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文芸欄の新聞記事スクラップ、文芸書の情報、海外文学含め文芸読み物(随時更新)
・【対談記事】作家の李琴峰さんと歌手の中村中さんが対談された記事。中村さんの楽曲や李琴峰さんの『言霊の幸う国で』『ポラリスが降り注ぐ夜』、そして現代の差別やSNS上の誹謗中傷問題など、多岐にわたる話題について語り合っています。
・「王将の前でまつてて」刊行記念 川上弘美さん×夏井いつきさん対談「ボヨ~ンと俳句を作って、健康に」
・呉 佩珍『太平洋を越える〈新しい女〉 田村俊子とジェンダー・人種・階級』(文学通信)
無国境、無国籍的な田村俊子の思想遍歴をたどる。
なぜ晩年の俊子は、中国の女性問題に尽力することになったか?
日本から北米へ、そして最終的に中国にわたった田村俊子の作品とその思想を、時系列に沿って分析し、そのなかに見えた田村俊子の「ジェンダー」「人種」「階級」言説の形成の軌跡を解明する。
俊子が取り組んだ〈ジェンダー〉問題は、当時、女性たちの社会進出とどのような関係にあったのか。作家・田村俊子は、なぜ日本を離れ、カナダのバンクーバーに赴いたのか。そして、一八年間の北米滞在を終え、日本に帰国した俊子は、なぜ、また日本を離れて中国に発ったのか。俊子は、海外でどのように活動し、どのような成果を達成したのであろうか。
第1部「ドメスティック・イデオロギーへの挑戦―田村俊子にみるジェンダー諸問題」、第2部「カナダのバンクーバーにおける思想的変遷―日系社会を描く作品群をめぐって」、第3部「インターナショナル・フェミニストの連携―上海時代の佐藤(田村)俊子と中国女性問題」と、全体を3部に分け追求していく。
【田村俊子は、日本から北米、そして中国へと移動し、それぞれの土地にさまざまな足跡を残した。このような俊子の半生を一言でいうなら、「コスモポリタン」田村(佐藤)俊子となろう。彼女はいかなる道程を辿って、ここに至ったのであろうか。】......「序章」より
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・◤予約受付中!◢
齋藤樹里『見立てと女語りの日本近代文学 斎藤緑雨と太宰治を読む』(文学通信)
https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-86766-077-5.html
日本の近代文学テクストを「芝居」と「女性」という2つのキーワードを中心に据えて論じる。
主として斎藤緑雨と太宰治という二人の近代文学者に焦点を当て、同時代の言説や同時代の社会文化状況、当時既に成立していた文学や芝居のような先行テクストを足掛かりに、小説テクストの分析を行う。
1つ目のキーワードは「芝居」。その大衆性ゆえに、題材として、引用として、描写の一部として、近代文学のなかで重要な役割を占め続けた。その知識を研究の俎上に載せることで、テクストを今一度読み替える。特に「見立て」という「芝居」的な観点から近代文学を捉えると何がわかるのか?「芝居」と〈近代批評〉を接続する。
2つ目のキーワードは「女性」である。太宰治の「女語り」、いわゆる〈女性独白体〉における「女性」とは何かを考える。性別を二分することの必然性が突き崩されているいま、近代文学のテクストはどう読んでいくとよいのか。
第一章「近代とは何か―明治二十年代と「芝居」―」、第二章「太宰治の「女語り」①―構築される「女性」―」第三章「太宰治の「女語り」②―「芝居」の中の「女性」―」及び附章「コリア語からの視点―翻訳と物語―」の合計14節より成る本書は、解釈を何よりも重視し、物語と向き合った、日本近代文学「芝居」「女性」論である。
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・これはざっと見ただけでも、別格の素晴らしさです。感情移入を扱う4章、消滅を扱う6章など。
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・本を読むことの大切さについてそれぞれの立場から語り合うとても深みがあってかつ楽しい鼎談でした。そして、とても勉強になりました。
小川公代×池澤春菜×石井千湖 お正月特別「メアリ・シェリー」鼎談(2025/1/1)#ポリタスTV
・【常に読者のことをいちばん大切に…】2021年10月13日、58歳の若さで天国に旅立った山本文緒さん。最後まで書くことを手放さなかった山本さんの『無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記』を担当した新潮社の桜井京子さんに制作の背景を伺いました。
・直木賞受賞作の『ともぐい』をはじめ、自然と人間の関わりをテーマに骨太の作品を発表し続けている河崎秋子さん。羊飼いである河崎さんの生活や人生の転機を綴ったエッセイ『私の最後の羊が死んだ』が発売。
・【前編】小説家・町田康に聞く、学校では教えてくれない詩の読みかた(中原中也編)【ゲスト:町田康先生(小説創作)】# 6
・サンジョイ・ロイ(Sanjoy Roy)の記事「『いのちの掴みきれない幻影』:『白鯨』の深い謎を探るのに人形劇が最適な理由〜メルヴィルの小説を上演し、今年のマイムロンドン・フェスティバルの目玉となったイングヴィルド・アスペリ(Yngvild Aspeli)が、その芸の不気味な魔法について説明する〜」
・保坂和志ブログ記事「因果関係や能動性のこと(『文藝別冊 中井久夫』2017年5月)」2021年10月21日
論考 保坂和志「因果関係や能動性のこと」 / 中井久夫 :河出書房新社編集部|河出書房新社
・神戸新聞朝刊「ひと探訪」(2025年1月7日)に掲載の東浦弘樹さんのインタビュー記事。取材は2024年12月25日、近所の喫茶店で4時間みっちりインタビューを受けられたとのこと。
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・東京新聞<社説>「年のはじめに考える 名編集者の「置き土産」」(2025年1月5日)より:
出版社にいたころ、村上[達朗]さんは社員採用の仕事も担当しました。入社希望者の作文を読んでいるとその中に、飛び切り面白いものがありました。採用には至りませんでしたが、村上さんは独立した後その書き手に連絡を取りました。そしてこう説きます。「あなたは絶対に小説を書ける」と。
◆直木賞作家を育てて
言われた人も驚いたそうです。けれども村上さんの熱心な勧めと励ましで、小説を書き始めます。2000年に作家デビューすると6年後、早くも直木賞を受賞する逸材こそが三浦しをんさんです。村上さんは単に書籍を手がけたというだけではなく、作家としての「育ての親」なのですね。
・KASSAY公演、山本周五郎の名作『五瓣の椿』稽古場写真とコメント到着!2025-01-17
・翻訳家・柴田元幸さんインタビュー!ポール・オースターとの出会いと思い出。そして翻訳について
2025.01.12
・芥川賞・鈴木結生さん 在学先教授「課題の文体、物語のようだった」朝日新聞2025年1月15日
西南学院大学の大学院1年、鈴木結生(ゆうい)さんの「ゲーテはすべてを言った」が15日、第172回芥川賞を受賞した。学内関係者からは喜びの声が聞かれた。
学部時代から鈴木さんの講義を担当しているという同大の一谷智子教授(英語圏文学)は「すごくうれしいの一言」。鈴木さんが一番前の席に座り、熱心に講義を聴く姿が印象に残っているという。
課題を出した際、鈴木さんは指定した字数の3~4倍の分量で提出してくることがあるという。「テーマをよく調べて書いてくるので内容が深い。文体がほかの学生と違って物語のようで、私一人が読むべきものではないと考えていた。受賞を機に読者層が広がってくれれば」と興奮した様子で話した。
今井尚生学長も「現役での本学大学院生による芥川賞の受賞を大変うれしく思っています。在学生のみならず、卒業生、教職員にとっても大いなる励みになる」と祝福のコメントを発表。同大によると、卒業生では2017年に沼田真佑さんが芥川賞を、12年には葉室麟さん、15年には東山彰良さんがそれぞれ直木賞を受賞しているという。
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・黒川創による朝鮮と日本の150年を行き交う歴史小説『この星のソウル』とは? 翻訳家・斎藤真理子が紹介 ▼『この星のソウル』黒川創[著]
・宮沢賢治と盛岡中学の同級生で、金田一京助の弟の金田一他人(おさと)という人がいることを初めて知った。東京帝国大学法科大学に進み、将来を嘱望されながら、恋に悩み、1920年11月16日、青酸カリ自殺を遂げた。その遺稿『身も魂も』は同級生の(民法の大家となる) 我妻栄や(首相となる)岸信介らによって編まれた。それだけでなく、その表現は折口信夫の詩魂を刺激して折口を〈非短歌〉の方向に歩ませたという。加藤守雄『折口信夫伝』。
・岩手 NEWS WEB岩手の深掘り記事
石川啄木と宮沢賢治 食事を通して人間性を知る展示会 盛岡 2025年1月28日 19時30分
・2017/12/19国木田独歩没後110年 茅ヶ崎実行委員会にて大島英夫さん(茅ヶ崎市史編集員)の講演「国木田独歩と南湖院」。1908年6月23日の没後、真山青果が、茅ヶ崎の独歩をモデルとして読売新聞に「死態」を連載(ただし57回で中断)。石川啄木がこれに感心し「日本文壇近き将来の第一人は、夫れ真山青果か!」と9月23日の日記に記したという。
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・女たちの奔放な性の表現が「不穏当」…鮮烈デビュー作は1週間で発禁処分に 椋鳩十の文学から「戦後80年」を考える 2025/1/7(火) 11:39配信
自然界に生きる動物たちを通し、生命の尊さをたたえる名作を紡いだ鹿児島ゆかりの児童文学作家、椋鳩十(1905~87年)は今年、生誕120年を迎える。鹿児島県内や故郷の長野県喬木村では、業績を顕彰する企画展が開かれ、再評価が進む。戦後80年の節目に、戦時の厳しい言論統制下で書かれた作品を中心に、椋文学と戦争について考える。(連載「つなぐ命の賛歌~椋鳩十生誕120年戦後80年」①より)
中央アルプスと南アルプスに挟まれた長野県南部の伊那谷。南北に貫く天竜川の左岸、南アルプスの麓で椋鳩十は生まれ育った。険しい斜面の中央アルプス側に対し、南アルプス側は比較的なだらかな傾斜で奥深い山々に集落が点在する。
当時は山を移動しながら一般社会と隔絶した暮らしを続ける放浪の民が存在した。椋鳩十記念館(喬木村)の木下潤児館長(62)は南アルプスの手前に見える伊那山地を指し、「あの向こう側に、山中を行き来する人の流れが、諏訪湖から井伊谷(浜松市)まであった」と説明する。
椋文学のベースとなる自然のたたずまいは、この南アルプスの豊かな山の文化から生まれた。
■ ■
「私の祖父は世間で言う所謂(いわゆる)山窩(さんか)であった」
デビュー作「山窩調」の序文で椋は見事なホラを吹く。謎多き山の民、山窩の子孫を名乗り、何者にも縛られない自由な生きざまを野生味たっぷりに描いた。
椋の父・金太郎は、酪農を営む豊かな牧場主だった。芝居小屋を作って旅芸人を招いたり、自宅で俳句会を催したりする文化人。山の民との交流もあり、資料を集めていた。こうした環境で育った椋も学生時代から山窩について調べ、山窩調の巻頭を飾る短編「朽木」は学生時代に執筆を始めていた。資料や逸話にスペインの山の民バスクの話も交えて創作された。
孫の久保田里花さん(53)は「旅先でも山の民について調べ、生涯をかけて追いかけていた。祖父の自由への憧れが山窩小説に集約されている」と語る。
喬木村郷土誌によると、木材からわんや盆を作る木地屋(木地師)と呼ばれる山の民が江戸期に定住した記録がある。適材を求めて山中を移り住んだ木地屋の子孫は小椋姓を名乗り、今も小椋姓の多い集落が山中にある。山窩を名乗ったペンネームはここからきた。
■ ■
椋は法政大を卒業後、医師をしていた姉を頼りに鹿児島に移り住んだ。
満州事変を経て、日本が国際連盟を脱退した1933年、椋は「山窩調」を自費出版した。この年、プロレタリア文学の代表的作家、小林多喜二が特高警察による拷問で亡くなり、国家の弾圧が進んだ。この暗い時代に「山窩調」は評判を呼ぶ。著名人から称賛の手紙が届き、雑誌や新聞に椋の山窩小説が掲載された。計24編を収めた「鷲の唄」を春秋社が出版し、鮮烈なデビューで椋は文壇に確固たる地位を築くはずだった。
ところが「鷲の唄」は、発売1週間で発禁処分となる。山の民の自由な生き方や女たちのたくましく奔放な性が不穏当とされた。再販で144カ所が伏せ字となり、椋は「あっさりと筆を折った方がよさそうだと考えた」と回想している。山窩小説を書けなくなった椋は、野生動物に思いを託し、児童文学への道を進むことになる。
■むく・はとじゅう 1905(明治38)年長野県喬木村生まれ、本名・久保田彦穂(くぼた・ひこほ)。加治木高等女学校の国語教師をしながら雑誌「少年倶楽部」に児童向けの動物小説を発表し、児童文学作家となる。「片耳の大鹿」「孤島の野犬」「マヤの一生」など多くの作品で知られる。47~66年に鹿児島県立図書館長。市町村図書館と配本を共同運営する「鹿児島方式」を確立し、「母と子の20分間読書運動」を全国に広めた。55年南日本文化賞、83年芸術選奨文部大臣賞。87年に死去し、喬木村の第1号名誉村民。
■山窩調(さんかちょう) 1933年4月に自費出版した短編集。椋鳩十のペンネームを初めて使った。山の漂泊民「山窩」の物語7編を収め、大宅壮一、吉川英治、里見享らに高く評価された。大宅によって雑誌「人物評論」に掲載されたほか、東京日日新聞でも「山窩譚(たん)」として連載された。半年後に未収録作品を加えた「鷲(わし)の唄」が春秋社から出版されるが、発禁処分となった。
・毎日新聞スクープ記事「太宰治の症状伝える井伏鱒二の 書簡発見 「人間失格」原体験が詳しく」【稲垣衆史】2023/9/25
『文豪の井伏鱒二(1898~1993年)が、パビナール(鎮痛剤)中毒で入院していた弟子の太宰治(1909~48年)の症状を記した書簡が見つかった。「だまされて入院させられた」などと被害妄想がある様子を、井伏の師だった佐藤春夫(1892~1964年)に伝えている。このとき太宰は芥川賞を3度逃した直後。1カ月に及ぶ精神科病棟への入院体験は自己否定を強めるきっかけになり、晩年の代表作「人間失格」のモチーフとなったとされる。専門家は「『人間失格』の原型となった出来事の背景が、リアルタイムでわかる重要な資料だ」と指摘する。
入院10日後「妄想的 口走っている」
新発見の書簡は、井伏が佐藤に宛てた7点(1929~56年)。調査を続けている実践女子大で、佐藤の遺品整理中に見つかり、東京大の河野龍也准教授(日本近代文学)が確認した。
このうち入院約10日後の36年10月24日付の手紙では、太宰の妻(当時)・初代ですら面会謝絶であることを記し、病院長に会った初代からの伝聞を基に<まだ苦痛がとれずに妄想的なことを口走っている><私たちがだまして入院さしたと憤慨している>などと原稿用紙2枚につづっている。
太宰は前年4月の盲腸炎などの手術後、麻薬性のパビナールを多用して依存症になり、井伏が入院させた。井伏から佐藤宛ての報告としては、入院翌日の10月14日付で書かれた手紙が知られていたが、それに続く書簡の存在が明らかになり、入院後しばらくは当初の予想より禁断症状が重かったことや、入院中から「だまされた」との認識を太宰が抱いていたことが分かった。河野氏は「井伏らの好意を裏切りとして受け取っている。人間失格は主人公が『人間として見捨てられた』という被害者意識にとりつかれていくが、その原体験となった心情がよく分かる書簡だ」と指摘する。
今回見つかった書簡は30日に神奈川近代文学館(横浜市)で開幕する「没後30年 井伏鱒二展」で公開される。【稲垣衆史】』
・毎日新聞記事「細部に宿る奥深さ 芥川龍之介「蜘蛛の糸」を専門家と読み直す」【三角真理】2024/5/26
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」といえば、教科書にも載り、多くの人に読まれている名作です。それだけに、時に「いろいろな解釈」が飛び交うようです。武庫川女子大文学部教授の山本欣司さんは「細かいところまで読み、作品本来のすばらしさを知ってほしい」と話します。その心は――。
・◇焼け跡で歌う少年に勇気づけられて 芥川龍之介「ピアノ」を読む
芥川龍之介の小説に「ピアノ」という小品があります。背景にあるのは震災。芥川の研究者で大阪公立大教授、奥野久美子さんが「ぜひ読んでほしい」と薦める一作です。
・島崎藤村を専門とされるイリナ・ホルカ(Irina Holca)さん(東京外国語大学准教授)のホームページ。
・今年(2025年)は三島由紀夫の生誕100年に当たる。ロシアにおける三島由紀夫作品の翻訳者であるグリゴーリー・チハルチシヴィリことボリス・アクーニン(推理小説作家。日本語の悪人からのペンネーム)がロシアにおける三島由紀夫について語っている。目を引いた点は二つ。一つは、谷崎潤一郎、芥川龍之介、安部公房、大江健三郎、村上春樹と同様に三島由紀夫は西洋人作家であると指摘している点(太宰治、川端康成は日本人としている)。二つ目はリモノフは三島が好きで影響を受けているとしている点。リモノフはソ連崩壊後に設立されたナツボル(国家ボルシェヴェキ党)の創始者で、ドゥーギン、プリレーピンもその中にいた。
・毎日新聞 稲垣衆史記者の記事「三島由紀夫の傑作「金閣寺」 着想は放火事件ではなかった?」 2024/11/24 配信
「小説は、国宝だった京都・鹿苑寺の金閣(舎利殿)が放火された実在の事件(1950年)を題材としていますが、専門家は驚きを持って今回見つかった書簡を読み解きました。なぜなら、着想を巡ってこれまで考えられていた見立てが覆ったためです。」
・NHKニュース「三島由紀夫『金閣寺』原題は『人間病」』編集者への手紙展示」2024年12月13日 5時16分
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・毎日新聞 記事 三島由紀夫の自決「僕だったら気づけた…」 決別した「友」の無念 2025/1/6
担当編集者として20年近く歩みを共にしてきた菅原國隆氏は、回顧録さえ残さずにこの世を去りました。「作家と編集者の関係を超えた」と評された「親友」の関係は絶たれてしまっていたのでしょうか。
・《写真多数》“生誕100年”三島由紀夫が最期に残した声明文、血のついた灰皿、妻・瑤子夫人からの贈り物も…“割腹の瞬間”を目撃したもう一人の男の日記
「週刊文春」編集部 2025/1/15
・「君のせいでもう間に合わなくなった!」三島由紀夫が自決2日前に託した「未完の遺作」《初公開》
「文藝春秋」編集部 2023/08/09
・毎日新聞 三角真理記者の記事「平凡すぎる男が考える組織の泳ぎ方とは 安岡章太郎「遁走」を読む」 2024/12/7 08:00
在学中に召集され、旧満州に送られた経験を持つ作家、安岡章太郎(1920~2013年)の作品から戦争を考えます。花園大文学部准教授、高橋啓太さんがまず薦めたのは「遁走」です。
・鬼生田貞雄情報
・文法探究の世界へ。古典語と現代語に架け橋をかける – 古典文法の魅力を探る −前編−
文学部 教授 小田 勝
國學院大學
・山口和人「大江健三郎の『26年にわたる担当編集』が、たった一度『大江さんを本当に怒らせてしまった』意外な理由」(2024.11.29)
平野啓一郎さんFB投稿:「山口さんが大江さんを怒らせてしまったエピソードは、もう一つあるはずで、そっちかと思って読んでました。山口さんご本人から聞いたことがあります。言って良いのかどうか分からないので、明かしませんが。」
・レイ・ブラッドベリ
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・“Socrates said, “The misuse of language induces evil in the soul.” He wasn’t talking about grammar. To misuse language is to use it the way politicians and advertisers do, for profit, without taking responsibility for what the words mean. Language used as a means to get power or make money goes wrong: it lies. Language used as an end in itself, to sing a poem or tell a story, goes right, goes towards the truth. A writer is a person who cares what words mean, what they say, how they say it. Writers know words are their way towards truth and freedom, and so they use them with care, with thought, with fear, with delight. By using words well they strengthen their souls. Story-tellers and poets spend their lives learning that skill and art of using words well. And their words make the souls of their readers stronger, brighter, deeper.”
~ Ursula K. Le Guin
「ソクラテスは 『言葉の誤用は魂に悪を招く』と言った。文法のことを言っているのではない。言葉の誤用とは、政治家や広告主がやっているように、言葉の意味に責任を持たずに、利益のために使うことだ。権力や金儲けの手段として使われる言葉は、噓をつく。詩を歌うため、物語を語るため、それ自体を目的として使われる言葉は正しい。作家とは、言葉が何を意味するのか、何を語るのか、どう語るのかを気にかける人である。作家は、言葉が真実と自由に向かう道であることを知っている。だから、言葉を大切に、考え、恐れ、喜びをもって使う。言葉をうまく使うことで、魂を強くするのだ。ストーリーテラーや詩人たちは、言葉をうまく使う技術や芸術を一生かけて学ぶ。そして彼らの言葉は、読者の魂をより強く、より明るく、より深くする。」アーシュラ・K・ル=グウィン
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・The Heart Is a Lonely Hunter is the debut novel by Carson McCullers, published in 1940 when she was just 23 years old. Set in a small mill town in Georgia during the 1930s, the novel explores profound themes of loneliness, isolation, and the search for human connection.
The story centers around John Singer, a deaf-mute man who becomes a confidant to a diverse group of characters, each grappling with their own struggles and desires. These characters include Mick Kelly, a young girl with dreams of becoming a musician, who feels trapped by her circumstances; Biff Brannon, the owner of a local café, who is deeply introspective and longs for meaningful relationships; Dr. Copeland, an African-American physician who is passionate about social justice and the plight of his community; and Jake Blount, a labor agitator who is frustrated by the social injustices he witnesses.
As Singer interacts with these individuals, he becomes a silent witness to their hopes and despair, embodying the theme of moral isolation. Each character projects their own dreams and frustrations onto him, revealing their vulnerabilities and the deep-seated need for understanding and connection.
McCullers's writing is characterized by its lyrical prose and empathetic portrayal of her characters, making the novel a poignant exploration of the human condition. The narrative delves into the complexities of communication and the barriers that prevent people from truly connecting with one another.
The Heart Is a Lonely Hunter is widely regarded as one of McCullers's finest works, celebrated for its emotional depth and insight into the lives of lonely individuals. The novel remains a significant contribution to American literature, resonating with readers for its timeless themes and rich characterizations.
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・平野啓一郎さんFB投稿(2024/12/11):「90年代末にデビューした僕にとって、この「文学は終わった」言説はいい迷惑だったし、強く反発したが、今読んでもまったくピンとこない。小説の社会的な機能や小説家の存在感が変化している、小説が生まれてくる背景が変化しているというのは事実だろうし、自分が文学について論じるのを止める、というのもそうだったのだろうが、それを言うために、なぜ、「文学は終わった」というレトリックが必要になるのか。大体、志賀直哉の『暗夜行路』前編でさえ、刊行後4年時で1万部程度だったとされている(『カネと文学』山本芳明)。文学は歴史的に影響力を持ったが、少なくとも、作品刊行時の社会的影響力はあとから過大評価されがちで、近代の国民国家成立の推移とリアルタイムで、どこまできれいな相関を示せるのか。国民をネーションにまで練り上げるという観点に偏して文学を論じると、零れ落ちてしまう作品がたくさん出てくる。
明治、大正、昭和でも、また、作風によっても、作家の社会的地位は大きく異なる。いみじくも、このインタヴュー中に平野謙の言葉が引用されている通り、70年代の作家の社会的地位の向上が、当時は寧ろ驚かれている。」
・歴史人より、「NHK『歴史探偵』がスルーして“批判が殺到”した宮沢賢治の「ディープすぎる宗教問題」 はげしい勧誘活動が父やカムパネルラのモデルとの関係をこじらせた」。
・日本文藝家協会ニュース「文学者之墓墓前祭」が公開されています。毎年、10月に富士霊園の文学者之墓で墓前祭が行われています。
・Jack Kerouac’s List of 30 Beliefs and Techniques for Writing and Life
BY MARIA POPOVA
・1881年のこの日、ノーベル賞を受賞したスペインの詩人フアン・ラモン・ヒメネス(Juan Ramón Jiménez)は、ロバについての小さな散文詩集『プラテーロとわたし』を書いた。それは人生の意味について書かれたものの中で、最も美しく、深い魂のこもったもののひとつだ。
・TAP the POP「労働者の歌〜忌野清志郎も愛読した小説『土曜の夜と日曜の朝』から聴こえてくる名曲たち〜」
60年〜80年代に活躍したイギリスのロックアーティストには労働者階級の出身者が多い。
ビートルズもそうだったし、パンクロックのミュージシャンもほとんどが労働者階級の若者だった。
イギリスの作家アラン・シリトーが描いた、今から67年前の“イギリス労働者階級の日常”は、時を超えて、海を超えて…後にジャパニーズロックの立役者となるアーティスト達の愛読書となり、いくつかの名曲を生み出していった。(佐々木モトアキ)
・東京新聞デジタル「写真家・江成常夫さん、撮り続けた「負の昭和」作品群がアメリカで収蔵へ 戦後80年を前に業績が高く評価」2024年9月4日
・こころの時代〜宗教・人生〜「レンズで見つめた生と死の時」初回放送日:2020年3月29日
12月1日(日) 午前5:00〜午前6:00
戦争に翻弄された人々の過酷な生と死を見つめながら「負の昭和」の歴史を記録し続けてきた江成常夫さん。自らも癌の闘病生活を経て、たどりついた死生観とは何か。
今年2024年、江成常夫さんの写真群が日本人で初めて、傑出したフォトジャーナリズム作品を集める国際的権威・テキサス大学付属歴史博物館への収蔵が決まった。これを記念し、2020年3月29日初回放送の番組をアンコール放送する。評価されたのは、米兵と結婚した女性や旧満州の戦争孤児、原爆の被害、南洋に散らばる兵士の遺骨など、江成さんが追い続けた「昭和の戦争」の実相。写真家としての思想と人生を聞く。
・「新聞広告で復刊されると知った。すごく嬉しい。
出版当時、なんでこれが評判にならないのか不思議でならなかった。北方謙三の時代小説の白眉だと確信している。」(北方謙三氏の秘書を務められていた東えりかさんのコメント)
・「〔三島由紀夫〕自決から50年 死に場所に呼ばれた元本誌記者・徳岡孝夫述懐 死の淵へ背中を少し押してしまった気がする」 サンデー毎日2020年12月6日号(表紙 稲垣吾郎/ 発売日 2020年11月24日)より。
“「バンコクで退屈そうな三島さんに、たまたま『和漢朗詠集 梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』を貸して、『楽しませてもらいました』と礼を言われた。振り返るに〈朝(あした)に紅顔あつて世路(せろ)に誇れども暮(ゆうべ)に白骨となつて郊原に朽ちぬ〉なんて、孤独な三島さんそのままや。あれを読んだら死にたくもなる。何で貸したんやろ、彼の背中を死の淵(ふち)へ小指で少し押してしまったような気がしますなあ。目は不自由になったが、三島さんの顔ははっきりと思い浮かべることができる」。こう語った徳岡さんは「もうよろしいやろ」と寂しそうに電話を切った。「命日」は、横浜の自宅で独り静かに過ごすという。(ジャーナリスト・中澤雄大)”
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・◇選挙の神様・藤川晋之助さん 原点は三島由紀夫との会話
都知事選で石丸伸二氏の選対幹部を務めた「選挙の神様」藤川晋之助さん。裏方として携わった選挙の戦績は130勝16敗。その原点には高校時代の三島由紀夫との出会いがありました。
・ギュンターりつこさんのFacebook投稿より、ドイツ人マダムたちの読書会で『こころ』『草枕』が扱われ、漱石が好評を博している模様。漱石の『草枕』が読みやすいというのは同感できる。日本語で読む場合、漢語の難解さがとかく目につくのだろうが、実際は読みやすいはず。
・日本ペンクラブ主催イベント『ふるさとと文学 鴎外・漱石・一葉の神保町』(2024年11月4日開催)
第1部は、鴎外、漱石、一葉の作品・人生・時代背景を映像と朗読でお届けしています。
第2部は、鴎外、漱石、一葉の作品を、中村敦夫さん、人間国宝の講談師・神田松鯉さん、朗読劇『あん』をご一緒してくださっている中井貴惠さんが朗読でお届けします。
第3部はシンポジウム。中島京子さん、京極夏彦さん、今村翔吾さんの直木賞作家3名を迎え、司会は助川哲也さんです。
・三浦綾子記念文学館さんFB投稿(2024/12/20):「めぐことの歌うおはなしやの、めぐさんが『道ありき』の「生きるということは権利ではなく、義務なのですよ」に着目し、朗読と共に語ってくださっています。
たくさんの方がこの自伝小説からメッセージを受け取っていらっしゃるかと思います。めぐさんは何を語るのか是非ご覧になってみてください。」
・名画で物語執筆楽しい 「幻想美術館」著者・太田治子さん、徳島市で朗読会 父太宰や母の思い出も
2025/02/12 05:00
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海外文学
・「作家のアメリカ留学時代を研究することで見えたひとりの女性である作家の姿 謝冰心の再評価に向ける眼差し ―後編―」文学部准教授 牧野格子
2023年1月15日更新
・同志社大 詩人・尹東柱に名誉博士号
=没後80年命日に授与
・韓国の「国民的詩人」尹東柱に名誉博士号
同志社大、没後80年の命日に授与へ
・英国の作家ミシェル・ペイヴァーによる「#クロニクル千古の闇 」シリーズは、紀元前4000年の北欧の森を舞台に少年とオオカミが旅する壮大な冒険物語。翻訳者のさくまゆみこさんに、原書との出会いやシリーズの魅力について聞きました🎤
・沖縄文学、海外に紹介 米国人研究者ラブソンさん 駐留きっかけ、不正義伝える - 琉球新報デジタル
・『日本語に魅せられ、村上春樹作品をスペインに紹介 ―翻訳家 Gabriel Álvarez Martínez(ガブリエル・アルバレス・マルティネス)さん―』
村上春樹作品などの日本文学や漫画をスペイン語に翻訳。神戸大学に約3年半留学した経験が、今の仕事の土台になっているという。
・インドネシアを代表する作家エカ・クルニアワンによる『美は傷』が改訳で刊行された。本書の翻訳を手掛けた太田りべか氏による、本書が描くインドネシアの近現代と、日本語版復刊までの経緯を記した「訳者あとがき」の全文を二回にわたって掲載する。