「日本のおもてなし 」外国人にどう映る?|国際結婚エッセイ
アメリカ人と結婚している日本在住の20代主婦です。
夫と暮らし始める前は、滝川クリステルの「お・も・て・な・し」スピーチに感動し、いち日本人として日本のおもてなしに誇りをもっていました。
しかし、日本で夫と暮らしていると、おもてなしの形には色々あること、日本のおもてなしが特別素晴らしいわけではないのかもしれないということを実感します。
アメリカのディズニーを訪れた友人が「やっぱり向こうはホスピタリティがちがう」と言っていたのが印象的だったのですが、今日は、日本のおもてなしとアメリカのサービス精神のちがいについて、日頃感じていることを書いてみようと思います。
平等と公平のちがい
日本のおもてなしとアメリカのサービス精神のちがいは、平等と公平のちがいに近いものがあると感じます(日本が平等、アメリカが公平)。
日本の求めるおもてなしは形式を重視し、「丁寧で格式高いサービスを、来てくださったお客様皆に同じクオリティで提供いたします」という感じ。
会社やブランドを背負い、マニュアルに規定されている接客サービスのレベルの高さを体現する、そんな印象を受けます。
対してアメリカは形(入れもの)よりも中身を重視して、「お客さん一人ひとりの状況・ニーズ・気持ちに寄り添い、形式にこだわらずできるだけ柔軟に接する」というイメージ。
「スタッフと客」という立場でなく「人と人」としてコミュニケーションをとり、親身になって臨機応変に対応します。
日本の"おもてなし"に困惑したエピソード
では、アメリカのサービス精神に慣れ親しんだアメリカ人は、日本のおもてなしをどう感じるのか。
もちろん上品・丁寧な接客は満足度が高いものですが、「おカタい」と感じることもあります。
以下は、夫と日本で暮らし始めたばかりの頃、日本のマックに二人で行った時のはなし。
マックのメニューには、その国独自のものがあります。
例えばアメリカの「マックチキン」は、日本のチキンクリスプに似ていますが、タルタルソース(?)でなくマヨネーズが入っています。
この日、夫はマックチキンが食べたくてカウンターに相談しました。
「チキンクリスプに、タルタルソースでなくマヨネーズを入れてもらえますか?」
しかし、スタッフから言われた言葉は
「すみません、それはチキンクリスプでなくなってしまうので作れません」
夫はショックを受けつつ、仕方なくチキンクリスプのソースなしを頼み、家でマヨネーズを塗って食べました。^^;
これがアメリカだったら、
「タルタルソースじゃなくてマヨネーズにしてくれる?」
「Oh, sure!」
「ハンバーガーをビッグマックのソースで作ってくれる?」
「Yeah, sure!」
「ダブルチーズバーガーの間にチキンクリスプを挟んでくれる?」(え?)
「Alright, I can do that! 」
といった感じなのです。
ちなみに、上記のダブルチーズバーガーの間にチキンクリスプを挟むという三段重ねアレンジは、一部の間で「マック・ギャング・バング」と呼ばれています。(どうやって食べるんだ…)
マック・ギャング・バングはアメリカでも知らない人が多いですが、アメリカのサービス精神の素晴らしいところは、お客さんに「No(できません)」と言おうとしないこと。
スタッフは、そんなアレンジ聞いたこともない、どうやって作るかもわからない、それでも注文にこたえるため一生懸命になってくれる。
そんなサービス精神が垣間見られる動画をひとつご紹介します。
「Ordering a McGangbang(マック・ギャング・バングを注文してみた)」
これが日本のマックだったら、どのような対応をされたでしょうか?
みなさんぜひ想像して比較してみてください。
ところで、外国人が日本の接客に(悪い意味で)驚いたというエピソードは他にも沢山あります。
などなど。
ほかにも、日本のおもてなしはマニュアル通りに動くだけで心がこもっていない「OmotteNASHI(思ってナシ)」だという人もいたり、そもそもそのマニュアルの方向性が人を子ども扱いするような印象のものだったり…
日本人の間では「日本のおもてなしは素晴らしい!世界に誇れる!」という通念がありますが、果たしてそうだろうか、と私は思います。
日本は規則・形式を重視する傾向があり、また、結婚したら妻、子どもができたら母親、仕事先ではパート…と、「立場」や「肩書」に焦点を当てがちな文化でもあります。
しかしアメリカでは、どんな状況でも基本は「マイケルさん」、「アリスさん」、「チキンクリスプをマヨネーズで食べたい人」。
「個人」や「その人らしさ」を尊重する文化です。
人と喋るのが得意でない私は昔、「アメリカ人のフレンドリーな接客が苦手だな」と思っていたのですが、今は「きちんと自分の要望を伝えれば一生懸命応えようとしてくれるいい人たち」(何様)と、ちょっとアメリカ人と話す敷居が自分の中で低くなった気がします。
外国人の夫と暮らして初めて気付いたことだったので、ぜひ一度皆さんにシェアしたいトピックでした。
お読みいただきありがとうございます。
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