プラスチックごみは、なぜ海に流出するのか?〈サステナ学習帳#60〉
海に流れるごみは、東南アジアや中国によるものが多いが、日本からも毎年2万~6万トンのプラスチックごみが海に流出しているという。適切なごみ収集・処理が行われているはずの日本で、なぜこれほどのごみが流出してしまうのか。本日は、その背景と対策について確認したい。
【日本のごみ収集・処理システムと流出経路】
日本のごみ収集システムは整備されており、住民がごみを適切に分別し、収集・処理されることが基本となっている。しかし、都市部でのポイ捨てや不適切なごみ管理により、道路や川にごみが流れ込み、最終的に海へ到達してしまうケースが多い。
また、自然災害の影響も大きい。台風や豪雨などの災害時に、河川の水量が増加し、集積されたごみが一気に海に流されることがある。こうした流出経路が、日本でのプラスチックごみの海洋流出に大きく影響している。
【海へのごみ流出防止策】
流出を防ぐため、日本ではいくつかの取り組みが行われている。環境省は河川や海岸での清掃活動を定期的に実施しており、ボランティアや地域住民も参加している。また、日本財団と協力し、ポイ捨ての撲滅を目指す啓発活動も展開している。さらに、学校教育や地域のイベントを通じて、海洋ごみ問題についての意識向上を図り、流出防止のためのアクションを促している。
【海洋ごみの回収技術】
海に流出してしまったプラスチックごみを回収するための技術も進化している。たとえば、ドローンや衛星画像を使って、海洋ごみの位置を特定し、効率的に回収する取り組みが行われている。日本でも、海洋研究機関と協力して、海洋ごみ回収船の開発や、沿岸部のクリーンアップ活動が進められている。
また、新たな技術として、海面に設置されたバリアを活用してプラスチックごみを集めるシステムが導入されつつある。こうした技術は、流出したごみを回収し、再び陸地で適切に処理するための重要な手段となっている。
【まとめ】
日本のプラスチックごみの海洋流出は、都市部でのポイ捨てや自然災害が大きな要因となっている。適切なごみ管理が行われている一方で、現状では完全に防ぐことは難しい。しかし、流出防止策や新たな回収技術の導入によって、少しずつ状況は改善されている。今後はさらなる技術革新と、社会全体での取り組みが求められている。