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新古今(7)岩間とぢ 氷は今朝は とけそめて

題知らず
                      西行法師

岩間とぢ 氷は今朝は とけそめて 苔のした水 道求むらむ
                   (巻第一春歌上七)

岩と岩の間を閉じていた氷が、今朝、解け始めました。
苔の下で、(今までは動きをふさがれていた)水も、その流れる道筋を探し求めることでしょう。

※西行法师
 元永元年〈1118年〉- 建久元年2月16日〈1190年3月30日〉)。平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての日本の武士であり、僧侶、歌人。西行法師と呼ばれ、俗名は佐藤 義清。
和歌は約2,300首が伝わり、勅撰集では『詞花集』に初出(1首)。『千載集』に18首、『新古今集』に94首(入撰数第1位)をはじめとして二十一代集に計265首が入撰。
家集に『山家集』(六家集の一)、『山家心中集』(自撰)、『聞書集』等。

※今朝
 立春当日の朝。
 立春とともに、氷が解けるとの俗信があった。
※苔の下水
 苔に隠れるように岩肌を流れる水。
 西行以前には、この表現はなかった。
 この歌以降、和歌に用いられるようになった。

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