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拙い読書感想文「子どもたちは夜と遊ぶ(上)(下)」辻村深月
ここ最近、辻村さんの小説を読む機会が多い気がします。
というのも知人から借りた本が辻村さんばかりだからです。
(自分で本を買え!そして経済を回せ!)
辻村さんの小説は学園モノ、ファンタジー、ミステリーが巧みに組み合わさっている感覚のものが多いです。
主人公たち登場人物の青春の1ページに不思議なミステリーが乗ってくるイメージです。
今回も舞台が大学で、主人公たちが凄惨な殺人ゲームに巻き込まれていくという内容でした。
辻村さんの小説の特徴のひとつにこういう殺人シーンや血が流れるシーンが鮮やかに描かれていることが挙げられます。
ゆっくりと暖かい血が流されている描写が目の前で実際に起こっているかのような感覚によくなります。
僕は血が苦手なので首をひっこませながら、目を背けたくなりながらもそのシーンを切り抜けています(笑)
それほどリアルな描写に感じます。
ただグロテスクなだけでなく、リアルで美しく流血しているという感じがします。
登場するキャラクターたちは実際の僕たちが住む世界にもいそうだけどここまでの人はいないだろうという絶妙なキャラクターが多いです。
「絶対おらんやろ!」と冷めることはなく
「いそうやけどおらんねやろな」という感覚がします。
登場人物について
主人公は「狐塚孝太」くん、かな?
他の主な登場人物として
孝太と仲良くしている派手好きな「月子ちゃん」
孝太と同居している荒っぽい性格の「恭司」
孝太と同じゼミの孤高な天才「浅葱」
孝太のゼミの優しく面倒見の良い先輩「萩野さん」
月子のゼミの教授である「秋山先生」
月子の意地悪なお友達「紫乃」
などです。
実生活で自分が苦手なタイプが暴力的な「恭司」
自分が憧れるタイプが「孝太」と「浅葱」を足して割った感じの孝太寄り
優しくて思いやりのある孝太と実力主義でクールな天才浅葱
相反するタイプを足して割ったらそりゃよくなりますね(笑)
自分が恋人にしたいのが優しくてしっかりしているけど、全然競争心が剥き出しじゃない「萩野さん」。
派手好きで天真爛漫な「月子」よりもおっとりタイプの「萩野さん」を魅力的に感じます。
あらすじ
浅葱には暗い過去があります。
ある論文の発表会から「i」という匿名の人物の存在を知り追いかけるようになります。
浅葱は「i」が昔生き別れた実の双子の兄「藍」なのじゃないかと思います。
なんとか「i」という人物とコンタクトを取ることができて「i」は自分こそが浅葱の兄の「藍」であると言い張ります。
浅葱が「i」と再会するためにはゲームをクリアすることが必要だと「i」は浅葱に持ち掛けて殺人ゲームが始まります。
まずは「i」が高校生の赤川翼君を手に掛けた?ところからスタートし、言葉遊びのゲームのように次のターゲットの漢字一文字が「i」から指定されて、それが8回目まで繰り返されるというものです。
その中で僕の推しの萩野さんや月子の嫌な友達紫乃が殺されてしまったり、最後は狐塚孝太がターゲットとして予告されるなどして話が進んでいきます。
登場人物たちも萩野さんや紫乃が殺されたあたりからは犯人は顔見知りなのではないかと疑いだします。
この殺人ゲームは次第に報道されていくのですが、途中で浅葱のパソコンに書き溜めていた暗い過去の手記がiによってハックされネット上に公表されてしまいます。
この殺人ゲームはiと浅葱の2人で行われていたのですが浅葱は公表された名前としてはθというものを使っていました。
次は君の番だよθ i
のように。
θはiに利用されているだけで実の兄ではなくただの他人なんじゃないかとも予想されていました。
僕は読み切るまで犯人が全然わからず、事件の解決に積極的に関与しようとしていた秋山先生が怪しいなと思っていました(笑)
それにしても秋山先生は何て言って教室の男の子を失踪させたのでしょうか。
具体的なセリフを知りたいですが、言ってましたっけ??
驚愕の事実
事件の解決よりも僕が驚いたのは孝太と月子が兄妹だったということ。
この事実は下巻に入ってから。後半になってから判明するものでありました。
元々の描写として
月子は地元から孝太を追いかけてきて大学に入学したことや、孝太のお母さんを名前+さん付けで呼んでいたこと、孝太がアメリカ留学するかどうかの時に月子が理由で迷っている描写があったこと、
があり、孝太と月子は親公認で付き合っているのだと思っていました。
皆さんもそう思わなかったですか?(笑)
兄妹と知った時は浅葱と一緒に驚きました。
浅葱も月子と孝太が付き合っていると思っており自分の手に入らないならということで後半、花瓶で月子の頭を殴ってしまいます。
しかし、後で学生証を見て狐塚月子ということを知り後悔します。
結構長い付き合いやったのに苗字知らんかったんかい!
好きな子が誰かの彼女やとしても花瓶で頭ガーンはあかんやろ!
とは思いましたが(笑)
それくらい浅葱の過去はつらく暗いものだったんですね。
結論、iは浅葱の二重人格のもう一人でした。
厳密に言うと読者側に見えていたクールで天才肌の浅葱が二重人格の裏側の人格でサイコキラーの方が本当の浅葱だと面会の時に孝太に告げます。
浅葱の実の兄である藍は実際には過去の事件でもうすでに死んでおり、その悲しみを覆い隠すように二重人格が生まれたということでした。
iと浅葱が待ち合わせするシーンでなかなか会えなかったりするなどところどころに伏線はありましたが、最後まで僕にはわかりませんでした。
さいごに
月子は派手好きな性格で髪を巻いておりネイルもバチバチに決めているという描かれ方でしたが最近はそういう恰好が流行っているのですかね?
僕も読書ばかりで引きこもっておらずにたまには街に出かけて、どんな格好やモノが流行っているのかを視察しにいかないといけないような気がしました。(梅田に行かないと!)
最近はSNSやテレビもほとんど断って刺激を少なく生活していたので、プロ野球以外の情報をほとんどいれていません(笑)
以上、ご長読ありがとうございました。