている。そんな光景を思い出しました。
「先生ごめんなさん。せっかく『早く走れる』って言ってもらったのに。走ることが出来なくなっちゃったよぉ。私のせいだ。ごめんなさい。」
大好きな先生の期待に応えられない自分のふがいなさにポロポロ涙が込み上げました。
今は元気になりました。今でもマラソン・遠泳・登山は禁止。大人になってから走るチャンスはなく、せっかくの『土踏まず』も生かせていません。
でも今でも幼稚園の先生に言われた言葉は私の希望です。
誰かがわたしの未来を信じて楽しみにしてくれている。
わたしの幸せを信じて願ってくれている。
何て幸せなことでしょう。
甲子園でヒットを打った球児。ファーストに突っ込んでギリギリセーフ!
その俊足を見て「この子も『土踏まず』があるのかな」と思い出した話。
わたしには出来なかったスポーツの体験。
応援させてもらうとまるで自分も一緒に参加しているような感動が沸き起こる。
今日も感動をありがとう。
あなたの頑張りは私の希望です。