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「ふるさと納税」に関する研究紹介

今年も残すところある少し。

年末を控え、ふるさと納税に関する特集を目にすることも増えてきました。
そこで今回の記事では、ふるさと納税に関する研究を紹介していきます。

ふるさと納税とは?

ふるさと納税は、2008年から始まった「応援したい自治体に寄附すると所得税や住民税から控除され、さらに寄附のお礼として返礼品がもらえる制度(※1)」になります。

自治体によって異なりますが、食品や衣料品、日用品をはじめ、色々な返礼品が提供されています。

日経新聞の記事によると、2020年度の寄付額は6725億円で、ふるさと納税を行い、さらに住民税の控除手続きまで行っている人は約552万人(納税義務者全体の9%)となるそうです。

ふるさと納税の研究

ふるさと納税という制度が導入されて以降、学術研究も様々な観点から発表がされてきました。今回の記事では、その中の一部を紹介したいと思います。

〇ふるさと納税における返礼品提供事業者の属性分析
まず最初に紹介する研究は、「ふるさと納税における返礼品提供事業者の属性分析」です。

ふるさと納税の中でも、「返礼品の事業者」という観点について分析している点が非常に興味深い研究でした。

論文の中でも高知県の事例が紹介されていますが、ふるさと納税をきっかけにその土地の産業が盛り上がることは、地方にとって重要な要素となるでしょう。

この研究では、ふるさと納税の調達金額上位を中心に、複数の自治体の事業者にアンケート調査をおこなっています。

本研究を通してふるさと納税の事業者の特徴が見え、個人的に意外だった点として、従業員5名以下の事業者の割合が4割以上だった点が挙げられます。

ふるさと納税を実施する事業者の現状を知るうえで、勉強になる論文でした。

〇ふるさと納税の寄付者の地域貢献に対する意向に関する研究~寄付者の地域への共感に着目して~
次に紹介する研究は、ふるさと納税を寄付する人の意識調査をおこなったものになります。

この研究では、愛媛県宇和島市を対象に調査をおこなっています。
私も知らなかったのですが、宇和島は2008~2012年の間において愛媛県内で最多の寄付が集まったそうです。

宇和島にふるさと納税をした方を対象にアンケート調査をおこない、宇和島に寄付をした方の特徴や理由について分析がおこなわれています。

本研究は宇和島を対象にしていますが、他の市町村において、ふるさと納税の分析をする際にも参考になる文献かと思います。

〇クラウドファンディングとしてのふるさと納税― 寄付と寄付つき商品による理解 ―
最後に、マーケティングジャーナルに掲載された論文を紹介します。

この論文では、ふるさと納税をクラウドファンディングの一種として捉えた論文になります。

論文中でも丁寧な説明・レビューがありますが、クラウドファンディングは多様な先行研究・理論が存在しています。
私としては、ふるさと納税をクラウドファンディングの観点から考慮する点が、非常に勉強になりました。

先行研究を踏まえつつ、クラウドファンディングをおこなう要因がまとめられており、最後のセクションでは地方自治体へのインプリケーションも紹介されています。

マーケティング的な観点からふるさと納税を考えるヒントを得られる論文でした。

※1: ふるなび「ふるさと納税DISCOVERY」より

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