35mmの使い方/#278
単焦点レンズを選ぶ時の悩み。標準域として35mmなのか50mmなのか。自分にとってどちらが合うのかということ。僕自身は50mmが見ている世界にマッチしている。その感覚で扱う35mmは想像以上に広く感じる。普段の感覚でファインダーを覗くと、色んな情報が溢れている。だからこそ不要なものを減らす働きかけが必要になる。
そんな35mmだが、使っているうちに魅力が何となく分かってきた。自分の中で噛み砕いたものと他の人の見解も踏まえて改めて考えたい。
そんな思いから先日、自身のInstagramで投稿している「Photo Recipe」で35mmの特集を組んだ。SNSで活躍する3名のフォトグラファーに協力いただき実現した。
これらをもとに35mmについてまとめると大きく2つ。
まずは標準でありながらも50mmよりも広く歪みが最小限であること。広角になるほどに周辺の歪みは強くなりパース効果が生まれる。その効果が少し使えるためクセが少ない割に、パースと歪みを活かした撮影で表現の幅が広がる。
次に距離感が挙げられる。広く写るレンズほど画面整理のために近づく必要がある。35mmの距離感は想像以上に心地よいもの。特に人物撮影に場合は、近すぎず遠すぎない距離感で撮影可能だ。いつもの距離感を保ちながらコミュニケーションできるため、撮影もスムーズに自然なカットを狙える。特に身近な人を写すのに最適だと考えている。
室内での撮影は特に重宝する。カフェなど席に座って動けない時でも思いの外、料理や目の前に座る人を難なく撮れる。
35mmは標準域でありながらも、いつもの距離感で撮影できて、少し引くだけで広角レンズのように広い世界を写し込める。まさに万能なレンズとも言えよう。ただし、自身の目が50mmなのか35mmなのかは人それぞれ違う。まずは自分の視界が何ミリなのか、撮りたいものについて考えてから吟味したい。