舞夢

日々、読書と少しの物書き。 たまに旅行、奈良方面が多くなっています。 某小説投稿サイトにも、投稿しています。 ジャンルは様々。

舞夢

日々、読書と少しの物書き。 たまに旅行、奈良方面が多くなっています。 某小説投稿サイトにも、投稿しています。 ジャンルは様々。

マガジン

  • 枕草子 舞夢訳

    清少納言先生を講師として迎え、舞夢は枕草子の講義を受けることにいたしました。

  • 土佐日記 舞夢訳

    紀貫之の帰京の旅を綴ったもの。 現代の便利さは、まるでない。 船旅の苛酷さ、都への思い、任地で娘を失った哀しさが、綴られる。 今から千三百年前の日本の姿に、なります。

  • 時々、気がついたこと

  • 世界人権宣言

    世界人権宣言の再確認。

  • 西欧暗黒史

    異端審問、魔女狩りについて研究中です。 残酷な記述が多くなります。 美しき中世ヨーロッパのロマンは、吹き飛びます。

最近の記事

  • 固定された記事

近江八幡

    • 枕草子 第98話虫は(3)

      清少納言先生:続きをお願いします。 舞夢    :了解しました・ 夏虫は、本当に魅力があって可愛い虫です。灯りを引き寄せて物語などを読んでいる時に、書物の上で飛び回る姿など、可愛らしくて心がひかれます。 蟻については、どうしても好きになれないけれど、まず身が軽いこと、水の上を、どんどん歩いて、あちこちにいるのが、興味深いかな。 清少納言先生:はい、お疲れ様。 舞夢    :夏虫は、読書の友なんですね。 清少納言先生:そうですね、ジャマにはならないですし。 舞夢    :蟻

      • 土佐日記 第55話 二月一日、①

        (行程)佐野浦 (原文) 二月一日、朝(あした)の間雨降る。 午の刻ばかりに止みぬれば、和泉の灘といふ所より出でて漕ぎ行く。 海の上、昨日のごとくに、風波見えず。 黒崎の松原を経て行く。 ところの名は黒く、松の色は青く、磯の波は雪のごとくに、貝のいろは蘇枋にて五色に、いま一色ひと色ぞ足らぬ。 ※黒崎の松原  多奈川の北東、大阪府泉南郡岬町淡輪。大阪湾に面した絶景の地。 ※五色  青、黄、赤、白、黒 (舞夢訳) 二月一日になりました。 朝の間は、雨が降っておりましたが、お

        • 枕草子 第97話虫は(2)

          清少納言先生:続きをお願いします。 舞夢    :了解しました。 額ずき虫、この虫も心に感じるものがある。小さな虫なのだけれど、どんな理由があって仏道に帰依したのだろうか、あちこちに額ずきながらあるいているのでしょう。その鳴き声を聞くと、心をひかれます。 蝿くらい憎まれる数の中に入れて当たり前で、可愛げのないものはない。 人間のように相手にしなければならないほどの大きさではないけれど、秋などになると、もう、どこにでもとまり、その濡れた足で人の顔にまでとまっているなど、本当に

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        近江八幡

        マガジン

        • 枕草子 舞夢訳
          91本
        • 土佐日記 舞夢訳
          51本
        • 時々、気がついたこと
          129本
        • 世界人権宣言
          7本
        • 西欧暗黒史
          22本
        • 好きな音楽
          29本

        記事

          土佐日記 第54話三十日、

          (行程)鳴門海峡を通過 (原文) 三十日、雨風吹かず。 「海賊は夜歩(あり)きせざなり」と聞きて、夜中ばかりに船を出して阿波の水門(みと)を渡る。夜中なれば西東見えず、男女からく神仏を祈りてこの水門(みと)を渡りぬ。 寅卯の時ばかりに、沼島(ぬしま)といふ所を過ぎて多奈(たな)川といふ所を渡る。 からく急ぎて和泉の灘といふ所に至りぬ。 今日<海に波に似たるものなし。 神仏の惠かうぶれるに似たり。 今日、船に乘りし日より数ふれば三十日あまり九日になりにけり。 今は和泉の国に來

          土佐日記 第54話三十日、

          枕草子 第96話虫は(1)

          清少納言先生:今日から虫の話に入ります。 舞夢    :それではよろしくお願いします。訳して見ます。 虫は鈴虫、ひぐらし、蝶、松虫、きりぎりす、機織虫、われから、かげろう、蛍。 蓑虫は、本当に考えさせてくれる。 鬼が生んだ子供なので、その子の蓑虫も恐ろしかろうという性質を持ち、親も粗末な着物を着せ、「もう少ししたら秋風が吹く。その時には必ず帰って来るから、待っていなさい」と言い残し、結局は親が逃げてしまう。 蓑虫は親が逃げていってしまったとは知らず、風の音から秋の訪れを知り

          枕草子 第96話虫は(1)

          土佐日記 第53話 二十九日、③

          (行程)土佐の泊へ (原文) おもしろき所に船を寄せて、「ここやいづこ」と問ひければ、「土佐の泊(とまり)」とぞいひけり。昔、土佐といひける所に住みける女、この船にまじれりけり。 そがいひけらく、「昔しばしありし所の名たぐひにぞあなる。あはれ」といひて詠める歌、 「年ごろを 住みし所の 名にし負へば 来よる波をも あはれとぞ見る」 とぞいへる。 ※土佐の泊(とまり)  鳴門市鳴門町土佐泊浦。鳴門市の東北部、大毛島の東半分を占める。 (舞夢訳) 風光明媚な所に、船を寄せま

          土佐日記 第53話 二十九日、③

          枕草子 第91話鳥は(2)

          清少納言先生:続きをお願いします。 舞夢    :了解しました。 鶴は嘴も脚も長く、大げさな姿をしているけれど、その鳴き声が大空高く響く時など、本当に素晴らしく感じます。 頭の赤い雀、斑鳩の雄鳥、匠鳥、鷺は本当に見栄えが良くない。 目つきの雰囲気も悪く、全てを見たいとは思わないけれど、「ゆるぎの森にひとりは寝じ」ということで、雄同士が雌を求めて争い、夜中に騒いでいるのは、興味深いものがあります。 水に遊ぶ鳥としては、鴛鴦《おしどり》が本当に心を打ちます。 雌雄が互いに羽につ

          枕草子 第91話鳥は(2)

          土佐日記 第52話 二十九日、②

          (行程)土佐の泊に向かう (原文) ある女の書きて出せる歌、 「おぼつかな 今日は子の日か 海女ならば 海松をだに 引かましものを」 とぞいへる。 海にて子の日の歌にてはいかがあらむ。 また、ある人の詠める歌、 「今日なれど 若菜も摘まず 春日野の わが漕ぎわたる 浦になければ」 かくいひつつ漕ぎ行く。 (舞夢訳) ある女の人が、色紙に歌を書いて、皆に見せました。 本当にそうなのですか?今日が子の日ということならば、私が海女でしたら、海に潜って、せめて(小松の代わりに)

          土佐日記 第52話 二十九日、②

          枕草子 第95話あてなるもの

          清少納言先生:今日は気品がたかいものの話です。 舞夢    :はい、それでは訳して見ます。 気品が高いもの。 薄紫色の衣に白襲の汗袗を着ている時の配色。 鴨の卵。 削り氷に甘葛をかけ、新品の金物の椀に入れた時の雰囲気。 水晶の数珠。 藤の花。 梅の花に雪が降り積もっている時の様子。 本当に可愛らしい幼子が苺を食べている姿。 清少納言先生:はい、お疲れ様。 舞夢    :そのままでわかります。 清少納言先生:しっとり系とキラキラ系かなあ、雰囲気としては。 舞夢    :まさ

          枕草子 第95話あてなるもの

          土佐日記 第51話 二十九日、①

          (行程)蒲生田御崎(あるいは鹿の首御崎)から土佐の港へ (原文) 二十九日、船出して行く。 うらうらと照りて漕ぎ行く。 爪のいと長くなりにたるを見て、日を数ふれば、今日は子の日なりければ切らず。 正月なれば、京の子の日の事いひ出でて、「小松もがな」といへど、海中なれば難しかし。 ※今日は子の日なりければ切らず。  この文における子の日は、単に十二支の最初の日としての「子の日」。  正月の「後の子の日」になる。  当時は、爪を切るにあたっても、吉凶を定めていた。  爪は丑の

          土佐日記 第51話 二十九日、①

          枕草子 第94話 鳥は(5)

          清少納言先生:続きをお願いします。 舞夢    :了解しました。。 郭公は、今さらだけれど、言いようがないほど素敵です。 いつの間にか得意顔で鳴いているのに、卯の花や花橘などの葉陰に宿り、時折は姿を見せ、またすぐに隠れてしまうのは、小憎らしいほどの習性です。 五月雨が降る短い夜などに、一寝入りしてから起きて、どうしても他の人より早く、郭公の初鳴きを聞こうとして、待っていると夜更けになり聞こえてきます。 こちらの思いを察しているような気配りで、また可愛らしい声で、夢中になって

          枕草子 第94話 鳥は(5)

          土佐日記 第50話 二十七日~二十八日

          (滞在地)橘湾 (原文) 二十七日、風吹き、波荒ければ船出ださず。 これかれ、かしこく嘆く。 男たちの心慰めに、漢詩(からうた)に「日を望めば都遠し」などいふなる事のさまを聞きて、ある女の詠める歌、 「日をだにも 天雲近く見るものを 都へと思ふ 道の遥けさ」 また、ある人の詠める。 「吹く風の 絶えぬ限りし 立ち来れば 波路はいとど 遥けかりけり」。 日一日風止まず。 爪はじきして寝ぬ。 二十八日、よもすがら雨止まず。今朝も。 ※日を望めば都遠し  「李太白詩集」巻15

          土佐日記 第50話 二十七日~二十八日

          枕草子 第93話鳥は(4)

          清少納言先生:続きをお願いします。 舞夢    :了解しました。 鶯が夜には鳴かないということについては、眠くて仕方がないと思うしか、仕方がないのではと思います。 夏から晩秋の頃までは、年寄りのような声で鳴き、「虫食い」などと、庶民が名前を変えて呼んでいるのは、残念で気分が悪い。 でも、それも、雀のように、一年中いる鳥なら、それほど残念でも気にもならないのでしょうけれど。 ただ、それも鶯が春に鳴く鳥と思っているからでしょうね。 「年立ち帰る」などと、心を魅了されることとして

          枕草子 第93話鳥は(4)

          土佐日記 第49話 二十六日、②

          (行程)日和佐から蒲生田御崎(あるいは鹿の首御崎) (原文) この間(あひだ)に、風のよければ、楫取いたく誇りて、船に帆上げなど喜ぶ。 その音を聞きて、童(わらわ)はも女もいつしかとし思へばにやあらむ、いたく喜ぶ。 このなかに淡路専女といふ人の詠める歌、 「追風の 吹きぬる時は ゆく船の 帆手(ほて)うちてこそ うれしかりけれ」 とぞ。ていけのことにつけて祈る。 ※淡路専女 「専女」は老女。淡路出身の老女。 (舞夢訳) (少女の願いが海神に聞き入れられたのか)風の向きが

          土佐日記 第49話 二十六日、②

          枕草子 第92話 鳥は(3)

          清少納言先生:続きをお願いします。 舞夢    :了解しました。 鶯は、漢詩や漢文の中にも、素晴らしい鳥として出て来ます。 その鳴き声といい、その容姿といい、あれほど気品が高く可愛らしいのに、御所では鳴かないことは、欠点だと思いますし、気になるのです。 他の人が、「鶯は御所では鳴かない」と言っていたことを聞いて、「まさか、そんなことはないでしょう」と思って、私も御所では10年ほどお勤めして気にかけていたけれど、本当に鳴かないのは、聞いたとおりでした。 しかし、御所にも竹も近

          枕草子 第92話 鳥は(3)