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映画「ナワリヌイ」〜余所事(よそごと)とは言えないんじゃないかという
この映画のことは全く知らなかったのだけど、映画感想家のカシマエスヒロさんとライターの張江浩司さんのポッドキャスト「映画雑談 - ハリエンタル」で紹介していたので、これは面白そうだと観てみた映画。
これがちょっと他人事というか余所事とは思えないような内容だったので、備忘としてnoteしておきたい。
その映画は「ナワリヌイ」
なんのこっちゃ?というタイトルだけど人名のこと。
アレクセイ・ナワリヌイ。ロシアの反体制派の先鋒で、プーチン大統領に対する批判を続けているとても勇気ある政治家だ。
"プーチンが最も恐れた男"というサブタイトルが付いている。
本当にプーチンが最も恐れていたかどうかはわからないが、その恐怖の独裁政治支配っぷりがあからさまなロシアで、彼ほど徹底的に批判し続けた政治家はいないのかもしれない。
そんなナワリヌイがプーチンの指示により(本人は否定しているが)毒殺を図られて瀕死の状態になり、かろうじて一命を取り留めてドイツ メルケル大統領の支援もありベルリンの病院へ批難、その後調査チームを組織した結果、ロシア政府のお決まりの暗殺薬 "ノビチョク" を盛られたことが発覚し、またアレクセイ・ナワリヌイを狙っていた暗殺チームのメンバーも明らかになった。
そうした一連の経緯を描いたドキュメンタリーだ。
最初はロシアという旧社会主義体制を引きずっている、そして隣国へ武力でもって攻め入ることも平気で行うプーチンという時代錯誤の独裁者の国の話だからな、恐ろしい話だ、くらいのつもりで呑気に観ていた。
だが話が進むにつれて、これはひょっとしたら今の日本と何も状況は変わらないんじゃないか?
政権維持と身内の利益のためには国民生活を省みることもなく平気で統一教会というカルトとも手を組んでしまうそんな自民党政権と何が違うんだろう?
五輪・土地買収・太陽光発電・コロナ対応など数々の政府案件事業に関連する明らかな利益誘導、役所全体に広がる資料の改ざん、政府の検察介入ともみ消しなどエトセトラ
そうした不正を忖度して報道せずに提灯記事ばかりを喧伝する大手メディア、政権擁護発言しかしないエセ文化人を重用するテレビ局
誰の目にも明らかに暗殺が行われていないだけで、実はほとんど同じじゃないのか?と思えて恐ろしくなってきた。
最後にインタビュアーが尋ねる。
「もし、逮捕され投獄されるか殺されるとしたら?」
「仮に僕が殺された場合のメッセージは "諦めるな”だ」
改めてインタビュアーが尋ねる。
「ロシア語でも答えて下さい」
アレクセイ・ナワリヌイは今度はロシア語でさらに言葉を重ねる。
「ごく当たり前のことを君たちに言う。
決して諦めるな。
僕が命を狙われたのは、僕らが信じられないほど強いからだ
その力を活用しよう。
忘れるな。
僕らが持っている巨大な力は、悪い連中に押しつぶされている
本当は強いのに、僕らに自覚がないからだ
悪が勝つのは、ひとえに善人が何もしないから
行動をやめるな。」
やはり他所の国の話ではない。
政権がやりたい放題しているのも僕ら国民を舐めているからだ。
少々都合の悪い報道があったとしても、テレビを通じてエサを与えておけば、すぐにそんな事を忘れて、楽な方へと流されていくから。
そして、選挙になっても野党は分断されて弱小だし、投票率も低いから政権与党はいつまでも組織票だけで圧勝だから。
ちなみにアレクセイ・ナワリヌイはロシアへ帰国した直後に逮捕・勾留され、裁判の結果独房へ今も投獄されている。
果たして日本には、ここまで命を張って立ち上がる政治家はいるのだろうか。
個人的には山本太郎がそれに近いようには思っているが、
残念ながら未だカルトな泡沫タレント議員的な見方しかされていないのがもどかしい。
困ったものだ。
<了>