タイムリーな『新潟・佐渡金山』へ家族旅行。世界文化遺産の土地で考えたこと
なんで家族旅行で考えるんだ、って感じだけど今回は考える旅行になった。
出発前日に旅の目的地である佐渡島の金山が世界文化遺産に登録されて歓喜に湧くタイミングだったことがきっかけ。
旅行客殺到しちゃって大混雑?と、普段外国人観光客が溢れる京都で暮らしている身としては、混雑具合が気になりつつも、さすがに問題ないか、それより4日間とも雨予報だけど天気の悪い離島旅はツライなと思いつつ出発。
結果的に、雨も降らず晴れ間も見えたこと。
宿泊地区で夏祭り&花火大会に遭遇したこと。念願のたらい舟に無事乗れたこと。
十分満足だったのだけど、世界文化遺産登録(祝)と歓喜に湧いていたからこそ、観光地としての復興を願う想い、文化遺産保存と観光の両立、これからどんな感じに発展していくのだろう?!と考えた時に
課題が散見して厳しそうな印象を持った。
そもそも私自身、旅行をメインに生活しているわけでもない、街づくり・復興を考え実行している人でもない、評論家でもない。たまに行く旅行では、何があっても「満足でした♡」でざっくりまとめがちな人間と自覚している。
なんだけど、喜ぶ現状と見えない未来のギャップを大きく感じたので、赤裸々な気持ちで旅行の振り返りと一緒にまとめてみる。
※旅の思い出、考えごと、写真をゴッチャに詰め込んで4000字です。
【概要】3泊4日の家族旅行(40代夫婦+幼稚園児)。京都発。2泊佐渡島、1泊新潟市内、基本的にレンタカー移動。
【目的】佐渡島のたらい舟に乗る。
たらい舟は無事達成!
①とにかくアクセス難な理由と、かかる移動費用
まずどこから行くにしてもアクセスが悪い。
東京駅からだと上越新幹線と佐渡汽船(ジェットフォイル)65分を利用して最短4時間で可能。金額は大人1あたり往復35,000円程度。フェリーだと5時間以上かかる。
我が家は京都市内在住。伊丹空港から新潟まで空路、新潟から佐渡島まではカーフェリー。出発からレンタカーを借りるまでに8時間要した。スムーズに進んでの結果。
幼児連れで8時間はなかなかツライ(笑)
因みに、カーフェリーをジェットフォイルに変えた場合で7時間。ただし大人片道4,000円プラス料金になる。空路をいれると金額に差が出やすいので一概に言えないが、大人1人あたり往復3万強。早割りで航空チケットを確保しカーフェリーを1番安い等級にしてるから安め。
海路一択です!
どこから見てもアクセス難になる理由は海路しかないから。
新潟港⇔両津港のカーフェリー(2時間30分)、ジェットフォイル(1時間7分)と、直江津⇔小木港のジェットフォイル(1時間15分)がそれぞれ運航中。フェリーでしか佐渡島には行けないのだ。
空港はないの?と車を走らせていると、ありましたよ佐渡空港が。
調べてみると2014年以降運休状態で、定期便はゼロ。滑走路が短くジェット機の離着陸は不可のよう。唯一、トキエアが佐渡線への就航を予定しているようなのでそれが叶い、空路が追加されれば、また観光地の候補に入りやすくなるね。
②天候に左右されやすい離島旅
佐渡島に限らず、離島はお天気に左右されやすい。観光名所が絶景スポットになりやすいし、欠航・運休が出ると、そもそも目的地に辿り着かなくなる。でもこれは離島の宿命、自然は人智を越えたものなのでやむを得ず。
じゃあなんで2番目に天候を持ってきたかというと、悪天候だった場合の代替案として何があるか、何を楽しめるかと考えるから。
③目玉は、金山・トキ・海の幸?
天気予報がすべて雨だったこともあり、雨が降ってないタイミングでたらい舟、海水浴は諦めて、タイムリーな佐渡金山と日本トキを見にいくことにした。
どれも見応えたっぷり!ゆっくりみたいけど、幼児にはつまんない場所になる(泣)
子どもが小さいので選択肢に入れなかったが、できるなら公式サイトにある山師コース体験したかった。
産業の歴史、文化がメインになるので、ただ見るだけだとインプット量が微々たるものになるのよね。
翌日は佐渡トキ保護センター、トキの森公園へ。佐渡島といったら金山、たらい舟、トキでしょ!と思ってる人です。
トキを近くで見ることは叶わなかったけれど、双眼鏡では見れたし、街の歴史とトキは興味深く拝見できた。
なお、金山もトキ保護センターも悪天候でも問題ない観光地です。
続いて期待の海の幸。
いたる所の口コミで海の幸やお米が美味しい、と期待してたのだが残念な結果に。
チョイスが悪かったのか、数日海がしけて良い魚が入ってきてたなかったのか、新米前の季節だったからか理由は定かではない。
とはいえ、良かったところも。
良かったのはこちらのふたつ(海の幸ではありません、苦笑)
宿泊&食事:音楽と陶芸の宿 花の木さん
センスの光る器やテーブル、心のこもったお食事たち。オシャレと幼児は相性の悪さが相場ですが、気持ちよく受け入れてくださり、感謝でいっぱい。
ナンバーワンはフルーツカフェさいとうさん
近くにあったら毎週行きますと断言するほどの美味さ。くだものをそのまま削ったかき氷がおススメ!
私が食べたのは夏季限定のネクタリン。
娘は定番のいちご、夫はネクタリン&桃のパフェ。どれも最高で、帰りにも色々テイクアウトして帰ったよ。
あれれ、十分漫喫してるね。
④観光地として発展したくないのかも
十分漫喫した旅行なのに、一番感じたこと、それは地元の人は佐渡金山が世界文化遺産に登録されることを望んでもいなければ、観光客が増えることも望んでないのではと。自分も観光地近くに住まいなので分かるが、住人にとって、観光業に従事していなければ観光客が増えることに良いことはない。
むしろ困ることばかり。
観光客増加=税収増加でもないし、産業が盛り上がるわけでもない。
短い期間の外から見た目だけなので何の信憑性もないのだけど二つ根拠がある。
一つは飲食店。
ランチで利用したお魚が美味しいと評判のお店は、観光客と地元の人双方が利用しているのが分かる。評判の魚は確かにうまいのだけど、スタッフの方のサービスや接客が観光客と地元の方へと露骨に違ってあまり気分のいいものではなかった。おススメするメニューも、話し方も総じて対応すべて。
もちろん一見さんより、日々お付き合いのある地元の人への対応が良くなるのは分かるし、ほぼ観光客の民宿と違い、地元×観光客が入り乱れることになる。
気持ちは分かるのだが・・・観光客としても選択するほどお店が多くないのもあり選ぶしかないのだ。なんだか残念な気持ちが増すことになったよね。リピートすることは絶対ないと思ったし。
もう一つは活気のない街とゴミの量。
海水浴場、ちょっとした海辺と水辺を散策する場所が至る所にあるのだが、メインの場所から離れると、すごくゴミが目につく。流れ着いた海のプラスチックごみだったり、何か分からないモノだったりするのだが、水のキレイさとは対照的にゴミが多い印象を持った。
敢えて写真には残してないのだけど“写真を撮る時に避けた”と記憶しているので、気になったんだよね。
ゴミがあると“キレイに保とう”とする意識が薄くなる。じゃあ誰がゴミを拾うのかとなった際に、率先する人がいなかったり、高齢化が進みすぎているのかもしれないしとか色々思ったり。
廃れた街の雰囲気、大手チェーン店の家電製品屋かドラッグストアしかない路面、シャッター商店街などは、田舎の街にいくとたいていどこも同じなんだけど、旅行の目的地にチョイスするところは、それでも移住政策や観光の盛り上げなんかがあったりして、若いスタッフがいたりするのだが、佐渡島ではあまり見かけなかったなぁと。どこかしこも高齢化。
しかも1990年代までは観光で賑わっていた場所というのもあり、老朽化・放置されたホテルや家が悪目立ちしているし、再開発するにもどこから手をつけるんだろう・・と素人ながら心配になるくらいだった。
例えば同じ『島』というくくりで見た時。
長崎の軍艦島。厳しすぎるほど規制がきっちりしているので、必要以上に入ってはいけないし、もちろんゴミもなかった記憶。
中四国のしまなみ街道。街全体として観光を盛り上げようとしているのが伝わってきたのと若い人が多くて活気を感じた街。活気の分かる写真は出てこなかったけどさ。
他の離島なんかを思い出したりしながら、佐渡島に思いを馳せてみるのも良いってことで。
⑤一度は行きたいあの場所or何度でも行きたいリピートの場か
世界文化遺産と観光を結び付けて考えること自体がナンセンスなのかもしれないが、メディアで見かけた祝賀ムードと、街で感じた寂しい・拒絶感は、日本の他地域でも同じような形になるんだろうなと容易に想像可能。
長崎の軍艦島、群馬の富岡製糸場、そして佐渡の金山。
どれも世界文化遺産に登録されてる共通項とともに、観光観点で考えると一筋縄でいかない課題を抱えてる共通項も見えつつ。
しまなみ街道に行った時は、またリピートしたい、何度も違う楽しみ方をしたいと胸を躍らせた。
軍艦島に行った時は、最初で最後、一度は来てみたい場所に足を運べて大満足となった。
佐渡金山は軍艦島と同じ。きっと二度目はないけれど、これて良かった場所となった。
佐渡島、どんな変化していくんだろうな。
さて、次はどこに行こうかしら。