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渡部有希
2021年9月4日 18:48
ここのところ、立て続けに面白い本に出会うので、読むのに必死な日々です。何について書くか悩ましいですが2ヶ月ほど前に読んだ悔しいぐらい美しい作品について書いてみます。川上弘美「蛇を踏む」文春文庫(1999.8)この表題作の初出は1996年。私が生まれる2年も前のことだそうです。自分が発生する前に紡がれた文章を大人になった今読むことができるのはとても幸せ。川上弘美さん
2020年11月26日 13:03
好きな本について書いてきたけれど、読書が好きになった原点とも言える、この作品について書かないわけにはいかないので。今回はこちら。森鴎外「高瀬舟」(1916) 初出:中央公論*写真の書籍森鴎外「山椒大夫•高瀬舟•阿部一族」角川文庫(2012)教科書で読んだことある人が多いかもしれません。私も中学生の頃の教科書で学習しました。学習した時期こそ覚えていないけれど、教科書の紙の薄さとか
2020年10月20日 08:30
久しぶりの投稿になります。今回は、寒くなってきたら無性に読みたくなった、こちらの本を紹介します。せきしろ『バスは北を進む』幻冬舎文庫(2019)昔から錆び付いたものや古びたものが好きでした。公営団地の錆びた螺旋階段や、雨で色が落ちた軒先用テントや、洗ったら逆に汚くなりそうなコインランドリーが好きでした。あたりまえにある、誰かの生活を支えてきた、なんでも無いものたち。それらを、
2020年10月4日 15:13
今回は私が敬愛する中村文則さんの作品を紹介します。本を手にとって読んで欲しいので、ネタバレをしたい気持ちを抑えて書きます。中村文則『銃』河出文庫(2012)この作品は、又吉直樹さんが色々な本を紹介しているエッセイで初めて目にしました。その時は中村文則という作家の存在すら知りませんでしたが、後日、書店に行ったときに平積みされているこの本が目に飛び込んできました。表紙の『銃』という活字に
2020年9月11日 17:56
自分の好きな本の紹介を書いてみます。最初の一冊はこれかなあということで『白いしるし』。ネタバレ、的なことはないです。西加奈子『白いしるし』新潮文庫(2013)何年か前に、働いている喫茶店の近くの雑貨屋さんの、古本のコーナーに置いてあって、カバーの猫の後頭部に惹かれて手に取りました。それまで西加奈子さんの作品は数冊読んだことがありましたが、彼女の作品にどっぷりとハマり全著作を読み始めた