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夢が始まった話

看護師になったら、〇〇科で働きたいねん。

と、母親に伝えたら、開口一番

「需要あるん?」と笑われた。

え、いや笑、需要あるから存在してるんじゃん、笑

と答える前に、

「前言ってた〇〇科の方がお給料も良くて安定してて…」

と言いだしたので、答えるのを、やめた。


友達が大学院進学を考えている、という話を母親にしたら、

「あなたは大学院向いてないからその友達は凄いね」

と、笑われた。

大学院に行こうと密かに考えてたのに。


なんでそんなこと言うの?大学院行きたいのに。向いてないの?

アホなヒロインのフリをして聞いてみると、

「いや、ママには分からないけど。向いてないんじゃないの?」

急に答えが曖昧になった。

まぁ、そんなもん。

いつもそう。


母親は、いつも夢の邪魔をする。

母親が思っている通りの進路に進みそうになった時だけ、応援するフリをしてくれる。

直接は、言わない。

「え?前言ってた方がいいんじゃないの?」

「それはあなたに向いてないと思うよ」

そういって、私を母親の思い描く軌道に乗せようとする。

だから、"看護師になりたい"、"看護大学に行きたい"と言った時は、応援してくれた。

応援の文言は、

「人を助けられる人になりなさい」

でも、

「社会に貢献する人になりなさい」

でもなく、

「将来安定して稼げるし、お医者さんなんかと結婚できたりするんじゃない?」

だった。

その時の母親はニコニコしていた。

今から思えば、当時感じた心のモヤモヤは「気持ち悪さ」だったとわかる。


話は戻るが。


今日、母親にそのような事を言われた時、心の中で

「こういう所から夢って始まるのかな」

と思った。

否定されたなら、叶えて、言い返してやりたいと思った。

言い返さなければ、と思った。

自分の中にある正直な気持ちを、もっと大切にしたい。

誰かに邪魔されて折れたり揺れたりするような心を持つような子供を、母親は育てた覚えはないはずだ。

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