【箸休め回】新規事業立ち上げ物語#第2話・初受注&社内奮闘編【全3回】
こんにちは、まじこじまです。
この箸休め回、週1といいつつ全3回だから週3になっちゃいますね。
その理由は箸休めと言いつつも気合入れて書いたらちゃんとした内容と分量になってしまったからです。
自分の3年間の努力を圧縮したら3回分になったということで、ご容赦ください。ちゃんとビジネスヒントもありますので…
前回記事では、新しくコンサルティングサービスのパッケージを作ろうと「ないない尽くしだ」ったところからスタートし
「とりあえず提案に行ってみる」という行動を起こし
行動を起こしたことで「味方が現れ始めて」形ができた
という所までをお伝えしました。
👇昨日の記事(第一回)はこちら
この第二回は、初受注を取るまでの苦悩です。
新規事業の苦悩(最初の受注まで)
新規事業を立ち上げて、一番苦労するのはここまでだと思います。
個人事業主の方でも副業でも何でも、最初に1円稼ぐまでってしんどいじゃないですか。でも反対に最初の1円が稼げると、それが死ぬほど嬉しい。
自分のビジネスが世の中に受け入れて貰えるんだって感じる瞬間ですね。
ただ、1円も稼げていないうちは「自分がやっていることは本当に世の中に価値があるものなのか?かけてきた労力も時間もお金も無駄じゃないか?」という疑問が常に頭の中に湧いてきて、いつ挫けてもおかしくない状態。
さらに、会社の中でそれをやっていると「給料泥棒で終わるのではないか」というプレッシャーも常に存在する。これは、周囲の人間や上司、経営層も新規事業には自分事として見守らないとできないことですね。
短期的な成果を上げさせることを至上とするパワーマネジメント型の上司のもと新規事業開発をするというのは正直考えたくないストレスがありそう。
自分は幸いに違いましたが…
与沢翼さんが「何かを始める時、飛行機も離陸させるまでにめちゃくちゃなエネルギーがいるように、最初に飛ばすまでは鬼のような集中力がいる。安定飛行させるまでが大変だが、一度そこまでたどり着けば飛ばし続けることは難しくない」というようなことを仰っていたのですが、これは新規事業の立ち上げをしてみて本当に感じたことです。
幸運だったのは、私の取り組みについて会社が待ってくれたことでしょう。他の割り当てられた仕事もこなしていたのでゼロ貢献というわけではありませんが、サービスの結果が出始めるまでの期間は半年ほど。結構気長に待ってくれたように感じます。
大企業で資本がある故のことだし、無形商材だから私の人件費以外のロスはない、といえどもベンチャー企業だったら3カ月で数字が出せなかったら「終了」の判断が出されていたかもしれません。
サービスの名称が決定し、プレスリリースを出してから初受注までは約3カ月でしたが、事前の動きから合わせると8カ月くらいのタイミングでした。
(最初の提案が3月→初受注が11月末)
その間も社内では噂が独り歩きして「なんか凄い最先端のツールを使ったコンサルティングをやってるらしい」みたいな誤った認識のもとにうちの業務現場でもやってほしい、という「社内需要」は絶えなかったのですが、いざ新しいモノを取引先に提案する時のやり方を営業に周知することが大きな課題で、なかなか本当に潜在的なニーズのある取引先に巡り合えませんでした。
初受注までにやった事一覧
社内説明会(3カ月の間に10回ほど)
社内説明会資料作成
営業(他部門含む)同行(数えきれない)
チラシ作成(デザインも自分でやる)
営業資料のブラッシュアップ
営業トークスクリプト作成
フリーダイヤル問合せからの導線設計
Q&A集の作成
納品サンプルの作成
業界・業種別の事例創出
商談(クロージング迄)
見積フォーマット作成
価格設計と無償実施のガイドライン制定
<受注決定後>
契約書草案の作成(法務へリーガルチェック依頼)
これらはだいたい、全部1人でやっています。
まだ受注もしていない事業に人的リソースは割けないからです。
さすがに、説明会の周知や商標登録等のサポートは受けましたが、
何か成果物を作るための行動というのは全部自分でやっています。
ただ、苦労はありますが決して嫌々というわけでもありません。
考えながら自分で対応していくことで、
「爆発的に自分のできることが増えていく」
自己成長の実感があったからです。
もちろん、モチベーションを折られることは多々ありまして…
実際に遭遇したストレス
「せっかく興味を示してくれたお客様との商談で、他部門の営業が自己都合から勝手に破談にしようとした」
とか
「私の動きに積極的に関わっているフリだけして、実際には全く手伝わずに自分の点数稼ぎに利用しようとしてるだけのオッサン」
とか
「アポイントだけ取得して、後は丸投げ他力本願営業マン」
みたいなノイズが入ることも多々ありました。
「全てが自分の思い通り動くわけではない」と自分に言い聞かせて、何をされても仏のように正していく対応を取っていましたが、内心何度ブチ切れていたことか。表面にはもちろん出さないのですけれど。
一番「ああ大企業病って本当に怖いな」と感じたのは
リリースしたばかりの新サービスだというのに平気で電話してきて
「今度●●業界のお客様に提案持っていこうと思ってるんスけど、似たような会社さんでやった時の成功事例の資料ってありますか?」
とか言ってくる営業ですね。
うん、だから新サービスだって言ってるでしょ。成功事例なんかないの。
っていうかな
「成功事例はお前が自身の手で持ってきてくれよ」
と心の中で炎を燃やしながら
「わかりましたー、同じような部門でやったら例えばどういう改善効果が期待できるか、みたいなスライドを作ってみますねー」
と優しく対応してあげる。
これは本当に泣きたくなりました。私自身、このサービスは自分も営業企画兼営業として通常の営業もやりながら進めているわけで、立場的にはまだ他の営業マンと同じなんです。
コンサル営業のやり方
それが深耕営業に必要な営業マインドだと思うのですが、どうにも丸投げ感が強い。実際、サービスを提供するようになってからも、営業が一緒にこのサービスに積極的に関わってくれないと、フロント対応者が私にすり替わったかのように、私の方にお客様が何でも相談してくるようになる、という現象がよく起こります。
主体性のある営業マンは、初期商談時も、納品する時の改善提案のプレゼン時も積極的に参画して「ここは●●さんからぜひ提案してくださいね」と私が言うと「いいんすか、いいとこ貰っちゃって」と言いつつも率先してプレゼンします。
主体性のない営業マンは、最終提案資料の事前レビューに参加しない事すらあります。当然、プレゼンでも一言も発さず、自然とお客様の関心は私の方に向いてしまいます。これは長期的に見てLose-Loseな関係です。私が営業担当につくことはできないから、信頼を自社の営業マンから奪い取ってしまうと後が続かないんですよね。
何より「自分が成功事例を作ってやる」という気概がない人と組んで仕事をするのは、負担が大きくて疲弊します。
ただ、新規サービスを浸透させていくには、まず社内に味方を増やしていかないと「営業マンは嫌いなものを提案してくれない」ことも現実としてあるということを自身の営業経験から知っているので、片っ端から対応してあげるしかありませんでした。
なので目を瞑っていたことも沢山あります。
私の生み出した業務の可視化コンサルティングサービス「MIERU」は、性質上「プッシュ型」よりも「プル型」のマーケティング戦略を取るべきであると自分は感じていました。
Push or Pull ?
プッシュ型マーケティング
企業が自ら顧客にアプローチして商品やサービスを売り込む手法。
テレビ広告(テレフォンショッピング)や飛び込み営業など。
プル型マーケティング
顧客が自発的に商品やサービスに興味を持ち、企業の提供する情報を引き寄せる形でアプローチする。
Web施策やセミナー等で関心を持たせ、企業側から「お問合せ」が来るような導線設計をする。
言うまでもなく、いきなり「御社にコンサルティングさせてください!」と飛び込み営業をかけても返り討ちに会うのがオチです。
「大きなお世話だよ、あんた誰?」ってなりますよね?
「この人に相談したい」とお客様に思って頂かなければ、コンサルティングは売れません。その為には実績であったり、有用な情報であったりを発信し自分が抱えている課題を解決してくれそうだと考えなければ、そもそも人は悩みを相手に相談しません。企業なら尚更です。競合がいますから。
しかし、胃が痛いことに当時社の営業マンたちは「行ってきます!」と言ってチラシをばらまき、「業務の見える化やりませんか?」と聞いて回りました。それもそのはず、もともとプッシュ型でしか営業をしたことが無い人がいきなり顧客の悩みのヒアリングにじっくり時間をかけて、深耕型の営業をやり始められるわけがないのです。彼らは営業として仕事ができないわけではありません。ただ、コンサルティング営業は経験が無かった。
かつ、私自身は営業部長でも何でもないので、営業のやり方や営業教育にまでは口は出せません。歯がゆい思いをしながら
「お客さんに聞いてみたんですけど、イマイチな反応でしたね~」
等とフィードバックをくれる営業の話を聞いて「そりゃそうだ」と思いながら、粛々と「顧客の悩み傾聴マニュアル」みたいなトークスクリプトを作り始めるのでした。。。
初受注
そんな感じで、「商品を作る」という悩みから「商品を売る」ための悩みへシフトし、資料作成→商談→FAQ反映→資料改訂→商談の打ち込みを続けて3か月。ついに有償でのコンサルティング受注に至ります。
この時のお客様には、今でも深く感謝しています。
つづく
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