満月と魔法の銀の靴 【小説】

小学5年の時、僕は、学校の帰りに堤防の上の道を歩いてると
「ニィー!ニィー!」と言う小さな声が聞こえた気がして辺りを見渡してみました。葦の茂みから聞こえるみたいです。そ~っと覗いてみました。
するとスーパの白いビニール袋が、カサカサもそもそ!?
小さい茶トラの子猫が入ってました。
僕は、袋ごとそっと抱き上げて言いました。
「僕が守ってあげるからね。一緒にお家に帰ろうね。」に帰って、段ボール箱に僕の小さい時の毛布を敷いて、子猫を入れると、毛布が気持ちいいのか暫くフミフミして毛布にもぐって寝てしまいました。

一時間ぐらいして、パートから帰って来たお母さんに子猫の事を話すと、近所の動物病院に電話してくれて連れて行くことになりました。
獣医さんは笑顔で、「元気だね生まれて一か月くらいだね、離乳食の見本だしとくね。様子見てあげてみてね。」と言ってくれました。その日から、僕は、チャチャのお兄ちゃんになった(っと思う)
学校に行くときは玄関までお見送りしてくれるし、帰ってきた時も玄関開けたとたんに足にくっついてきてお出迎え、寝る時も僕の胸の上にちょこんと乗ったまま寝てる。勉強してる時も机の端に座ってノートを覗いてる。

2年たって、チャチャは成長してスマートなきれいな猫になった。
僕は中学1年生になっていた。ある日、仕事でヨーロッパで住んでる、おばさんが(お母さんの妹)一時期帰国の次いで家に遊びにきた。
「お土産よ、パワーアイテムだって、月の光を当てると良いらしいわ。」
と、叔母さんは言って、銀細工の置物をくれた、それは、ヨーロッパのおとぎ話のお姫様が履くような感じの植物の模様が美しい靴の形をしていた。

僕は、月が良く見える南の出窓の真ん中に銀の靴を置いた。
この場所は、チャチャのお気に入りの場所だから、早速なんだこれって顔して匂い嗅いだりツンツン触ってみたりしにきた。別に怖い物でも嫌な物でもないと思ったのか、隣でだらんと寝てしまった。
その頃から、夜いつも僕のベットで一緒に寝てたチャチャが夜ベットに来なくなった。僕もチャチャも成長したから一緒に寝るのが窮屈になったのかと思ったのだけど、朝目が覚めると隣で寝てたりするから大人になって寝る時間が減ったのかもしれない。

数日後の真夜中、出窓から差し込んだ、やけに明るい月あかりに目が覚めた、なんとなく違和感を感じて窓の方を見ると、銀の靴の置物が無い!?
チャチャが、床に落としてしまったのかと窓のそばまで行って見たが、床には落ちていない、今夜は満月なんだね窓からさす青白い月明かりに誘われ空を見上げると、雲一つない夜空にキレイな満月が見えた。そのすぐ下に何かひらひらと動く・・・・女の子!!??黄金色のドレスをまとった僕と同じ年頃のお姫様が踊っている?屋根の上で?
僕は驚いて声も出せず、お姫様がフワフワと踊るのを眺めていた。どこか見覚えがあるようで懐かしいような気がするけど誰だか思い出せないと思っていたら、唐突にと目が合ってしまった。
お姫様も驚いたのか、近くの駅の前の広場の時計台の仕掛け時計が、真夜中を告げはじめたらか分からないけど鐘の音が響く中、飛ぶように逃げるように駆けて行ったと思ったら。鐘がなり終わったその瞬間、可愛らしい猫にと姿を変え走り去っていった。屋根の上には月の光に照らされ銀色に輝く銀の靴が見えたような気がした。

朝、何時もの様に目が覚めた僕のすぐそばで気持ちよさそうに無防備にお腹を見せて寝てるチャチャがいた、いつの間に寝たのだろうか覚えていなかった、それとも昨夜夢を見たのだろうかと、ぼんやりする頭で、出窓のそばを見たけど、銀の靴の置物はいつも通りそこに飾ってあった。

#眠れない夜
#猫のいるしあわせ
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