『北田卓史原画の部屋』 いろいろな動物たち クマ編
みなさんこんにちわ。児童画家北田卓史の描いた原画を管理しているTaxi Pro.です。
以前投稿した「いろいろな動物たち」の回では、北田卓史の描いた動物が登場する原画を紹介しました。
今回は動物のなかでも特に登場する回数が多いクマが描かれている原画を紹介します。
これは代表作のひとつ「車のいろは空のいろ」シリーズ(あまんきみこ作、ポプラ社)の「白いぼうし」で挿絵として使われている作品です。
連作短編集として構成されている「白いぼうし」の中の「くましんし」というお話の一場面です。
タクシードライバーの松井さんが、深夜のお客さんが車内に忘れたさいふを家まで届けに行ったら、そこに居たのは、山を追われて町で人の姿になって暮らしている「くましんし」だったというお話。この絵は、主人公の松井さんがクマの姿の戻ったくましんしの熊野熊吉さんと出会う場面です。
次は、こちら。
クマが畑で種を蒔いています。傍らの木の切り株にキツネがすわってニコニコしています。
クマとキツネの畑でのやりとりのお話の中の一場面です。
お気づきかもしれませんが、今回のタイトル画像も同じお話の中の一場面です。
他にも一連の作品があるのですが、今回はこの2枚をご紹介します。
次はクマのお医者さん。咽喉を痛めたキリンを診ています。
キリンは首が長いので脚立に登らなければ診察できません。
クマの先生、ネズミとなにか相談しています。
ネズミが懐中電灯を頭に結んで暗い洞窟の中に入っていきました。
キリンが大きなくしゃみをすると、咽喉からネズミが飛び出してきました。
クマ先生もびっくり。
どうやらクマ先生、キリンの首が長すぎて咽喉の奥まで診ることができないので、ネズミに頼んで中に入ってもらったようです。
ネズミは意気揚々とバイクで去っていきましたが、長い首に包帯を巻かれたキリンは涙目、クマ先生もちょっと首をかしげているみたいです。
本当に大丈夫なのでしょうか。
二頭の子グマ。一頭は木に登っています。もう一頭はバケツを持っています。
この絵のクマは、前の絵と同じ模様の服を着ているので、おそらく続きではないかと思います。木に登っていたクマはリンゴを収穫し、別のクマが持っているバケツの中身は魚だったのでしょうか。
次は3作品です。
上の3枚は、1枚目が1976年、2枚目が1980年、3枚目が1982年の作品です。時期はかなり違いますが、いずれも始めてひらがなを習う幼児向けの学習誌の挿絵のようです。
これは、めずらしく吹き出しにセリフが入っている原画です。
クマがおしっこをしている場面なんて、この当時の子ども向けの本にしてはめずらしいのではないでしょうか。
山道でクマが立ち止まって遠くの山を見ています。
山の稜線にはダンプトラックが走っています。
クマの手にはなにかの紙が握られています。
道に迷って地図を見ているようにも見えますし、住み家の森が開発されるのを憂いているようにも見えます。
山の手前の森には特徴的なキノコのような形をした木がたくさん生えています。
クマとウサギとリス。クマのお弁当はチョコレート。ウサギはニンジン。リスはクルミ。ウサギとリスは、クマのお弁当が羨ましくて、取り替えてもらいたいようです。
北田卓史の作品は、ほとんどが油彩なのですが、この絵はめずらしく水彩で描かれています。
いかがでしたでしょうか。
子ども向け絵本のなかでは、クマは人気が高いようで、今回紹介した以外にもたくさんの原画があります。また別の機会にご紹介できればと思っています。
* * * * * * お知らせ * * * * * *
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さらに、現在note.で開催中の「#読書の秋2021」に「車のいろは空のいろ」シリーズが課題図書として選定されています。
興味のある方は是非ご覧になってください。