見出し画像

『東京』


正月が終わって

大学も始まるから

俺は東京に戻ろうと


そしたら父親が

「俺も行く」だって


仕事は?って聞いたら

有給たっぷりあるからって


どこに泊まるのかは

愚問だった


俺の部屋に泊まるらしい


学費も生活費も

ほとんど出してもらってるから

俺の拒否権はないに等しい


仕方なしに

新幹線で横並び

最寄駅から贅沢にタクシー


ワンルームのマンション

俺がなぜかクッションで寝る生活


でけっきょく

何がしたいのって

改めて聞いてみたわけ


「ハグってやつ」


何言ってんだ?


今年で50になるおっさんが

赤面しながら

なんだか段ボールに書いてる




フリーハグをし下さい。




「フ…フリーハグ…」


えっ

これって

ちょっと昔に流行ったやつ?


渋谷のハチ公前とかで

道行く人々と

ハグするやつ?


「勘違いするなよ…俺は…」


するわ工口親父め


「ただ愛をだなぁ」


ほざいてんな


きしょくなってきたから

さっさと父親を締め出して

来月から仕送りいらんわって

言おうと思ったけど


冷静に考えると

それはマジできついから


ぐっとそこは堪えて

看板作るの手伝ってやった


そしたらなぜか

インターフォン鳴って

爺ちゃんまでウチに来て

フリーハグやりたいって


どういうスケベ家系だよ