文学フリマ東京
12月1日
『文学フリマ東京』@東京ビッグサイト
文学関連のミニコミ即売イベント『文学フリマ』へ。これまでは東京流通センターで行われてるイメージだったけど、今回は規模を拡大して東京ビッグサイト。名前はよく聞くけど初めて来た東京ビッグサイトはふざけてんのかと思うくらい、馬鹿みたいに大きくて笑ってしまった。
いきなりお目当てに行くと心臓に悪いので、いったん端から順に眺めて回り、体を慣らしてからすずめ園さんのブースへ。せきしろさんとの共作句集『鍋の中で移ろうキャベツの緑』、寿々木ここねさんとの合作『腹の夏ごなし』(タイトルセンス秀逸)を購入。サインも入れていただいた。「すずめ句会」の時のお話などもさせていただき、今までいちばん落ち着いて会話できたかもしれない。毎回緊張して逃げるように帰ってしまうので。
今回もお隣のブースがせきしろさんで、ご本人は欠席だったけど自由律俳句結社せきしろの結社誌第0号と、短編集『断片的にしか聞いていない』、句集『誰のためにもならなかった孤軍奮闘』を購入。
続いてもうひとつのお目当てだった古賀及子さんのブースへ。新刊本『好きな食べ物がみつからない』は売り切れだったけど、スズキナオさんとの共著ZINE『青春ばかり追いかけている、なにもかも誰より一番慣れない』を買って、サインしていただいた。まぐりふと申しますと名乗ったら、よくSNSにいいねしてくださいますよね、と言っていただけ感激。
気が大きくなったのか、この後いくつかブースを周り、朱雀門出さんなどの怪談作家たちによるエッセイ・アンソロジー『怪談に至るまで Vol.1』、セルビアの小説家ゾラン・ジヴコヴィチの短編集『本を読む女』『図書館』、タイトルの通りなんだかよくわからない体験談を収集したというコンセプトが『耳嚢』っぽくて面白そうだった『あれはなんだったんだろう 其ノ壱』を購入した。
さらに春陽堂のブースで、江戸川乱歩文庫『パノラマ島綺談』の多賀新による銅版画イラストをあしらったTシャツも買った。Tシャツ、帰宅してからよく見たらバックに本文がプリントされてて素晴らしい。
ホクホクしながら会場を出ると、ちょうど夕暮れ時で見事な夕焼け。せっかくだからいつもと違うルートで夕陽を見ながら帰ってみようと、バスで帰宅することにした。すると、バスは出発してすぐに右折して夕陽を背にした方向へ走り出し、ひたすら埋立地の倉庫を見ながら帰ることになった。
がっかりしつつ、これは自由律俳句にしなければ、とあれこれ考えて捻り出してみた。
帰り道、お腹がぺこぺこに空いて、今日は絶対に大戸屋でカキフライ定食食べよう、それも6個の方にしちゃおうとお店に入ったら、まさかの品切れだった。
リアルに『カキフライが無いなら来なかった』になってしまい、それなら近くのごちとんで「味噌バターコーン豚汁定食」にしておけばよかったなと悔やみながら仕方なく別の定食を注文したら、店員さんが申し訳なさそうにやってきて、「雑穀米が切れてしまって、白米にしていただくか、もしくはキャンセルで……」と告げられた。
精いっぱい残念そうな顔と声で「あ〜そうなんですね〜」と注文をキャンセルしてもらい、味噌バターコーン豚汁に思いを馳せながら、ごちとんに向かう。
そしたら、ごちとんでも味噌バターコーン豚汁定食は品切れだった。オリックスのドラフト1位指名くらい外れ続きで、なんかもう笑うしかなかった。辛味噌チゲ豚汁も美味しかったからいいけど。
早速読んだ『自由律俳句結社誌 せきしろ』第0号。せきしろさん、すずめ園さん、又吉直樹さんの順でそれぞれ5ページずつ作品が収録されており、それぞれのブロックで最初の句を読んだ瞬間から、空気がその人のにおいになるのがはっきり分かる。自由律俳句という限定的な創作の中で、これだけ句風にその人の持ち味が色濃く表れるのかと唸らされた。
特に好きな句を抜粋。
あとやっぱり、せきしろさんの『結社創立にあたって』の言葉がどっしりした優しさと重みを持って胸に刻み込まれた。孤独を恐れることなく、群れずに生きていきます。せきしろさんにもできるだけ長生きしてほしい。