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『サマータイムマシン』シリーズはワンスモアで落涙した

先日、ヨーロッパ企画の舞台『来てけつかるべき新世界』をU-NEXTで鑑賞したことを書きました。


U-NEXTではありがたいことにヨーロッパ企画の演し物が色々配信されています。
今回は2日かけて『サマータイムマシン・ブルース』(以下、ブルース)と『サマータイムマシン・ワンスモア』(以下、ワンスモア)を鑑賞しました。

『〜ブルース』は2001年に初演、その後何度か再演されています。
U-NEXTでは『〜ブルース』は2005年と2018年の2つの再演版が配信されていますが、僕は2005年再演版を観ました。

2018年はヨーロッパ企画20周年ツアーとして、『〜ブルース』と15年後の話を描いた『〜ワンスモア』が同じ舞台を使って交代上演されています。
つまり、もう若者とは言えない演者が『〜ブルース』で大学生を演じ、さらに演者と同年代の人物として『〜ワンスモア』を続けて演じ分けている訳です。
面白い企画ですよね。
なので、いっそのこといずれも2018年版を観てもよかったのですが、演者が自身と同年代のその時点でしか表現出来ない何か、がきっとあるかもしれないと思い、『〜ブルース』は初演に近い年代の2005年版を観ることで、『〜ワンスモア』の設定上の15年後と演者の年齢も近い状態で観ることにしました。

ストーリーとしては、今やヨーロッパ企画の十八番となったかの、タイムワープもの。

某大学のSF研究会と同室のカメラクラブの部室、
リモコンにコーラをこぼしてしまってエアコンがつかなくなった、
そんな暑い夏の日、突然見慣れぬ機械が現れた。
「これってタイムマシン? 昨日へ戻って壊れる前のリモコンを」
そのタイムマシンは実は未来の後輩が乗ってきたものだった。
そして、始まるドタバタ劇。
そう簡単に思い通りの未来にはならない。
未来はそう簡単には変えられない。
色々あったが、すべては元鞘に戻る。
(『〜ブルース』

・・・・・・・

それから15年後の夏の日、大人になった彼ら部員たちが同窓会で部室に集まった。
現役の部員たちもいる。
そして、三度現れるタイムマシン。
繰り返されるドタバタ劇。
今度は大学の存続もかかっている。
取り戻せ僕らの青春、思い出のあの日。
(『〜ワンスモア』

友情と恋と青春の1ページ。
『〜ブルース』だけ観ても、それはそれで面白かったが、
『〜ワンスモア』を合わせて観るとより感動は深くなった。
大学時代のことよりも、社会人になった『〜ワンスモア』の彼らの方が年齢的に近いので共感できるところが多かったのだろうか。

ラストシーン、全てのはじまりだったエアコンのリモコンを現役部員の彼女に受け継ぐシーンがある。
このシーンでホロっと来てしまった。
まさか、ヨーロッパ企画の舞台で落涙するなんて!
いいおっさんがセンチ過ぎるだろ。
だけど、誰にでも忘れたくない、そっと心に覚えておきたい思い出がある。
そんな感情が、このラストシーンですっと湧き上がってきた。

『来てけつかるべき新世界』は吉本新喜劇を凌駕するドタバタ喜劇だったけれど、『サマータイムマシン』シリーズは、いつまで経っても褪せないほろ苦い青春を思い出させてくれる素敵な作品でした。

U-NEXT配信の舞台は全作制覇しようと思いつつ、
今年はヨーロッパ企画の結成25周年記念の年らしく、
25周年を記念する『切り裂かないけど攫(さら)いはするジャック』が各地で上演されることを知ったので、早速10月の本多劇場のチケットを予約しましたよ。
今から楽しみです。

<了>

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