映画感想文『最強のふたり』
少し前になりますが、オットが職場の同僚にオススメされた映画で一緒に観ました。その感想になります。
事故で全身麻痺となり、車イス生活を余儀なくされた大富豪フィリップと、貧困層の黒人介護士ドリスとの友情を描いた、実話をもとにした映画です。
ドリスは、フィリップの介護士募集の面接に行きますが、雇ってもらう気はゼロ。就活してますよっていう証拠の書類にサインが欲しいだけ。
しかし、フィリップはそんなドリスを気に入ったのか、他に面接に訪れた介護士の資格を持った人ではなく、ドリスを介護士として雇うことにします。『大富豪の紳士』と『貧困層の粗野なヤンキー』の、まるで正反対の2人の掛け合いが見ものです。
わたしが印象に残っているシーンは2つあります。
ひとつは、【ドリスがフィリップにドリンクを渡す】という何気ないシーン。
ドリスはフィリップを健常者と同じように扱っていて、カップを「はい、どうぞ」とでもいうように手渡そうとします。しかしフィリップは麻痺で手を動かせません。ドリスは、なかなかカップを受け取らないフィリップに、ハッときづいて、「あ、わりぃわりぃ」って感じで飲み物を飲ませてあげるのです。
フィリップは、そんなふうに自分を【普通の人】と変わらず接するドリスを好ましく思っているというのが見えてくるシーンで。
普通ならどうしても、障害を持つ人に対しては腫れ物を扱うような特別扱いしてしまうところですが、「普通と変わらない」態度のドリスには、粗野なんだけど、好感が持てます。
もうひとつは、助手席にフィリップを乗せて夜のドライブをするシーン。
めちゃくちゃスピードを出して運転するドリス。警察がスピード違反で追いかけてきた時、スピード違反で逮捕か?と思われたが、フィリップが機転を効かせて危篤状態のフリをします。ドリスは今は緊急事態で早く病院へ連れて行かなきゃコイツ死んじまうぞと警察を言いくるめて難を逃れます。このシーンで、『本当に、この二人、最強だ!』っていう見事なコンビネーションでした。自分の全身麻痺を逆手にとって都合のいいようにつかっちゃうフィリップがおちゃめというか、なんというか、印象深いシーンでした。
こちら、フランス製作の映画ですが、ハリウッドではAmazon製作『THE UPSIDE』というタイトルでリメイクされています。
淡々と日常を描いたような作品なので大きな盛り上がりには欠けますが、フィリップとドリスの友情を築いていく様、そして、ふたりの絆がとても素敵で、心あたたまる映画でした。