大人になったビビアン・スーを愛でる台湾映画『ママボーイ』
台湾映画の『ママボーイ』
こんな映画があったんですね。
最近のマイブームが台湾カルチャーなので、国内配信している映画やドラマも調べていたらU-Nextにありました。
ビビアン・スーが主演か、懐かしいな!
この魅力的な大人の女性がビビアン・スーだな。
上映時間も98分と手頃な長さ。
よし、観よう。
※※※
観てよかったな、と思えるなかなか味わい深い小品でした。
それにしても、この『ママボーイ』ていう邦題は酷くないか?
原題は『初戀慢半拍』
Google翻訳先生に訊いたら「初恋は遅くなる」ていうことでした。
遅咲きの初恋て感じかな。
うん、こちらの方が映画の内容的にもしっくり来る。
まぁね、別にいいんですよ、ママボーイでも。
ママボーイなんて言葉はないから、邦題用の造語でしょうから。
そりゃね、主人公の「内気な青年」小洪(シャオホン)はマザコンというか、息子を溺愛しているシングルマザーの母親の管理下でガチガチに育てられたおかげで、とても優しい性格なんだけど、思ったこともはっきり言えないとにかく内気な青年で、童貞どころか彼女なんてとんでもないという青年。
でも彼の設定は29歳なんですよ。
流石にヤバい。
今の表現だと子供部屋おじさん一歩手前。
小洪は叔父さんが経営している熱帯魚屋で働いているんですが(小洪がいつも着ている服も店のユニフォームのオレンジ色のポロシャツ)、
一緒に働いている従兄が見かねて、小洪の誕生日に風俗店でのサービスをプレゼントすることにします。
その風俗店はホテルがグルになっている、まぁ言わばヘルスですね。
本番あるかは分からないですが。
その店の副支配人がビビアン・スー演じる楽楽(ララ)。
小洪はやはりというかマザコンの気があるので、お店の女性ではなく、楽楽に恋してしまうんです。
楽楽も実はシングルマザーで一人息子がいるんですが、小洪とは正反対に幼い頃から愛情を注げなかったのか、連絡する時は金の無心だけ。
一発当てて金儲けしてやろうというよくあるヤバい性格なので、後に問題を起こす訳ですが。
楽楽は最初は気怠そうな、なんだか笑顔も少なく場末の風俗店雇われチーママ的なやさぐれ感満載で、ここで既に僕らのビビアン・スーのイメージと大違いなんです。
ところが、小洪の一途な、だけど控えめなアプローチに段々と楽楽に笑顔が多くなってくるんです。
この辺りのビビアンが素敵。
まぁ、話としては年の離れた恋は上手くハッピーエンドになる訳もなく、小洪の母親と楽楽の息子も介在してきて、最後は別れることになるんですが(大人の楽楽から別れる)。
だけど、この束の間の夢のような淡い恋、まさに初恋のような、肉体関係もなく軽いキスだけの関係を通して、小洪も楽楽も、なんなら母親も一人息子もみんな少しだけ成長して、次のステップへ歩み出すことになるんです。
初恋、それは小洪にとってだけでなく、楽楽にとっても遅い初恋だったのかもしれなくて、
初恋は実らないからこそ、人は成長する、そんな素敵な話です。
そして、最後は小洪も新しい本当の恋の兆しでラストシーンが終わります。
うん、いいね!
なんとも爽やかな、ちょっとほろ苦い、素敵な話だろう。
こういうのでいいんだよ、という映画でした。
〈了〉