【読書の秋】私の偏愛、小川洋子さんの静かな小説#おすすめの本
小川洋子さんの名作、「博士の愛した数式」という作品はどの書店へ行っても並べてありますし、ほぼ毎年書店の夏フェアみたいなものでも、その中の一つとして、本屋さんの入り口に陳列されているのをよく見かけます。
こちらも本当に素敵な作品でしたが、この作品から小川洋子さんのファンになってしまった私は、小川洋子さんの本を数十冊も読み漁りました!
9月も始まり、読書の秋!ということで小川洋子さんの大好きな作品をノートに残していきます(*^^*)
「博士の愛した数式」以外にも、たくさんの隠れた名作が多いので、読んだことがない人は読んでみてほしいなあと思います。
よろしければ今年の秋にお読みください🍂
|①猫を抱いて像と泳ぐ
これはチェスのお話なのですが、はじめに裏表紙のあらすじをサッと読んで、「チェスは知らないからなあ」と後回しにして読むのが遅くなり、大変後悔した大好きな一冊です。
チェスの知識がなくても全然問題ありません。
この物語の中では、誰もが主人公のリトルアリョーヒンとチェスの海を旅できます。
チェスの盤を『海』と表現しているのですが、対局相手が良いときに「2人で自由にチェスの海を冒険できる」という表し方が、うっとりしてしまうほどにとても素敵でした。
リトルアリョーヒンは生まれつき、うまく笑えないのですが、こんなに綺麗なチェスをする少年にどうか心から笑わせてくれ…
と思う気持ちが抑えられませんでした。
チェスの知識は不要です!
とにかく小川洋子さんのこの華麗な描写に、溺れてほしいです!!
|②密やかな結晶
ナチスの強制収容所はご存知だと思いますが、
密やかな結晶は、そんなナチスの強制収容所での話に少し沿っている物語でもあるようです。
※あとがき参照してください☺︎
『夜と霧』という本をご存知でしょうか。
ナチスの強制収容所に収監された精神科医のヴィクトール・フランクルさんの本です。
私はこの『密やかな結晶』を読むだいぶ前に『夜と霧』を読んだことがあったので、すごく心に響いた一冊になりました。
『密やかな結晶』では、1日ずつ何か物がなくなっていく…という、小川洋子さんワールド炸裂の世界観。
朝起きると何かがなくなっている…
それが、香水だったりバラだったり、そして小説までも…。
そんな不思議でちょっと恐ろしい世界に、初っ端から私は、焦りながらも気になって仕方ない気持ちで読み進めました。
私的に心に響いたこの本の言葉は『記憶の中では誰でも自由』という部分です。
話が『夜と霧』に戻りますが、ナチスの強制収容所では、自分の愛するひと、当たり前にあった衣類や食べ物などが奪われてしまいます。
しかし、そんな心と骨と皮だけの状態で、愛する妻と心の中で会話をするシーンがありました、心で通ずる妻との会話は、どんなに頑張ろうともナチスには奪うことはできません。
そしてこの小説で言えば、秘密警察にも奪えない大切な結晶のような物があるのだということをがとても伝わってきます。
世界から物がなくなる恐怖、焦り、そして命の危機をも感じながらも、どこか静かで綺麗な描写に引き込まれました。
|③琥珀のまたたき
これは本当にすごかったな、という印象的な一冊でした。
ネタバレにならないようにおすすめするのが難しいのですが、裏表紙のあらすじには『魔犬の呪いから逃れるため』と書かれており、オカルト的なものなのかな?と思いながら読んだのですが、全く違いました。
母と3人の子どものお話です。
何がすごいかというと、物語の中では子どもの視点で進んでいきます。
その“子どもの視点から見るお母さん”と、“周りの人たちから見るその親子”が、描写は同じなのに、全く違うことになっているのです。
(↑私でも何を言っているのかわかりません)笑
これが本当にすごい、と思いました。
子どもから見るお母さんは優しくて、自分のために守ってくれている…
そんなふうに読者は読んでいきますが、最後にこんなふうな親子だったのか…と驚きます。
また、幼少期の大切な時期に与える、環境や親の大きな影響についても考えさせられる物語でした。
|私の偏愛作者、小川洋子さん
いろんな小川洋子さんの作品を読みましたが、どこか寂しさを感じるような作品が多く、どの本も描写がすごくすごく綺麗だと思います。
どうしてこんなふうに綺麗に描くことができるのだろう?と思ってしまうほどに、どんなに不気味なワードが出てきてもそれが気持ち悪くないので不思議です。
私は小川洋子さんの作品は“儚げ”というようなイメージを持っています。
元気で明るいものとは裏腹、どちらかというと暗い方に入るような感じなのに、恐怖にならず、静かなひっそりとした雰囲気にハマってしまう人は多いと思います。
よかったら読んでみてください!
一度読むと止まらない、静かな物語にぬけだせなくなってしまいます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。