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読書は一期一会〜2024年8月

「読書は一期一会」というタイトルで、毎月買った本を紹介する月例noteを投稿しています。

2024年8月に買った雑誌・Kindle以外の紙書籍を紹介します。
日本再接近、上陸の台風が九州四国地方からずっとノロノロ、なんでも自転車の速度くらいっていうじゃないですか。
おい!もっとちゃっちゃっと通り過ぎんかい!
とも思いますが、せっかくの台風お籠り、家でじっくり本でも読みましょう。
では、はじめます!


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「虚史のリズム」奥泉光(集英社)2024

よしキタ!1104ページ!
これぞ鈍器本の中の鈍器本。
その立ち姿を見ただけでワクワクして胸が躍ります。
いや、読むのも大変なんですけど、こんなに分厚い本は。
持って帰るのも一苦労でした。一気に通勤リュックが漬物石背負ってるみたいになって肩が折れそうでした。

ただ分厚くて重いだけじゃないですよ。
何て言ったって奥泉光氏の大作です。
テラノベル!と出版社も帯で煽ってます。
舞台は1947年の東京。戦後間もない時代、東京でバーをやりながら私立探偵もしている主人公のもとに「K文書」の行方を追うという依頼があります。
東京裁判の行方も左右するというその「K文書とは?」
てな感じらしいですが、まぁこれだけじゃ正直わからんですし、そう簡単にあらすじが書けるようなシロモノではなさそうなことも確実。
これは夜を徹して読むしかないです。

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「一億年のテレスコープ」春暮康一(早川書房)2024

待ってました、期待の新人の長編第一作。
「オーラリメイカー」で第7回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞。
「法治の獣」ではベストSF2022国内篇第1位、星雲賞国内短編部門受賞とこれまで出た短編はいずれもSFファンの話題になっていました。
その作者がハードSFの長編を出したというので、これは読んどかないといかんわな、と早速購入してきました。
これは積読なんてことしないで、ハヤカワ文庫に収録される前に読み切っちゃわないと。

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「透明都市」リリア・アセンヌ(早川書房)2024

これは本の雑誌で紹介されていて、絶対面白いやつと思って入手しました。

2029年、パリで「新革命」が起きた。暴力の可視化と予防のため、あらゆる建物をガラス張りに改装し市民が監視し合う都市計画が締結されたのだ。――20年後、犯罪が激減したパリで裕福な一家3人が忽然と消えた。理想都市で起きた奇怪な事件の裏に潜む真実とは

公開されているあらすじを見ると特殊設定ミステリみたいな感じですが、なんとフランスの高校生が選ぶノードー賞というものを受賞しているようです。
ヤングアダルト的なニュアンスもあるんでしょうか。
フランスパリオリンピックで色々と度肝を抜かされて、やっぱりヨーロッパの歴史ある国って日本とは根本的に違うんだなぁと思ったものの、意外にフランスはヨーロッパの中でも日本の漫画コミックファンが多いそうで(NHKでも特集やってましたね)、実は感性はそんなに違わないのかな?と思ったりも。

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「二階のいい人」陳思宏(早川書房)2024

最近、マイブームの台湾の小説です。
早川書房から台湾文学コレクションというシリーズが刊行されていて2冊目は飛ばして3冊目。

ベルリンの弟の家にやってきた台湾の高校教師。不慣れな外国に戸惑う日々の合間、彼女は美容院を営んだ亡母の顧客名簿をめくり、古い記憶をたどる。貧しい一家は母の裏の商売のおかげで生き延びたのだが――。疎外感を抱き生きてきた女性が出会うひと夏の物語

台湾の作家さんの小説ですが、舞台はベルリン。
台湾や中国が舞台よりも、我々には少し読みやすいかもしれません。
そして、台湾人のグローバルな視点や感性もわかるのかなぁ。

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「次の夜明けに」徐嘉澤(書誌侃侃房)2020

こちらも台湾シリーズ。
4年前に出た本なので少し前なのですが、ずっと気になっていてやっと入手することができました。
1947年の二二八事件を端に始まった民主化運動(反政府運動)という台湾の国を挙げての激動の時代から家族3代の確執も描く、いわば台湾版の大河ドラマですね、きっと。
仕事でも関係の深くなる台湾の歴史を知ることで彼らの人となりも理解したいです。

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「籠の中のふたり」薬丸岳(双葉社)2024

傷害致死事件被告の蓮見亮介と身元引受人となった弁護士の村瀬快彦は従兄弟の関係。
そして、二人には出生の秘密があるようで。
なんとなく想像がつくような気がしなくもないですが、

著者史上もっともハートフルな物語が誕生。最後に芽生える真の友情に、あたたかい涙が止まらない!

というキャッチコピーに掴まれました。

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「DUB論」マイケル・E・ヴィール(水声社)2023

ジャマイカで生まれたダブ、というよりはDUB。
深くエコーがかかってこれまでもかと沈み込み腹に響く低音。
最初のDUB体験はアンドリュー・ウェザーオールでした。
なんだこの格好いい音楽は!

唯一と言ってよいそのDUBの研究書が以前は別の出版社から出ていましたが、絶版になっていて入手困難になっていました。
昨年、別の出版社から発刊されたものの、それも多くの書店で在庫切れとなっていて、amazonでは中古に高値が付けられています。
前からいつも行く書店で見かけていたんですが、また今度、と思っているうちに気がつけば紀伊国屋書店でも軒並み品切れ。
あぁぁ、これはやっちまったかな、と思ったもののヨドバシさんでサクッと入手できました。
売り切れて本当に入手できなくなる前に一冊救助してきました。

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「いわゆる「サザン」について」小貫信昭(双葉社)2024

これは積読する間もなく、買ってくるや否やすぐに読み始めて一気に2周しちゃいました。
やっぱりサザンはいいなぁ。
考えてみたら中学時代からずっとサザンの、そして桑田佳祐氏の音楽と一緒だったんだな。
そんな思いは、先日noteにも書きましたのでよかったらどうぞ。

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「これはニュースではない」速水健朗(blueprint)2024

「1973年に生まれて 団塊ジュニア世代の半世紀」速水健朗(東京書籍)2023

速水健朗さんを2冊。
ポッドキャストで毎週速水氏の番組を聴いていて、その中で「これはニュースではない」の出版のお知らせをしていました。
「視聴者の皆さんはお布施だと思ってよろしければご購入ください」
と仰っていたので、お布施のつもりで購入しました。
いや、いつもその視点と切り口にはなるほどなぁと思うところも多く、ついでに昨年出版された「1973年に生まれて・・」と一緒にゲットしました。
そうか、1973年といえばほぼ10年違うのか。
10年違うということは、青春時代が平成になっているので社会の見え方がやっぱり全然違うんだな。
そんなことも考えていました。

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「ぎょらん」町田そのこ(新潮文庫)2023

お次は文庫です。
町田その子さんの「ぎょらん」は、何か心に引っ掛かる物語を読んでひっそりと涙したい、そんな感じの一冊ですね。
楽しみ。

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「現代の小説2022 短篇ベストコレクション 日本文藝家協会・編」(小学館)2022

「雨の中で踊れ 現代の短篇小説 ベストコレクション2023」(文藝春秋)2023

短篇集が2冊。
小学館から年次で出てる短篇ベストコレクション「現代の小説 短篇ベストコレクション」シリーズは少しづつ買い集めています。
以前は徳間書店から出ていたんですよね、いつから小学館に変わったのかな。
そして、似たようなタイトルの「現代の短篇小説 ベストコレクション」シリーズは文藝春秋から出ている短篇集です。
ややこしいな笑。

ややこしいといえば、短編なのか短篇なのか、どっちだよ、違いはあるのか?と思うのですが、どうも違いはないようです。
短篇が当用漢字ではなかったので、短編を使うようになっただけだとか。
よく知りません。

短篇はいいですね。
大好きです。
でっかいストーリーに身を委ねる長編もいいですが、短篇はエッセンスがぎゅっと詰まっていて、それでいておお!!となる起承転結があったり。
まぁ、どちらも面白い話は好きです笑。

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おわりに

はい、ということで8月分は13冊でした。
先月よりは少ないけれどそれでも多いなぁ。
8月は本を買うのを控えようと思ってたんですけどね、
でもね、書店に行くと、Amazonを覗いていると、面白そうな本があちらこちらから呼んでるわけですよ。
「ほら、面白いぞ、今買っとかないとすぐに無くなっちゃうぞ」て。
困ったなぁ。
ネットも繋がらない、半日くらい移動しないと書店がない、そんな場所に住まないといけないのかもしれません。
みなさんはどうされているんでしょう?
「積読と闘う(仲良くするための、でも良い)友の会」でも主催しようか。

それでは!

<了>

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