「迷走文章矯正ギプス」だと感じた本〜パラグラフ・ライティングの入門書を読んだ
『論理が伝わる世界標準の「書く技術」』を読んだ.本書は,パラグラフ・ライティングという,読み手の負担が軽い,情報伝達に特化した文章の書き方を学べる良書である.
読んでいてとてもシンドイ文章にでくわすことがある.この手の文章は「いま何を読まされているんだろう?」,「結局何が言いたかったんだ?」といったように,読み手を迷走させる.
この種の,読み手を迷わす文章を矯正するギプスとして,パラグラフ・ライティングは役くに立つと感じた.というのも,パラグラフ・ライティングには型がある.この型にのっとって書けば,読み手を迷わす文章を書いてしまうことを避けられるだろう.
そんな迷走文章矯正ギプスたりうる,パラグラフ・ライティングの特徴と,本書の優れている点について,以下にまとめた.
1.パラグラフ・ライティングの特徴
パラグラフ・ライティングの特徴は,読み手の負担が軽いことである.読み手の負担を軽くする2つの特徴がある.
①大まかな概要から細かい部分へ
パラグラフ・ライティングでは,大まかな概要から細かい部分への説明といった順番で書く.通常,読み手は大まかな概要から細かい部分へという,説明の順番を好む.なぜなら,話の展開を予測しながら,読み進められるためである.パラグラフ・ライティングでは,1つの段落に1つの論点だけを書く.また,段落の先頭の文に,その段落のメッセージを簡潔に書く決まりだ.そのため,自然に,大まかな概要から細かい部分へという書き方になる.
②飛ばし読みできる構造
パラグラフ・ライティングで書かれた文章は,飛ばし読みができる.段落の先頭の文に,その段落のメッセージが書かれているためである.よって,先頭の文を読み,内容を詳しく知りたいときだけ読み進める,といった読み方ができる.
2.パラグラフ・ライティングで救われる人
パラグラフ・ライティングで救われる人は多いと思う.とくに,以下の人など.
①ネット記事やビジネス文書を書く人
ネット記事やビジネス文書を書く人にとって,パラグラフ・ライティングは役に立つ.これらの文章は,飛ばし読みされる運命にある.情報収集を目的とした読み手にとって理想的な文章とは,読む読まないの判断がしやすく,関心のある部分を見つけやすい文章である.つまり,パラグラフ・ライティングで書かれた文章である.
②文章の書き直しにウンザリしている人(を指導してウンザリしている人)
文章の書き直しにウンザリしている人,そして,その人を指導してウンザリしている人,双方にとってもパラグラフ・ライティングの知識は救いになる.なぜなら,的を得た指摘や質問ができるようになるからだ.たとえば,「このパラグラフのメッセージをもっと具体的に」とか「このパラグラフは2つにわけたほうがいいですか」といったように.
3.本書の優れている点(実体験に勝る説明なし)
パラグラフ・ライティングの本や講座はたくさんあるが,本書で学ぶことを勧める.
本書の優れている点は,パラグラフ・ライティングの知識を得られるだけでなく,パラグラフ・ライティングのメリットを読みながら実体験できることである.本書そのものがパラグラフ・ライティングで書かれている.そのため,本書を読みながら,「たしかにわかりやすいし,読み飛ばせるな」や「こうやって結論から書くのか」といった気づきを得ることができる.
このように,パラグラフ・ライティングの知識だけでなく,パラグラフ・リーディングの経験を同時に積めることが本書の優れている点である.
おわりに
この文章は,パラグラフ・ライティングを意識して書いた.久々に構成を考えて書いたため,結構時間がかかり大変だった.
まだまだ上手く書けないけど,これからこれから.この書き方は,パズルみたいで楽しいし,もう少しいろいろな文章で試してみたい.
それにしても,文章に関する記事を書いてみたら,文章に対する向上心やら感度やらが,すごく上がった.そういうもんなのか.
さて,何が言いたいかというと,いつもより頑張ってみたが,上手く文章が書けずヘコんだ.けど,なぞのやる気が出た,ということ.
以上.