読書記録『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』『ショートケーキ。』
ふてふて。
かわいい字面。かわいい響き。
どうしてもかわいいこの「ふてふて」。
何のオノマトペかといえば猫の足音。最高である。
最近読んだ作品で出会った。とは言っても実は目当てにしていた作品本文ではない。
図書館で借りたのだが、そろそろ返却期限だなあと思いながらのそのそ読み、読み終わったところで見つけた。見返しにひっそりと貼り付けてある封筒である。そういえば掌編が添えられていると聞いた気がする。せっかくだし一応読んでおくか。短いし。
そこで出会ったふてふてである。なんて運命。猫の歩き方を表すのにぴったりとお似合いである。丸くふわふわのくせに音もなく飄々と歩く猫そのものである。かわいいねえ。
つられて最後までしっかり読んだが、ふてふてだけでなくその後も全部良かった。掌編は2つあるのだが、2も良かった。
ちなみに舞城氏の作品はこれまで読んだことがない。忘れないうちに読んでみたい。
ふてふての衝撃を先に伝えたかったものの、もともとお目当ての本文もちゃんと良い。青春の透明で青くてでも苦くてみたいなのがある。いっぱいの未来といっぱいの不安がごちゃ混ぜの時期だったよなと思う。高校生の私が読んだら何を思うだろうか。ただミステリー要素は私には難しかった。分からぬ。
特に好きだったもの引用↓。
下の2首目が坂木司氏の『ショートケーキ。』に載っていて気になったんだった。こちらも良かったのでおすすめです。ショートケーキが食べたくなる。コージーコーナーがいいな。
坂木氏の作品は優しく、しかし芯の通ったものが多く、ついつい手に取ってしまう。優しいと大括りにするのも違うのだろうが、作者本人がきっと温かく心優しい方なのだろうなと言う気がする。
気になった方はどちらも読んでみてください。おすすめです。