インドネシアの温泉その7【チラチャス温泉の足元湧出を満喫 2023年11月】
バンドンの北40キロ強のところにあるチラチャス温泉に行きました。
ここは事前調査の結果、足元湧出泉の可能性が高いと予想していましたが、やっぱり足元湧出泉でした。
過去記事にしたチアトル温泉からさらに20キロメートル (40分) ほど先にあり、かなりの田舎にありますが、労力をかけていく価値がある温泉と思います。
お湯は最高です。日本の温泉では島根県の三瓶山周辺(小屋原、千原温泉あたり)、青森の古遠部温泉が似ていると思いました。濃いめでフレッシュなタイプです。
炭酸泉ではないですが長湯温泉にも似ています。チラチャスの方は塩と鉄味がないところがちょっと違います。
チラチャス温泉の行き方
バンドンからバイクで2時間弱でつきます。
わたしは前回のレンガニス温泉でお世話になったドライバーにお願いして、前回と同じ往復30万ルピア(3000円)で連れて行ってもらいました。たぶんこれからも専属ドライバーとしてお願いすると思います。
チアトルまで1時間、そこからさらに40分かかります。
道は途中から細くなり荒れてがたがた道が多くなりますが、車やスクーターでも行けるレベルです。
レンバンからチアトルまでは高地でとても涼しく、そこから道は下り坂になり、気温は上昇していきます。結構暑い場所でした。
地図には過去記事にした温泉の位置関係も入れました。
チラチャス温泉の概要
チラチャス村に湧き出ている温泉です。
ネット情報では12か所の源泉があり2か所しか使われていないと書いてありました。
実際のところは、大量のあぶくが見えるほどの足元湧出が1か所、共同浴場で足元からではないが奥からお湯が沸いている場所が1か所、パイプから流れてきている場所が1か所の合計3か所は確認できました。
他はないのか聞いたら「ない」との返答でした。
もしかしたら過去の地震などの影響で湧出量が落ちて来ているのか、箱根の姥子湯のように雨季と乾季で湧出量が変わるのか、詳しいことはわかりませんでした。
チラチャス温泉の歴史は古い
太古の泉という情報がネットに出ていましたが、具体的な年や伝承は見つかりませんでした。
休憩所にいた地元の人たちや店の人に聞いても「とにかく古い。ネネック・モヤン(インドネシア語で先祖)が見つけたんだ」と言っていました。
地形的には低い山に両側を挟まれている谷地で、平地の真ん中を小さな川が流れています。
温泉の周りの田んぼをよく見てみると、ぼこぼことあぶくが出ている場所があるので、湧き水の多い湿原あるいは湿地帯だったのかもしれません。
田んぼの湧き水は温泉かと思ったら、残念ながら冷たかったです。まあ温泉だと稲枯れちゃいますね。
どういうわけかある箇所から熱いお湯が出て、普通は冷たい水が湧き出ているようです。
入った温泉
1.共同浴場
男女別に分かれており、わたしは最初気づかずに女性用に入ってしまいました。地域のみなさま大変失礼しました。
なんで看板が出てないのか不思議だなと思いながら、ちゃんと調べずに良さそうな方を選んで入ってしまったのです。
横1.5メートル、縦1.2メートルほどのコンクリ製の浴槽で、浴槽の下からお湯が出てきます。手で探ってみましたが浴槽の下ではなく奥の方から流れ出てきている感じです。
せっかく二つ浴槽が並んでいるのに、一つの浴槽にしかお湯が入っていません。
元々は熱めとぬるめを用意していたんだと思います。上流の浴槽が熱め、下流がぬるめです。
湧出量が足りないので一つ減らしたんじゃないかと思います。浴槽からあふれ出る量からすると、1分間に1リットルくらいしか出ていない感じです。
お湯は油膜が張ったように見えます。それと浴槽の縁や、排出口を見ると析出物ができていますので、炭酸カルシウムの膜が張っている可能性もありますが、油かもしれず不明です。
お湯はぬるめで37から38度くらいと思います。泉質はナトリウム・カルシウム炭酸水素塩泉だと思います。茶色いですが鉄分は感じません。
2.足元湧出泉
売店の一家が、自分の田んぼに沸いた温泉を使って、有料で入浴サービスを提供しています。1回5000ルピア。
ここは本当に素晴らしいです。インドネシアでこんなに新鮮な温泉に入れるとは期待していませんでした。
わたしが何度もすごい、最高だと言ったからなのか、「この温泉を田んぼごと買う日本人はいないか?」と聞かれました。
真顔だったので、たぶん本気で聞いていると思います。
共同浴場では温泉の味見を避けたため、味比べができませんが、ここの温泉は日本でもよくある味です。塩分はほぼないものの、ミネラルのえぐみを感じます。
鶴巻温泉で味わったカルシウムのえぐみを思い起こさせるので、カルシウム炭酸水素塩泉かもしれません。
最初は二酸化炭素が入っている泡付きの温泉ではないかと思っていましたが、泡はつきませんでした。お湯の見た目が長湯温泉や千原温泉に似ていたので、もしやと期待していたので残念でした。
泉温は40度弱です。二酸化炭素が速攻で消えるほどの高温ではないので、おそらく最初からそんなに入っていないのだろうと思います。
新しい建物に見えたのでいつ建てたのか聞いたところ、湯小屋を建てたのは3か月前と言っていました。
ここはお湯につかってはいけなかったらしいです。あとで壁に書いてあるインドネシア語を訳してわかりました。Jangan direndamの意味が分かりませんでした。
皆さまご注意あれ。
お店の方々、本当に申し訳ありません。気に入って2回もつかりました。
最後村を去る前に、おかわり風呂をした分を入れて2回。
でも共同浴場に事前につかってきれいになっていたし、日本のやり方でかけ湯をざぶざぶにかけてから入ったので、そこまで汚していないと思います。
3.モスク横の沐浴場
ここは服を着たまま足にお湯をかけただけです。
写真ではわかりにくいですが、析出物がかなり育っています。温泉好きの間でサルノコシカケに例えられる、湯面に沿って浴槽の縁に育つ突起物がしっかりとできていました。
たぶんここの浴槽が一番古いのだろうと思います。
4.プール
ここは入っていません。
水温は低く温泉ではないと思います。tutup(closed:休み)となっていましたが、親子連れが2組プールを楽しんでいました。
売店の人たちとの交流
温泉の楽しみの一つである、地域の人たちとの草の根交流です。
お店の人おススメのドリアンを2つも食べてしまいました。King of fruits 果物の王様です。
特に女性で苦手な方が多いと思いますが、わたしはジャカルタ時代にたまに食べていて、割と好きな味です。最初から好きでしたね。
ドリアンがおいしいかどうかはたたけば分かると現地の人は言います。
わたしは全く分からないし、クラスメイトのような20代の若者もまだテクニックがなく無理と言ってました。彼らの親くらいの年齢(つまりわたしくらいの年齢)だとできるようです。
ドリアンは当たりはずれがあるのに価格が高く、みなおいしいドリアンを探り当てようと、たたいたり匂いを嗅いだり必死です。
今回はお店のおばちゃんが棒でたたいて確認してくれます。甘くねっとりしたドリアンをお腹いっぱい食べました。
最初に出してくれたあと、もっといいやつが見つかったというので、それも
食べたいと言ってお代わりです。確かに甘味とネットリ度は高かったです。
やっぱり難しいんだなと思ったのは、最初のドリアンよりも実は小さいんですよ。ところが殻を割ってみると、中の果実はこっちの方が大きいのです。
おばちゃんは店の壁に吊り下げられているドリアンの位置を変えながら、これは明日くらいからおいしくなるやつ、これはもう少し時間がかかると言ってました。
プロです。
他にナンカ(ジャックフルーツ)も食べ、コーヒーや水ももらいました。
日本にあるのか、日本語だとなんて言うんだと聞かれ、「ドリアン」と意識的に日本風の発音で言ったら大喜びです。香りにつられハチがやってきたので、「これは日本語でハチという」と教えるとまた喜びます。ハチという有名なアニメの主人公がいるらしいです。
「お前のインドネシア語はバグース(良いの意味)だ。何かスンダ語を知っているか」と言われ、得意の「ムルプイ(小雨の意味)」「ンガブレッ(大雨の意味)」を言うと、意外な単語がツボにはまったのか大うけでした。
楽しい時間をすごしましたが、湯疲れと遠路はるばる来たので眠くなってきました。もう帰ろうと思い、お勘定をしようとして、いくらか?と聞いても言わないので10万ルピア払いました。
ドリアンは1個10万ルピア以上するイメージなので、本当はもっとするのにおまけしてくれたのか、地元で勝手に生えてきているから安いのかよくわかりません。
温泉に入ったあと付近を散策していたら結婚式の準備中でした。明日が本番だと言ってました。
日本人だと言ったら喜ばれ、そこに座ってご飯を食べていけ、バナナを食べろと誘われました。帰りにくくなりそうな予感がしたので、丁重にお断りして店の方に戻ります。
物珍しい奴がやってきて、ちょうどいい娯楽なんでしょうね。
田んぼではちょうど稲刈りの最中で、板に叩きつけて脱穀してました。
稲刈りも鎌を使って手作業でしたし、機械化は進んでいないのでしょうね。
のんびりとした暮らしぶりです。
帰り道に運転手がおいしいらしいと調べてきたバソ屋で昼食を取りました。
サテもありましたので、サテカンビン(ヤギの串焼き)とバソを食べました。
プロアカルタらしく、サテ・マランギがあったのでマランギの方を注文し、とてもおいしかったです。ご飯があるのでご飯も注文して、バソの方はスープだけにしました。
楽しい一日でした。
それではまた。
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