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ゴミ問題を解決したのはあの「〇〇セット」?

私の住居は駅のホントにすぐそばにある。

そして、この棟の一階部分は
駐車場と駐輪場という構造になっていて
入居者の多くはすぐ目の前が駅にも関わらず
出勤には自転車かクルマを使っている。

都会に住む人には理解できないと思うが
田舎あるある。

そんなことで駐車場の車はほぼ出払うため
日中、そこはがらんとしている。

入居したときから気になっていたのが
車を出し入れするとき、そこかしこに
吸い殻や空き缶が転がっているのを
度々目にするということだった。

自分のクルマの周りをこんな状況には
したくないはずだから
入居している人の行為とは思えなかった。

恐らく、駅を利用する誰か
心ない輩が待ち時間を持て余し
ここを喫煙場所みたいな感覚にして
いるんじゃないかと思われた。

ゴミ出しの日にそれらを見つけた時は、
私もやはり見過ごせないので
極力、拾って一緒に処分したり
管理人さんによって
常に片付けられてもいるのだが、
何日もあけず、また同じ状況を見る。

たばこの吸い殻はさすがに危なくて
大家さんに「火気厳禁」の貼り紙を
提案したがそれも大して効果はなかった。



そんなある日、いつものように帰宅して
車から降りた周りの視界に私は息を吞んだ。

そこにはいつも以上のタバコの吸い殻に空き缶、
ペットボトルなどに加え、
コンビニ弁当の空き箱、お箸、空き袋、
中身が残ったままのカップ麺の容器、

まるで
ここで宴会でもしたのかというほどの残骸で
駐車場は散らかり、無残な光景を作っていた。

どう手をつければ良いかわからない状態に
大家さんには通報したものの、
悶々として穏やかな気持ちになれず
その夜のビールも何とも味気なかった。


それからほどなくお彼岸が来て、
お墓参り用の花を購入して帰った。

地元農家さん直営販売の店に並んでいた
ちょっと多めの束だったので
私は3本ほど抜き出して黒い花瓶に入れ、
駐車場の片隅に置いた。

仄暗い駐車場の隅っこに揺れる
無垢な花びらをしばらく眺めていて、
ふと思いつき、
塩を乗せた小皿を花瓶の脇に置いた。

数日経って、その花が枯れる頃合いに
また新しいのを買って来て入れ替えた。
塩も交換した。



それを繰り返すこと一か月。

なんと、ゴミが散乱する状況を見なくなった。
吸い殻1本さえ落ちていないことに気付く。



「それって、ヤべえヤツじゃん!」



この一連の出来事を話すと、
二男たね二郎は吹き出して笑った。

「荒れとるのもいやだけどよー
献花のある駐車場も引くわー!」


献、花・・・?

「白い菊に盛り塩だろ?
そりゃ、ここヤベぇってなるだろー!
それ狙ったんだろ?」

いや、狙ったわけでは...

「オレ、やだわーー!怖ぇー!!」


腹立たしいほどゲラゲラ笑う。
言わなきゃよかった。


私はあの荒んだ光景が忍びなくて、
せめて、花でもと思っただけで。


たまたま白い菊だったけど。

お彼岸だったし、
日持ちがいいし、、比較的安価だし、、、

でも飾ってみると、何だか今度は
花が不憫な気がして、

淀んでいる空気を少しでも
清らかに出来ないかなと思ったのだ。

結果的に、
そういうセットになってしまったけど

「ヤベぇヤツ」かもしれないけど、

でも、問題は解決したんだから
結果オーライじゃないの。


たね二郎のように「ヤベぇ」と畏れる心が
行為に歯止めをかけたんじゃないの?

荒らしてた輩にも
見えない何かを感じ取る心というか
触れる琴線ってものがあったのよ、
きっと。


現在、駐車場は大家さんによって
セキュリティセンサーが設置されたこともあり
ゴミひとつない状態が保たれている。


・・・

ただ、誰も侵入してないのに
たまにセンサーが反応して鳴ってたりする。

「何でかなあ?」と思ったりするけど
そんなこともあるかとやり過ごしている。


今日はこの辺で
では、また。


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