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ブスは御徒町で出会う(ブスのマーケティング戦略/田村麻美)
税理士、大学院生、一児の母、そしてブスである著者が、
・ブスの幸せな結婚
・ブスの経済的な自立
を叶えるための戦略をマーケティングの観点から綴った本。
ものすごく面白くて、電車で読めないくらいゲラゲラ笑いながら読んだ。
まず、章立てがこちら。
1. 自分を商品と考える
2. 性欲をエネルギーに変えて商品力を高める
3. 神童からただのブスへ
4. ブスが処女を捨てるとき
5. 100回の合コンで学ぶ
6. ブスにとっての肩書きの重要性
7. ブス自身も顧客であった
8. ブスの結婚
9. ブスの起業
10. ブスの成功すごろくと美人の経年劣化
何回ブスって言うんだよ、とこの時点でツッコみたくなるが、本文でも信じられないほど繰り返しブスという言葉が出てくる。
そして、「旦那も子どももいるのに、そんな書いて大丈夫?!」と心配になるほど著者自身の経験が赤裸々に綴られている。中学生で性に目覚め、いい男(=偏差値の高い男)とやりたいために猛勉強し、大学では初めて彼氏ができるも「ブスだから」とフラれ、合コンに明け暮れ、大学院ではやさぐれ、承認欲求を満たすために複数のセフレを作っていた云々。
さらに、表紙がこれ。
この本を出版することを奨励した旦那さん、なんて器が大きいのだろう、、
ここに書かれているマーケティングの知識は基本中の基本なので、会社員を数年やっている人ならば特に新しい発見はないと思う。
また、恋愛という市場において、自分を商品と捉え、戦略を練り、ターゲットを変え、戦場を変え…という行動は、ブスに限らず誰もが無意識にしていることだとも思う。
著者のすごいところは、100回の合コンでPDCAサイクルを回しながら、時に理不尽な思いをしても合コンに行き続けて「傾聴力」を鍛えたところにある。
以下、「ブスの作業21」より引用。
合コンでの目的は、自分を知ってもらうことではない。
この場を離れても会いたい、と思ってもらえるような印象をつくること。
合コン前に、メンバーみんなでご唱和ください。
自分のことは話さなくていい。
自分の趣味は伝えなくていい。
自分のよさを見せなくていい。
自分がどれだけ頭がいいかも知られなくていい。
自分がどんなものが好きなのかも伝える必要はない。
自分のすばらしい学歴も、ステイタスのある職業も言う必要なし。
自分がいかに仕事をがんばっているのかも、言わなくていい。
自分の兄弟構成や休日のすごし方も言わなくていい。
合コンでブスが自己PRをすることは、ニーズのない市場に間違った商品を大量投入することと同じである。
おそらくこの方はお笑い力が高いので、我を押し殺して傾聴に徹すること自体は本来楽しくないはずだ。市場を分析して行動を変え、最大限の成果を上げることだけを目的とした、ビジネス的な楽しみ方ができる人なのだろうと思った。
見出しは、御徒町で開催された合コンで現在の旦那と出会った章
「ブスは恵比寿じゃなくて御徒町で出会うのだ」より。