How to 護身術①~エレベーター内~
はじめまして!
東京 六本木・赤坂で護身術のジム「マガジム」を運営している熊谷です。
普段、何も意識することなく乗っているエレベーター。上下階の移動手段として日常生活においては不可欠で、いうまでも無く便利ですね。
ところが見方を変えると、エレベーターは非常に狭い空間であり、一たびドアが閉まると逃げ場の無い密室です。この中でもし見知らぬ人に、強盗や暴漢等の犯罪行為をされたことを想像してみて下さい。
エレベーターは突然、とても危険度の高い空間に様変わりしてしまいます。
今回のHOW TO護身術は「もしエレベーター内で強盗に襲われたら、どうやって身を守るか?」です。ここでのテクニックはエレベーターの中に限定せず、細い路地や人込みの中といった、自由に動き回れるスペースが無い場合の身の守り方にも共通する点が多々あります。そんな観点でもご覧ください。
■エレベーターの狭い間口は逃げ場が無い!
上の写真をご覧ください。
ディフェンダー(護身をする人、自らの身を守る人)の視点から見たアタッカー(攻撃を仕掛けてくる人)です。
見た感じから怪しい!と思うような相手であっても、エレベーターのドアの間口が狭ければ、一瞬のスキを使って逃げることすらできません。それがエレベーターのリスクです。
※不審な人物が入ってきたことに気づいたとき、逃げることができる状況であれば、密室の空間で二人きりになるリスクを考えれば、ドアが閉まる前に出て行くのが得策です。密室の空間で二人きりになるリスクは大きいでしょう。
■絶体絶命!相手が正面から詰め寄ってきた!
今回のケースは、犯人がエレベーターに乗ってくるやいなや、正面から詰め寄り壁際に押しつけてきた挙句、金品を要求してきた場合です。
カバンの中の金品を渡すだけで身体に何の危害も加えられない保証があるのであれば、何も抵抗せずに渡してしまうのも選択の一つです。しかし相手はすでに犯罪を犯しています。相手に悪意がある以上、無傷ですむ保証はどこにもありません。何の抵抗もしないということは、自分の運命を相手の意思に委ねるということ。無難なように見えて、実はイチかバチかの賭けでもあります。
一方でこれから紹介するテクニックは「自らの意思」で自分の身は自分で守ると判断し、0%から100%にアグレッシブなスイッチを瞬時に入れ、護身に必要なアクションを起こす場合についてです。
■カバンに執着せず、相手の急所を攻撃!
詰め寄ってきた相手が右手で自分を壁に押し付け、左手でカバンを奪いに来ています。
相手の心理状況を察すると、ある程度興奮状態にありながらも、突然襲ってきているところを見ると、自分が優位であるという過信も多少はあるかもしれません。
また金品目的であれば奪うことに集中し、視野が狭くなっている可能性もあります。
そこで有効なのが、空いた手による急所攻撃。密着しているので相手も死角があり、急所に意識が届きにくいでしょう。さらにカバンを自分が手から落とせば、相手の意識もカバンに行く可能性があります。
その瞬間、そこでガラ空きの股間を掌または拳を握って攻撃します。一度で利かなければ何度も打ちます。
※股間に対する掌底や拳を使っての攻撃は、相手との距離が非常に短く密着状態にある際は有効です。
■距離ができたら急所に追加攻撃!
相手がダメージで少しでもうずくまれば、そこは追加攻撃のチャンスです。
相手がうずくまれば自分との距離が生まれますので、長距離で使えるパワフルな武器(=蹴り)が有効です。股間を蹴って更にダメージを加えます。
■露出した後頭部へのハンマーパンチ!
股間蹴りにより大きくダメージを受けた相手がさらにうずくまり、後頭部を露出させたとします。
もしすでに相手が無力化(=クラヴマガでは「相手がソフトになっている」と表現します)しており、これ以上自分に攻撃をしてくる恐れが無いと判断される場合は、エレベーターのドアが開いているのであればすぐに逃げましょう。過剰攻撃になってはよくありません。
しかしそうとは限らないのが現実です。うずくまっていてもタックルをしてこちらを倒そうとしたり、急所めがけてヘッドバットをして、攻撃を仕掛けてくる可能性も十分ありえます。
このように相手がソフトになっていなければ、後頭部は大きな急所ですので、ハンマーパンチでさらに攻撃を加えます。
■持ち物も武器として使える!
落としたカバンが拾えるならばそれを武器として使うのも一つの手です。
※カバンの場合は主にシールド(盾)として使うことが有効なケースが多いですが、ペンやスマホ、カギなどは攻撃を加えるときの武器としても有効です。いざという状況で身を守るには、周辺にとっさに使えるものがあれば、何でも使います。
■ドアが開いていればすぐに逃げる!
ドアが開いており、逃げる隙ができたと判断したら、即座に逃げましょう。
エレベーターが動いている状況ならば、最も近い階のボタンを押して、一刻も早く停めて脱出します。
エレベーターは密室です。
自らの強い意思をもって悪意ある相手と対峙し、安全に逃げるためには、ある程度相手を無力化できないと、逃げる余地が生まれません。そのためには、今回ご紹介したような攻撃が不可欠となりうることを、しっかり認識しておいてください。
※拘束術を知っていたとしても、暴れる相手を一定時間取り押えるのはリスクが高く(凶器を持っている可能性あります)、よほどの腕前が無い限り現実的ではなく、お勧めできません。
その後は最寄りの警察にかけつけたり、110番通報してください。
いかがでしたでしょうか。
今回は一つのケーススタディですが、自分の力で身を守ると判断した以上は、100%アグレッシブになるスイッチを自分に入れ、相手がソフトになるまで攻撃を続けないと逃げることすらできない一つの例だと思います。
攻撃をする対象は、状況や体制によって異なりますが、ポイントは急所であること、オープニングポイント(露出している個所)であることです。
これからご紹介していくクラヴマガの護身テクニックですべて共通することですので、覚えておいてください。
最後に今回のケーススタディの動画をご覧ください!