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ナンバーワンよりオンリーワン?

最近、ある文章にハッとさせられました。

誰とも競わなくていい、比べなくていい、対立なんてしなくていい世界が訪れるものと信じていた。

ずっと違和感を覚えながらも、言葉にしてはいけない気がして、のみ込んできたからです。

これは、朝井リョウさん『死にがいを求めて生きているの』に出てくるセリフ。

誰とも比べなくていい。
そう囁かれたはずの世界は
こんなにも苦しい――

「お前は、価値のある人間なの?」

朝井リョウが放つ、〝平成〟を生きる若者たちが背負った自滅と祈りの物語

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植物状態の智也/智也を献身的に見守る雄介を中心に、過去から現在へ物語が進んでいく本書。

読み終わった時、タイトル『死にがいを求めて生きているの』にどんな思いが込められているか、ぜひ想像してみてください🍀

対立で自分の存在を感じられる子

まず、印象に残ったのは、このセリフ。

何もないところに無理やり対立を生んで、
やっと、自分の存在を感じられる子

運動会の朝に「その髪型あの子と被っているからやめといたほうがいいよ」って言ってきたり、

「あの子その子のことうざがってるっぽいからあんまり仲良くしないほうがいいよ」って言ってきたり…

幼い頃、クラスの陰で、ひそひそ話をして盛り上がる女子が怖かったように、

大人になった今も、陰で誰かに順位づけされる世界に生きているような気がするのです。

誰とも対立しなくていい世界なんて

だけど、これまでは「決して口にしてはいけないもの」と感じてきました。

だから、朝井さんがこんな風に言葉にしてくれたことが、本当に嬉しかったんです。

誰とも競わなくていい、比べなくていい、対立なんてしなくていい世界が訪れるものと信じていた。
だけど人間は、自分の物差しだけで自分自身を確認できるほど強くない。
・・・
ナンバーワンよりオンリーワンは素晴らしい考え方だけれど、それはつまり、これまでは見知らぬ誰かが行ってくれていた順位付けを、自分自身で行うということでもある。

あらゆる対立の種が排除されていく、今。

学校では、テストの順位が貼りだされなくなり、「相対評価」ではなく「絶対評価」で通知表が作られるようになりました。

「ナンバーワンよりオンリーワン」

それぞれの個性を大切にしよう!という風潮の中、教育を受けてきた子どもたち。

だけど、その裏では自然と対立が生まれているし、大人になれば嫌でも対立の中に放り込まれていきます。

対立はなくならない、だから…

「ナンバーワンよりオンリーワン」の考え方は、大切。

一方で、対立はこれからも決してなくならないと思うのです。

対立によって、誰かが傷つられたり攻撃されたりすることは、嫌です。

だけど、互いに分かりあうための手段として対立もあるのかもしれません。

だから、どちらかに偏り過ぎず、自分で大切だと思うものを選べる大人でありたいと思うのです。

#読書の秋2022

今回は、noteでの投稿コンテスト「 #読書の秋2022 」向けに、読書感想文を書きました💡

今年のテーマは、「今こそ読んでほしい、この本。」。

合計33タイトルの推薦図書があげられています。

皆さんも、読書のきっかけにしてみてはいかがでしょうか?

最後までお読みいただき、ありがとうございました🍀

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