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ASD妻 見てないのに見える。間違い探しが止まらない日常


見てないのに見てる

先日、自宅で僕が仕事の書類を作成していたときのことです。

テーブルの向かい側には妻が座り、スマホを片手にお茶を飲んでいました。

妻は特に僕の作業に関心を示している様子もなく、のんびり過ごしているように見えました。

ところが、突然妻が、「そこ、字が間違ってるかも」と言いました。書類を確認してみると、確かに書き間違えている箇所があります。

「え?いつの間に読んでたの?」
と僕がきくと、
「んー、別に読んでたわけじゃないんだけど、目に入ってたみたい」
と妻は答えます。

面で文字を見る能力

妻はテーブルの反対側にいて、視線はスマホに向いていたのに、僕の手元にある書類の間違いに気づいたわけです。

なぜそんなことができたのか?
妻によると、妻は文字を一字一字読んでいるのではなく、視界に入った全体を「面」として認識しているから、だそうです。
そのため、パターンから外れた部分が自然と浮かび上がって見えるのだそうです。

これはASD特性による「パターン認識能力」の高さに関係するかもしれません。

文字の意味を理解する前に、「本来あるべき形」と異なる部分が視覚的な違和感として脳に引っかかるのです。

妻は視界に入った文字を「意味」としてではなく、「形」や「配置」として、ビジュアル的に捉えているのです。
そして、そのビジュアルモードが常に、自動的に発動しています。

無限の「間違い探しゲーム」な日常

妻のこの能力はとても便利そうですが、無意識のうちに、「間違い探しゲーム」をやり続けているような状態ともいえます。

そして、目を閉じないと機能をOFFにすることができない、という大きなデメリットがあります。

日常生活でもカフェのメニューや街中の看板の誤植など、他の人なら気にしないような、細かい点が目につきます。
そのたびに気になってしまい、とても疲れるのです。

妻と生活していると、僕とは「情報の捉え方」が異なる世界があることに気づかされます。

今回もそんな違いに助けられ、書き間違いの書類を提出せずに済みました。


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