漢方はり灸治療で用いる「陰陽論」とは
「陰陽論」とは、古代中国で生まれ、宇宙から与えられた自然界のすべての現象を「陰」と「陽」に分けてとらえる理論です。
森羅万象をさまざまな観点から「陰」と「陽」に分類します。
自然界の陰陽 人体の陰陽 生理機能の陰陽
陽 - 陰 陽 ー 陰 陽 ー 陰
天 - 地 男 ー 女 軽い ー 重い
日 - 月 上部ー下部 温 ー 冷
昼 - 夜 外部ー内部 熱 ー 寒
上 - 下 六腑ー五臓 拡散 ー 収斂
外 ー 内 頭 ー 足 活動 ー 鎮静
火 ー 水 お腹ー背中
夏 ー 冬
漢方はり灸治療の教科書である中国古典『素問』の陰陽応象大論篇第五には「寒極まりて熱を生じ、熱極まりて寒を生ず。」とあります。
どういうことか、気候の変化で例えてみると。
冬の寒さが極まって冬至になると、陽が生じはじめ暖かくなってきます。春分になると寒さはしだいに衰え、夏に向かいます。夏の暑さが極まり、夏至になると陰が生じはじめ、涼しくなりはじめます。秋分になると熱がしだいに衰え、また冬の寒さに変わってきます。
これを、体にあてはめると、高熱が出たときは体は熱くなりますが、汗をたくさんかくと体は冷たくなっていきます。
「陽」を活動 「陰」を鎮静 とすると、仕事を頑張ってこなしている時は「陽」の力が働いていて、リラックスする時は「陰」の力が働きます。
このように、健康も絶えず変化をして、体は健康と病気の間で揺れ動き、バランスを取りながら健康を保っています。
このバランスが大きく崩れたときに、治療を要する病気になってしまうと考えます。
また、陰陽は下の図のように「太極図」で表されています。
「陰」と「陽」はお互いに影響を与え合っていますが、それぞれのパワーは一定ではなく、常に変化をし続けていると言われています。
「陰」が強くなれば「陽」が弱まり、「陽」が強くなると「陰」が弱まるという宇宙の法則を現わしています。
このように漢方はり灸治療では、宇宙のリズム(月や太陽、暦など)と自然界の変化(四季や天気など)の法則について観察し、そこから考え出された色々な知恵を治療に応用して『からだのこえ」を聞き取っています。
次回は、陰陽論と並ぶ漢方はり灸治療の重要な理論「五行論」です。
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