メイラード

おいしいものをたべたいパンダ

メイラード

おいしいものをたべたいパンダ

最近の記事

最初に座った席が好き 斎藤コーヒー店 内神田店

午後から豪雨予報のお昼少し前だった。 神田は喫茶店が多いのにどこもそれなりに人影が見えて、外で働いていることは天気など何も関係なく、毎日を繰り返している人たちの恩恵はきっと私も受けてる。有難い。 たまにしか来ない神田だからどこに入ろうかなと電車で考えながら来たけど決めきれず着いてしまった。とりあえずガード下の大好きな神田珈琲園に近づくルートで自分を安心させつつ、なんとなく、今日は新しいお店に入ってみようかな、といつものじゃなくて大丈夫な気がするな、と思いそのまま通り過ぎた。

    • 最初に座った席が好き 荏原カフェ

      荏原カフェ この率直な店名をつけられる勇気。町名+カフェの検索結果に埋もれてしまいそうなのにきっとそんなことは微塵も気にしない。 おいしい珈琲の看板、二階に上がる狭い階段をとんとん昇る初めての時はちょっとドキドキした。 ピカピカではない新しくない、でもとても清潔感のあるアプローチ、喫煙店の煙たさを感じる隙がない、きっと毎朝丁寧にお掃除をされているのだろうとしゃん、とする。 ドアから明かりが溢れていて、中は暖かいよ、どうぞ、と言われた気持ちで手すりを握り押す。 角砂糖とス

      • 最初に座った席が好き 珈琲屋グランドレ

        東京の東京、東京駅の八重洲口、気高いビルの合間。長く工事をしている隣のビルの重機の影にあって本来よりもっと光が届かず控えめにある入り口。 だから私は見つけた時の嬉しさと言ったら。 全席喫煙可です、大丈夫ですか。と丁寧に柔らかに聞いてくださる。 どちらかというと嫌煙なん、だけど。お昼前とはいえ向こうに続く空間からは全く匂いがしなくてピカピカのショーケースからも伝わる大丈夫。 子供のようにはぐれないように近めの距離感でついて行くと絶対に始めてなのに奥の席に座らせてくれてやっぱり

        • タスヤードにしか救えない

          数ヶ月に一回ぐらい、タスヤードに行きたくてたまらない蒸気みたいなものが発生することがある。頭上にスコールみたいにわきあがって熱量で支配してくる。 近所じゃなくて遠くもないタスヤード。 電車に乗っていく距離のタスヤード。 タスヤードってあたまでたくさん言い過ぎて、こぼれて実際に言ってしまう。たたたた 代々木から歩くより原宿のエネルギーをほほうと眺めながら東郷神社の裏を通っていくルートが好き、なので、一目散に向かうときはいつも原宿で降りる。 何に並んでいるのかなあ昔から私はこう

          最初に座った席が好き gion

          その日は滅多に行かない高円寺へ行く用事があったから、何年も行ってみたかった小さな喫茶店へ意気揚々と向かった。いい感じのはずの開店30分後にたどり着いて、小さいドアがまだ開いていない。明かりのついたカウンターのマダムと目が合い、ごめんなさいね今日は、まだ開けられないの。とばっさり。何時に開くかそんな質問は野暮だとすぐにわかるから、お礼を言ってどうしよーーープランBは何があるかしら。 駅前のプリンとフルーツサンドが人気の喫茶店はもう行列していそうで避けたい。今日は人気に紛れる自

          最初に座った席が好き gion

          最初に座った席が好き ajura(翹璹欏)

          一瞬迷って、傘を持ってマンションのエントランスまで出て、ちょうど小雨があがり際の雲が明るいように見えたので結局傘は置きに戻り、手をぶーらぶーらさせながら歩くことにした。今日はそっちがいい朝だった。傘はオーダーで作ってもらったとてもお気に入りのやつで、それは仲良しの人々に誕生日にねだったもので、6月生まれの喜びが凝縮されたみたいな傘なのだけどそれでも一か八かの賭けに出て置いていくある程度までは濡れてもいい派。 初めて行った日はまだ早朝モーニングをやっていたときで、最近ふと遊ん

          最初に座った席が好き ajura(翹璹欏)

          下北沢に不慣れなこと

          下北沢、地元が吉祥寺とか武蔵野地域だった人にはわかる、こなれ感。 下北のほうが大人で、拘ってて、知ってる人しか通れない道がたくさんありそうで、カレーもなんかよりスパイシーで難易度が高い。 吉祥寺でいいし。って思って、でもやっぱり格好いいからこっそり詳しくなりたくてもそもそ行っては迷い、ガイドブック上の「下北沢」しか見ることができず、小道には何もなく、気がつくと住宅街に流れ込んでしまい途方にくれてもう帰りたいのに毎回小田急線と井の頭線を間違えて泣きそうになる。 会社の先輩が下

          下北沢に不慣れなこと

          最初に座った席が好き COFFEECHROME

          全部の駅に降りたことがある路線って山手線ぐらいじゃないかな。いや山手線も危うい。 東京にずっと住んでいても降りたことのない駅の方が多い、実家のある路線なのに全く知らない世界があって旅行、小旅行がすぐそこに大量にある。 西武新宿線の各停しか止まらない駅、野方を降り、住所的には中野区なのでそれなりの都会感と武蔵野の雰囲気が混ざり合ったローカル駅はクローンみたいに似てるところがおおいなと思いながら商店街を目指さないで歩く。 初めて行った時も雨で、また雨だった。 雨のモーニングは

          最初に座った席が好き COFFEECHROME

          最初に座った席が好き アロマ珈琲

          八重洲地下のかなり端。 東京駅という場所柄、平日は7:00という早朝からもてなしてくれる(以前はもっと早くて6:30だった)。 スーツケースを引いた人がスマホを見ながら、給水所みたいに歩くルートを偏らせて吸い込まれていく。 わずかに数段下るだけでアロマの部屋が出現する。 おはよー朝ごはん食べ来たーって言いたくなる。 アロマはどうぞお好きな席へ、のスタイルだ。 はじめて入ったときも同じように声をかけられ、やったどうしよと素早く店内を見渡し、レジ横に潜んだ角席を見つけ歩み寄っ

          最初に座った席が好き アロマ珈琲

          最初に座った席が好き はまの屋パーラー有楽町店

          JR有楽町駅を出て、シクスバイオリエンタルは今日も賑わっていて、でもここももうすぐ閉店なんよねふかふかパンケーキあと何回食べられるかなとふらふら入ってしまいそうな気持ちもそうだな2%ぐらいはある。強存在。いやいやと右目で行列を眺めながら予定通りその先のビルに向かっている。 新有楽町ビルの地下1階。 きれいな昭和、と勝手に名付けている地下はどのテナントも主張は控えめで、ランチタイムも皆目的の店ヘすすすと入っていく。 ドラッグストアや飲食店が入り乱れた通路の隅にはまの屋パーラーは

          最初に座った席が好き はまの屋パーラー有楽町店

          日記2023.5.5

          ほうじ茶のラテを作り、かなり丁寧に泡立てて作り、それ飲み干してもまだ起きなかったので、寝室に入った。 薄暗い部屋で黒い頭がみえた。抱きついた。頭越しに、のんびり、旅。また旅。という本の背表紙が目に入った。旅旅。旅に出たいのか。 不安だった。イベントの朝はいつも不安だった。そんなつもりは無かったのに目の下に涙が溜まってきたのがわかった。零さないようにしたかった。零す、という字はなんと素敵な字なのだろうと思った。昨日した白髪染めのいい匂いが黒い頭からした。こんな幸せな日は人生に

          最初に座った席が好き 珈琲亭ルアン

          喫茶店、とくにモーニングが好き。 朝一番はまず座れる。入れないということはない。 今日はあの珈琲飲もうかな~という気持ちがふられることのない、本命だけに決めてる安心感。 だから朝に案内される席は、ちょっと特別感を得てしまう。 一人で入ってきた私をどこに案内するのか。 連れがいない、待ち合わせでもないとわかると、それではこの人はここですねと店員さんは静かに熟れた思考で私の席を決め、案内してくれる。 1秒もないだろう間に決定された(でも考えてないはずない)私に与えられた席は大抵

          最初に座った席が好き 珈琲亭ルアン

          日記2023.4.21

          鳥取から帰ってきて結構忙しい。2週間したら二子玉川の連休がはじまる。 子どもたちの歓声とはしゃぎまわる足音、親の品定めする視線、泣き声、怒る声、ものを作るときの音が聞こえないほど集中している眼。 その中にずっといる精神力が必要な連休。 鳥取で思ったことはもう私は必要ないということだった。子どもから連れてきてくれてありがとうと頭を下げられたとき、もうこれが言えるようになっていると思った。 その一言で満たされて心が満足した。 親としてなのか、人としてなのかわからない。 だだ私

          日記2023.4.11

          朝7時に家出てめちゃくちゃ乗り換え案内見ながら4本乗り継いで移動。 間違いなく辿り着いてほっとして、駅降りたら夏か?という陽気。開店前の喫茶店に並んで待つ。 常連だろうムッシュがするりと横をすり抜けて入店しつつ、ちらっと私を見て、入っていいんだよ~の顔をしてくれたので続いて入店をかます。 高校の同級生と朝ごはん。 ふかふかでやや焦げ気味に焼いて出されたトーストの上にたっぷりすぎるチーズの黄色、匂い、茶色い壁全部が素晴らしい。 二人きりで会うのははじめてかもしれないと今更思

          日記2023.4.9

          おばあちゃんちに行った。 もう誰も住んでいない家は取り壊されるのを待つだけかと思いきや、そんなにがらんとはしていなかった。まだ、人の気配はある家だった。 大きなテーブルや家具はほぼ残っていて、家を潰すときに一緒にぺしゃんこにしてくれるからそのままにしておくかも、と聞く。 そんなゴジラ襲来みたいなやり方があるのか。 半年後には更地になる家にみんなを集めてご飯を食べて写真を撮りたい、と言ったのは私だ。 急がないと、おばあちゃんが生きているうちに。と思った。 実際まだ自分で歩く、

          日記2023.2.9

          前に読んだ本は内容を忘れたいと思うほど面白いものはなかなか忘れられなくて、もういいかなと手にとって読み始めると知ってる…となることがあるけど、今手に取ったちいさなエッセイは全く新鮮でこれを読んだときの自分は自分じゃなかったんだなと、思った。忘れられてよかったことも、ある。