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ロボット店員の効果的な謝罪の仕方~マーケティングにおける擬人化とロボット店員~

小売店や外食など、様々な業界でロボットの活用が広がっているようです。

記事によると、調理や在庫管理等、お客さんから見えないバックヤードでの業務だけでなく、配膳などお客さんと接触する際の業務にも、ロボットの導入が進んでいます。

実際に、ガストやバーミヤンなどを運営するすかいらーくグループは、2100店舗に3000台のロボットを導入したことを発表しました(※1)。

こうしたロボット店員の導入は、作業効率化などに繋がることが期待できます。

しかし、お客さんと接する機会があるということは、ミスをした際に直接お客さんに迷惑をかけてしまう可能性が高くなります。例えば、配膳や食器などの取り扱いにミスをした際に、怒るお客さんもいるでしょう。

このような時、ロボットはどのように謝罪をするといいのか?という研究が、同志社大学の研究チームから発表されました。

この研究成果によると、あるロボットが謝罪をする際、もう一台別のロボットが一緒に謝ることで、謝罪が受け入れられやすくなります。また、2台目のロボットは謝罪だけでなく、片付けるような動作を見せることも、謝罪として効果的だということが分かりました(※2)。

擬人化の効果

ここで近年消費者行動論の分野で取り上げられている「擬人化(anthropomorphism)」という概念を紹介します。擬人化とは、本来人ではない物に対して、人間的な理性や感情などを帰属させることを言います。

研究によると、同じクッキーという製品であっても、人の顔が描かれていたり、人の形をしているクッキーは、ただの丸形のクッキーと比べて、「人っぽい」と知覚される傾向にあります(※3)

例えば、以下の画像のような2種類のクッキーがあったとします。

画像1: 左がただのクッキー、右が擬人化されたクッキー

この画像は、いらすとやの画像を使用させていただいていますが、左が普通のクッキー、右がキャラクター化されたクッキーのイラストです。こうした場合、右のクッキーは擬人化された製品として認識されやすくなります。

擬人化された製品の効果は、消費者の態度や購買意欲、社会的排除など様々な観点から分析がおこなわれています。

さて、上述したロボットの謝罪の話は、まさにお客さんがロボットを擬人化して認識していることから生じることなのではないかと思います。すなわち、ロボットが人のように認識されることで、謝罪の方法なども人間と同様の作業が求められると考えられるのではないでしょうか

接客の際には謝罪以外にも様々な状況が考えられますが、人間の店員さんが求められるようなスキルをロボット店員も覚えることで、より進化するかもしれませんね。

擬人化研究、近年でも多くの研究が発表されていますので、ご関心のある方はぜひ論文を探してみてください!

※1: PRtimes【すかいらーく】約2,100店に3,000台のロボット導入完了
※2: 謝罪するロボットの台数が増えると より受け入れられることを解明  ~人間社会で活動するロボットが失敗した際の振る舞い設計に貢献~
※3:例えば、 Hur, J. D., Koo, M., & Hofmann, W. (2015). When temptations come alive: How anthropomorphism undermines self-control. Journal of Consumer Research, 42(2), 340-358.



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