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帰り道にくつのかかとが落ちてた話。

今日の仕事の帰り道に、道の上にくつのかかとが落ちていた。
「えっ、見間違い?」と思い、じっと遠目に見つめなおす。
やっぱり、くつのかかとが落ちていた。

あんまりくつのかかとが落ちているところに出くわしたことがなかったので、少し時間差があって押し殺したような笑いが込み上げてきた。
くつのかかとを落とした人には本当に申し訳ないので、ここで謝っておく。

かかとを落とした人はかかとを落としたことに気づいているんだろうか。
かかとがなくなったことによって、やっぱり歩きづらくなっているんじゃないか。
そもそもかかとを落とす歩き方ってどんな歩き方なんだろうか。

とかぼんやり考えながら歩いていると、駅前のとんかつ屋さんを通り過ぎるときに高校生ぐらいの口いっぱいに何かを頬張った男の子と目が合った。

いや、ごめん。

というのもこのとんかつ屋さん、ショーウィンドウ形式になっていて中の様子がよく見えるんだ。
でもよく見えるからこそ、仕事の帰り道で美味しそうなとんかつを見かけると、「やっぱり今日の夜ごはん、とんかつがいいかも。」といったとんかつの購買欲を上手にそそってくるからついつい店内をのぞいてしまいがちなのだ。

最終的には、僕が目をそらすかたちになってしまった。
あの子は目が合ったとき、どう思っただろうか。
僕はどんな顔をして見つめていたんだろうか。

とかまたぼんやり考えはじめると、再び押し殺したような笑いが込み上げてきた。

頭のなかを可視化できるサングラスとか発明されたとしたら、僕は間違いなく変わった人認定されるに違いない。

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