新古今（42）あるじをば　誰ともわかず　春はただ

垣根の梅をよみ侍りける
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　藤原敦家朝臣

あるじをば　誰ともわかず　春はただ　垣根の梅を　たづねてぞ見る
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（巻第一春四十二）

その家の主人が誰であるとか、春は区別も差別も、いたしません。
ただ、垣根に咲く、梅の花を尋ねては、見て楽しむのです。

※藤原敦家
　平安時代中期から後期にかけての貴族、雅楽家。
※参考
　遥見人家花便入　不論貴賤与親疎
　遥か先に、人家を見かけて、花があれば、入って見る。
　その時は、貴賤も、親疎も、論ずることはない。　　　白居易（白楽天）

　至無定家　尋花而不問主　　「新選朗詠集　紀斉名」
　至ること定める家はない、花を尋ねるけれど、主人を問うことはない