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人から見えないところで気を抜く自分に呆れた話。

「最後に使ったの誰?」
こう問われて、ハッとした。

「私かもしれません……」
心あたりがある。

ほとんど人の入らない奥まった作業室。
基本的に使う人が滅多にいないから、後片付けを完全に油断した。

私は、どちらかというと神経質で人がいるところはきちんとやらなきゃ、と思うタイプだ。
見た目や振る舞いからも、きちんとしていると思われがちだ。

でも、人が見ていないところは油断する。
引き出しの中とか、個人スペースをぐちゃぐちゃにするタイプだ。
今回も、こういう悪いところが出た。

普段は、「きちんとしている人」という仮面をかぶっているから、自分でもきちんとしていると思い込む。
その結果、周りの人に対してもきちんとしているを求めてしまう。
気難しく、不寛容になっていく。

でも、今回の一件で、ハッとした。
全然きちんとしてないじゃん、私。
自分のことを棚に上げてなんで人にきちんとしているを求めるんだろう。

そんな時、SNSでこんな言葉を見かけた。
「日本の親は、子どもに人に迷惑をかけないようにしなさい、と教えるが、
インドの親はお前も人に迷惑をかけて生きているんだから、人を許しなさい、と教える」

なんだか、目から鱗が落ちた。
人に迷惑をかけないように気を遣ってきた。
迷惑をかけないように頑張れば頑張るほど、自然に迷惑をかける人を許せなくなった。
でも完璧ではないから、人に迷惑をかけた。
その結果、アンバランスな正義感と不満に満ちた心、人に不寛容な自分が出来上がった。

今ようやく気づいた、人生の歪み。
これからはインドの親の教えに従ってみようと思う。
生まれ育ち、親から言われたことは、自分に染み付いているけど、今からの人生は自分で変えられる。
だからこれからは、自分の心の有り様を自分で決めていこう。

そう心を決めた、初秋の夜でした

《おわり》



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